概要
採用後、2等空士(特別職国家公務員)に任命され、航空教育隊(山口県防府南基地の第1教育群又は埼玉県熊谷基地の第2教育群、ただし女性は全て防府南基地)において、自衛官として必要な基礎的教育訓練(隊員としてのしつけ、※教練及び体育の基本動作並びに服務等の基礎的事項の修得、約14週間)を受けるものです。
課程卒業前に、本人の希望や適性及び組織要求によって「職種」が決定します。卒業後は、職種ごとの術科教育を受け、赴任した部隊の基幹隊員として活躍することとなります。
※教練とは、「気をつけ」「右へならえ」「敬礼」などの規定された号令や動作を言います。
学生着隊・受入
令和3年3月25日(木)、第17期一般空曹候補生として入隊する188名が、熊谷基地に着隊しました。一様に緊張した様子でしたが、滞りなくコロナ対策のスクリーニングを終え、自衛隊の「いろは」を教えてくれる班長(教官)達との対面となりました。
その後、身体検査及び宣誓を行い、自衛官に欠かすことのできない「制服」のサイズ合わせや「寝具」の使い方(ベッドメイキング)等、生活に最低限必要な教育を受け、彼等にとっては、まさに「緊張の初日」を迎えることとなりました。
入隊・入校式
春光うららかな季節を迎え、令和3年4月5日(月)、第17期一般空曹候補生の入隊・入校式が行われました。例年、入隊学生のご家族にご案内をさしあげていますが、昨年同様、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ご家族の参加がない中での入隊・入校式となりました。
熊谷基地司令小野打泰子将補をはじめとする部内来賓の方からのお祝いの言葉や、基地所属隊員からの激励の歌や太鼓演奏をはじめ、航空中央音楽隊による祝賀演奏を頂き、入隊学生は今後の航空自衛官としての飛躍を誓い、課程教育に全力で取り組む決意をしました。
競技会
令和3年4月23日(金)に班対抗リレー競技会が行われました。
1万メートル(400mトラック×25周)を、班ごとにバトンリレーを行う競技で、学生達は、それぞれの班の威信をかけて熱戦を繰り広げました。
競技会は、激闘の末、24班が勝利し、全員で健闘を称えました。
24班優勝メンバー
番号 | 氏名 | 一言 |
1 | 中島 幹人 | 班としての士気が上昇した良い体験であった。 |
2 | 岡野 凌斗 | 良い思い出になった。 |
3 | 伊津見 樹 | 辛かったが、優勝した時はとてもうれしかった。 |
4 | 藤田 倖也 | 3周走ってとても疲れたが、優勝できたのでうれしかった。次も勝つ!! |
5 | 石塚 友輝 | 班員との絆が深まっただけではなく、優勝することで達成感を得ることが出来てよかった。 |
6 | 西田 洸貴 | 今回の競技会では、仲間に勝たせてもらったと感じている。その感謝を胸に刻み、次の競技会では自分が引っ張っていけるよう努力したい。 |
7 | 佐々木 琉偉 | 班員皆で走れて楽しかった。 |
8 | 金子 奏楽 | 仲間と目標を達成することの喜びを感じられてよかった。 |
9 | 土屋 翔平 | とても気持ちよかった。 |
10 | 佐藤 和寛 | 班員の絆を感じられて幸せだった。 |
11 | 古谷 駿介 | 全身全霊で臨み、相応の結果が出て嬉しかった。 |
12 | 塚原 涼太 | 班の仲が深まった。 |
導入期点検
入隊してから、約1か月経過した4月27日(火)、第1教育大隊長が点検官となり、「導入期における点検」を行いました。「導入期における点検」とは、身だしなみや整理整頓など、主に、基地内生活に必要なことが身に付いているかを確認するものです。
学生達は、点検官等からの質疑に緊張しつつも、溌溂とした動作で対応を行っており、「良好」との評価を受けました。
卒業間近に行われる完成期点検では、最高評価である「優秀」を獲得できるよう、日々邁進していってもらいたいと思います。
開始時体力測定
令和3年5月17日(月)に入隊後初めての体力測定を行いました。
体力測定は、腹筋、腕立て伏せ、3km走、懸垂、ソフトボール投げ、走り幅跳びの6種目です。今回の体力測定は、自己のウィークポイントや自衛官として強化すべき筋力・部位を掌握させることを目的としており、約2か月後に実施する修了時体力測定を目標に、学生達は、日々体力練成に取り組んでまいります。
基地研修
令和3年5月20日(木)に百里基地(茨城県)、26日(水)入間基地(埼玉県)において研修を行いました。学生達は、両基地の主要装備品を見学するとともに、任務に就く隊員の生の声を聴き、大いに「やる気」を高めていました。
多様化する自衛隊の任務を肌で感じた学生達は、今回の研修で得た経験を活かして、それぞれ希望する職種を考えます。職種は、個人の性格・技能を勘案した適性に加えて、本人の希望により決定されますので、必ずしも希望が叶うとは限りません。しかし、日本の空を守る航空自衛官であることに変わりはありません。全国各地の部隊で活躍する隊員となるためにも、ここ第2教育群での基本の修練に益々励んで欲しいと思います。
百里基地
入間基地
基幹隊員紹介
学生教育に携わる中隊の基幹隊員を2回に分けて紹介します。
第1回目は、11中隊182名を統括する第11中隊長と、中隊を4個の区隊(小隊)に分け、一個区隊約50名の長である区隊長4名を紹介します。
役職:第11中隊長
階級:1等空尉
氏名:木原 幸裕(きはら ゆきひろ) 将来に繋がる隊員に成長させることに着意して、我々
スタッフ一同、全力で教育に取り組んでいます。
行進及び露営訓練
令和3年6月3日(木)、4日(金)に、航空機の捜索救難を想定した防衛出動訓練として行進及び露営訓練を基地内において行いました。主な訓練内容は、非常呼集、徒歩行進、露営、担架搬送及び野外炊事です。
05:30の非常呼集から始まり、体調、装具等に異状がないか確認し、いよいよ徒歩行進訓練の開始です。予定の時刻に、予定の地点に到着(定時定点必達)するため、中隊は一定の速度と隊形を維持して進みます。炎天下の中、靴擦れで足を引き摺る学生、暑さと苦しみで、下を向いて挫けそうになる学生等を、区隊長や班長が叱咤激励し班員同士の助け合いで、中隊全体が一丸となり、完歩することができました。
目的地到着後は、露営のため、携行天幕(2人用のテント)を設営しました。
21:30から就寝しますが、学生達は、露営地警備のため交代で不寝番(見回り)勤務を行いました。緊張感や蒸し暑さで十分な仮眠はとれなかったようです。
翌朝06:00に起床し、露営地の撤収をしたのち、人命救助の際に使う機材(チェーンソーや救出工具など)の教育を受け、実際に傷病者を担架で搬送する訓練を行いました。ここでは、傷病者役も体験し、傷病者に対する声掛け等が不安解消にとても大切だということを身をもって学びました。
この訓練の最後は、飯盒を使った野外炊事です。自分で炊いたご飯に、野戦釜(災害派遣などで活躍する屋外用の特大調理具)で作ったカレーをかけて、皆おいしそうに食べていました。
学生達は、防衛出動や災害派遣などの実任務に向けて、より現実的な知識と技術を数多く修得するとともに、一人では困難なことでも、仲間がいれば乗り越えられるということを併せて体感しました。
<非常呼集>
<徒歩行進>
<露営>
<人命救助システムⅡ型、担架搬送>
<野外炊事>
基幹隊員紹介
学生教育に携わる中隊の基幹隊員を2回に分けて紹介します。
第2回目は、班長を紹介します。「班」とは、課程教育を行う上で最小の単位であり、班長は、学生達にとって一番身近な存在として教育を行う教官です。
役職:第11班長
階級:2等空曹
氏名:吹越 昭裕(ふっこし あきひろ) 全力で訓練に取り組み、日々成長していけるよう、
しっかりと導いて行きます。
断郊競技会
令和3年6月21日(月)に班対抗断郊競技会が行われました。
「断郊競技会」は、丘陵や森林を横断する長距離走のことですが、自衛隊では、実働の任務に即した行動を組み合わせ競走を行います。今回は「非常呼集、伝令、土のう運搬、ほふく前進、担架搬送」を種目とした競技として、3人1組のバディで競い合いました。皆で力を合わせ、懸命に挑む姿は逞しい限りでした。
競技会の勝敗は、32班が制し、全員でその健闘を称えました。
修了時体力測定
令和3年6月29日(火)に修了時体力測定を行いました。
入隊から約3か月が経過し、学生もずいぶんと逞しくなり、下表(全学生平均)のとおり、基礎体力が向上しました。この課程で体得した練成方法を、今後は、自己修練の場で活用し、より一層の体力向上に励んでいきます。
種 目 | 開始時 | 修了時 | 伸び幅 |
腕立て伏せ | 41回 | 46回 | 5回(↑) |
腹 筋 | 66回 | 69回 | 3回(↑) |
3㎞走 | 12分37秒 | 12分13秒 | 24秒(↑) |
懸 垂 | 4回 | 6回 | 2回(↑) |
銃剣道競技会
令和3年7月2日(金)に班対抗銃剣道競技会が行われました。
小銃に見立てた木銃で、左の胸当てを突く武道で、教わった諸動作を遺憾なく発揮し、懸命に戦っていました。高練度者でもある木原中隊長の胸を借りる場面もあり、大いに盛り上がりを見せていました。
競技会の勝敗は、激闘の末、34班が制し、全員でその健闘を称えました。
完成期点検
令和3年7月8日(木)に、完成期点検を行いました。
完成期点検では、群司令が点検官となり、課程教育で学んだ基礎的知識や基本動作等を実地に点検し、教育目標に到達しているかを確認します。
学生達は、これまでの課程教育で培った成果を遺憾なく発揮し、「極めて良好」という高評価を受けることができました。特に、点検官等の質問に対する元気溌溂とした応答や、反復演練で身につけた基本教練の動作を整斉と行う姿は、凛々しく堂々としており、入隊時とは別人のように成長しました。
本課程で学生達が経験した訓練や様々な出来事を踏まえ、点検官(群司令)から、「人は失敗するもの。大切なことは失敗を成長の糧にすることである。」との激励を頂き、完成期点検を終了しました。
卒業式
蝉のにぎやかな声が聞こえ始めた令和3年7月15日(木)、第17期一般空曹候補生課程の卒業式を行いました。
慣れない団体生活、身体的・精神的に過酷な訓練、コロナ禍での様々な制約等を、学生達は見事、課程教育を「若さと行動力」で乗り越え、無事卒業式を迎えることができました。
別れを惜しむ隊員、笑顔でお互いの健闘を誓い合う隊員、そして指導にあたった教官達は、教え子達の活躍を祈って。 今回をもちまして、第17期一般空曹候補生課程の活動紹介を終わります。
今後とも彼等への応援と、航空教育隊に対するご理解とご協力をよろしくお願いします。
<航空教育隊司令褒章授与者>
班 | 階級 | 氏名 | ふりがな | 赴任先 (基地) |
43 | 2等空士 | 中西 勇也 | なかにし ゆうや | 空教隊 (熊谷) |
24 | 2等空士 | 塚原 涼太 | つかはら りょうた | 1術校入校(浜松) |
41 | 2等空士 | 橋爪 翔 | はしづめ しょう | 3術校入校(芦屋) |
13 | 2等空士 | 三本木智裕 | さんぼんぎ ともひろ | 3術校入校(芦屋) |
14 | 2等空士 | 菊池 雄飛 | きくち ゆうひ | 5術校入校(小牧) |
41 | 2等空士 | 柳田 倭征 | やなぎだ わせい | 4術校入校(熊谷) |
13 | 2等空士 | 森友 海斗 | もりとも かいと | 1術校入校(浜松) |
24 | 2等空士 | 石塚 友輝 | いしづか ゆうき | 3術校入校(芦屋) |
22 | 2等空士 | 植住 拓海 | うえずみ たくみ | 5術校入校(小牧) |
<群司令優秀賞授与者>
班 | 階級 | 氏名 | ふりがな | 赴任先 (基地) |
11 | 2等空士 | 山下 昇汰 | やました しょうた | 2空団 (千歳) |
12 | 2等空士 | 西塚 朗 | にしづか あきら | 3空団 (三沢) |
11 | 2等空士 | 河原 周吾 | かわはら しゅうご | 1術校入校(浜松) |
34 | 2等空士 | 白柳 友規 | しらやなぎ ともき | 3術校入校(芦屋) |