防衛白書ダイジェスト 平成29年版 日本の防衛

実効的な抑止及び対処

各種事態に際し、自衛隊が迅速かつシームレスに対応するため、自衛隊は、平素から常時継続的にわが国周辺海空域の警戒監視を行っている。

周辺海空域における安全確保

  1. 平成28(2016)年度には、中国海軍艦艇による沖縄本島・宮古島間の海域などの南西諸島の通過を伴う活動が12回確認された。同年6月には、中国海軍戦闘艦艇が尖閣諸島北方のわが国接続水域に初めて入域した。その後も、中国海軍艦艇は、わが国周辺海域における活動を継続している。
    防衛省・自衛隊は、このような情勢を受け、海上保安庁との情報共有など、関係省庁との連携強化を図っている。
  2. 平成28(2016)年度の空自機による緊急発進(スクランブル)回数は1,168回であり、前年度と比べて295回増加し、1958(昭和33)年に対領空侵犯措置を開始して以来、過去最多となった。そのうち、中国機に対する緊急発進回数は851回であり、前年度と比べて280回増加し、過去最多となっている。
    防衛省・自衛隊は、引き続き、わが国周辺海空域における警戒監視に万全を期すとともに、厳正な対領空侵犯措置を実施している。
    緊急発進(スクランブル)する空自F-15J戦闘機

    ▶緊急発進(スクランブル)する空自F-15J戦闘機

  3. 17(同29)年5月には、尖閣諸島付近のわが国領海に侵入した中国公船が、小型無人機らしき物体1機を飛行させるという領空を侵犯する事案が生起した。(中国当局による領空侵犯は、12(同24)年以来2回目)
沿岸監視に従事する陸自隊員

▶沿岸監視に従事する陸自隊員

警戒監視を行う海自P-3C哨戒機

▶警戒監視を行う海自P-3C哨戒機

警戒監視を行う空自E-767早期警戒管制機

▶警戒監視を行う空自E-767早期警戒管制機

冷戦期以降の緊急発進実施回数とその内訳

▲冷戦期以降の緊急発進実施回数とその内訳

島嶼防衛

  1. 島嶼部に対する攻撃に対応するためには、安全保障環境に即して部隊などを配置するとともに、平素からの常時継続的な情報収集、警戒監視などにより、兆候を早期に察知し、海上優勢・航空優勢を獲得・維持することが重要である。
    事前に兆候を得たならば、侵攻が予想される地域に、陸・海・空自が一体となった統合運用により、部隊を機動的に展開・集中し、敵の侵攻を阻止・排除する。島嶼への侵攻があった場合には、航空機や艦艇による対地射撃により敵を制圧した後、陸自部隊を着上陸させるなど島嶼奪回のための作戦を行う。
  2. 南西地域の防衛態勢強化のため、16(平成28)年 1月、那覇基地に第9航空団を新編し、同年3月、与那国島に与那国沿岸監視隊などを新編した。さらに、17(同29)年7月には南西航空方面隊を新編した。このほか、南西地域の島嶼部(奄美大島、宮古島、石垣島)への警備部隊の配置、本格的な水陸両用作戦機能を備えた水陸機動団(仮称)の新編、SH-60K回転翼哨戒機の取得などを行う。
    南西諸島における主要部隊配備状況

    ▲南西諸島における主要部隊配備状況

  3. 迅速かつ大規模な輸送・展開能力を確保するため、おおすみ型輸送艦の改修、多機能艦艇のあり方を検討するとともに、V-22オスプレイ及びC-2輸送機を導入することにより、機動展開能力の向上を図っていく。

弾道ミサイル攻撃などへの対応

  1. わが国の弾道ミサイル防衛は、イージス艦による上層での迎撃とペトリオットPAC-3による下層での迎撃を、自動警戒管制システム(JADGE(Japan Aerospace Defense Ground Environment:ジャッジ))により連携させて効果的に行う多層防衛を基本としている。
  2. 北朝鮮は、16(平成28)年に入ってから、過去に例を見ない内容と頻度で弾道ミサイルの発射を行い、17(同29)年も継続している。
  3. 防衛省としては、弾道ミサイル攻撃への対処能力を向上させるため、現在日米共同で開発しているBMD(Ballistic Missile Defence)用能力向上型迎撃ミサイル(SM-3ブロックIIA)を取得するとともに、ペトリオットPAC-3についても、能力向上型であるPAC-3 MSE(Missile Segment Enhancement)をできる限り早期に導入することとしている。
    ハワイ沖におけるSM-3ブロックIIA発射試験(17(平成29)年2月)

    ▶ハワイ沖におけるSM-3ブロックIIA発射試験(17(平成29)年2月)

  4. 平成26(2016)年度から将来の弾道ミサイル迎撃体制の調査研究を実施しており、平成29年度予算においても、弾道ミサイル防衛能力の向上策を含むシミュレーションを実施していくこととしている。

ゲリラや特殊部隊などによる攻撃への対応

  1. 武装工作員などによる不法行為、ゲリラや特殊部隊による破壊工作などは、少数の人員による潜入、攻撃であっても、平和と安全に対する重大な脅威となり得る。
  2. 防衛省・自衛隊は、警察や海上保安庁などの関係機関と共同訓練を行い、連携強化に努めている。

海洋安全保障の確保に向けた取組

  1. 「開かれ安定した海洋」の秩序を維持し、海上交通の安全を確保するため、海賊対処行動を実施するほか、同盟国などと緊密に協力し、沿岸国の能力向上の支援、共同訓練など、各種取組を推進している。
  2. 中国との間では、不測の事態の発生の回避・防止のため、海空連絡メカニズムの早期運用開始に向けた防衛当局間の協議を行っている。

宇宙空間における対応

  1. 宇宙分野における日米防衛当局間の協力を一層促進する観点から、15(平成27)年4月には、米国と「宇宙協力ワーキンググループ」SCWG(Space Cooperation Working Group)を設置し、①宇宙に関する政策的な協議の推進、②情報共有の緊密化、③専門家の育成・確保のための協力、④机上演習の実施など、幅広い分野での検討を推進している。
  2. 今後、防衛省では、自衛隊の活動を含むわが国の宇宙利用に資する衛星の安全を確保するため、スペースデブリ、不審な衛星に対し常時監視可能なセンサーを整備することにしている。
宇宙状況監視(SSA) 体制構築に向けた取組

▲宇宙状況監視(SSA) 体制構築に向けた取組

サイバー空間における対応

  1. 「自衛隊指揮通信システム隊」などが24時間態勢で通信ネットワークを監視しているほか、情報通信システムの安全性向上を図るための侵入防止システム、防護システムの整備、サイバー攻撃対処態勢や要領を定めた規則の整備、人的・技術的基盤の整備、最新技術の研究など、総合的な施策を行っている。
    サイバー演習に参加中のサイバー防衛隊隊員

    ▶サイバー演習に参加中のサイバー防衛隊隊員

  2. サイバー攻撃が国境を越えて行われることを踏まえれば、米国以外の国などとの間でもサイバーセキュリティに関する協力を推進していくことが重要であり、今後も、各国の防衛当局などの関係機関との意見交換やサイバー防衛演習への積極的な参加を通じ、サイバー分野における国際連携を強化していく。
  3. 平成29年度予算では、日々高度化・巧妙化するサイバー攻撃に適切に対応するため、自衛隊の指揮統制システムなどを模擬したサイバー演習空間を用いて実戦的なサイバー演習を行う体制や、実際のサイバー攻撃と同じ手法を用いて自衛隊の指揮統制システムなどの脆弱性などを検査(ペネトレーション・テスト)する体制を整備するとともに、あわせて人員を増員することとしている。
    ペネトレーション・テストのイメージ

    ▶ペネトレーション・テストのイメージ

大規模災害などへの対応

  1. 16(平成28)年8月から9月にかけて東北地方及び北海道を縦断した台風10号に伴う大雨のため、岩手県及び北海道において、延べ約3,800人をもって孤立者の救助、行方不明者捜索や給水支援などを行った。
    岩泉(岩手県)における救助活動(16(平成28)年9月)

    ▶岩泉(岩手県)における救助活動(16(平成28)年9月)

  2. 16(同28)年11月から17(同29)年3月にかけて、北海道、宮城県、千葉県、新潟県、岐阜県、佐賀県、熊本県、宮崎県において発生した鳥インフルエンザの防疫措置のため、延べ約9,100人が災害派遣活動に従事した。
    鳥インフルエンザの防疫措置の活動状況(岐阜)(17(平成29)年1月)

    ▶鳥インフルエンザの防疫措置の活動状況(岐阜)(17(平成29)年1月)

  3. 自衛隊は、医療施設が不足している離島などの救急患者を航空機で緊急輸送(急患輸送)しており、平成28(2016)年度の災害派遣総数516件のうち、409件が急患輸送であった。

在外邦人等の保護措置及び輸送への対応

  1. 自衛隊は、部隊を速やかに派遣する態勢をとっている。具体的には、陸自ではヘリコプター部隊と誘導輸送隊の要員を、海自では輸送艦などの艦艇(搭載航空機を含む)を、空自では輸送機部隊と派遣要員をそれぞれ指定するなど、待機態勢を維持している。
  2. 16(平成28)年12月には、初めての在外邦人等保護措置訓練を実施し、一連の流れを演練した。また、毎年タイで行われている多国間共同訓練(コブラ・ゴールド)においては、17(同29)年2月に、在タイ大使館などの協力を得て、在外邦人等の保護措置訓練を行い、外務省との連携を強化した。
外務本省や在タイ大使館などの協力を得て行われた在外邦人等保護措置に関する訓練(タイ)(17(平成29)年2月)

▶外務本省や在タイ大使館などの協力を得て行われた在外邦人等保護措置に関する訓練(タイ)(17(平成29)年2月)

安全保障協力の積極的な推進

防衛省・自衛隊は、二国間・多国間の防衛協力・交流を強化するとともに、グローバルな安全保障上の課題などへの取組として、国連PKOや海賊対処行動をはじめ、国際平和協力活動及び各種任務をより積極的に推進していくこととしている。

ハイレベルの二国間会談・協議実績(16(平成28)年6月~17(同29)年5月)

▲ハイレベルの二国間会談・協議実績(16(平成28)年6月~17(同29)年5月)

戦略的な国際防衛協力に向けて

主な多国間安全保障対話など

  1. 日ASEAN防衛担当大臣会合及び「ビエンチャン・ビジョン」
    16(平成28)年11月、ビエンチャン(ラオス)において開催された第2回日ASEAN(Association of South-East Asian Nations)防衛担当大臣会合において、稲田防衛大臣から、わが国独自のイニシアティブである「ビエンチャン・ビジョン~日ASEAN防衛協力イニシアティブ~」を日ASEAN防衛協力の指針として提示した。これは、ASEAN全体への防衛協力の方向性について、透明性をもって、重点分野の全体像を示した初めてのものであり、ASEAN側のすべての国々から歓迎された。
    ラオスにおける日ASEAN防衛担当大臣会合に参加する稲田防衛大臣(16(平成28)年11月)

    ▶ラオスにおける日ASEAN防衛担当大臣会合に参加する稲田防衛大臣(16(平成28)年11月)

  2. IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)
    17(同29)年6月、シンガポールにおいて開催された第16回シャングリラ会合では、稲田防衛大臣が、第2全体セッション「ルールに基づく地域秩序の擁護」においてスピーチを行ったほか、参加国との二国間・三国間会談を実施し、北朝鮮情勢及び東シナ海・南シナ海情勢を含む地域情勢や防衛協力などについて意見交換を行い、各国との今後の協力強化の方策を確認した。

能力構築支援(キャパシティ・ビルディング)

12(平成24)年に開始して以来これまでアジア・大洋州地域を中心に、12か国に対し、人道支援・災害救援、PKO、海洋安全保障、国際法などの分野で支援を行ってきている。

インドネシア海軍に対して能力構築支援の一環として海洋学の講義を行う海自隊員(17(平成29)年1月)

▶インドネシア海軍に対して能力構築支援の一環として海洋学の講義を行う海自隊員(17(平成29)年1月)

アジア太平洋地域での多国間共同訓練

防衛省・自衛隊は、アジア太平洋地域において、従来から行われていた戦闘を想定した訓練に加え、人道支援・災害救援、非戦闘員退避活動などの非伝統的安全保障分野を取り入れた多国間共同訓練に積極的に参加している。

タイにおいて行われた米・タイ共催の多国間共同訓練(コブラゴールド)のオープニングセレモニー(17(平成29)年2月)

▶タイにおいて行われた米・タイ共催の多国間共同訓練(コブラゴールド)のオープニングセレモニー(17(平成29)年2月)

豪海軍主催多国間共同訓練(カカドゥ16)において豪海軍補給艦「サクセス」(中央)との洋上補給を終え離脱する海自護衛艦「ふゆづき」(手前)(16(平成28)年9月)

▶豪海軍主催多国間共同訓練(カカドゥ16)において豪海軍補給艦「サクセス」(中央)との洋上補給を終え離脱する海自護衛艦「ふゆづき」(手前)(16(平成28)年9月)

グアムにおいて行われた日米豪共同訓練(コープ・ノース・グアム17)において米空軍B1爆撃機(左端)を先頭に編隊飛行を行う参加部隊航空機(B1の右下が空自F-15J戦闘機及びF-2戦闘機)(17(平成29)年2月)

▶グアムにおいて行われた日米豪共同訓練(コープ・ノース・グアム17)において米空軍B1爆撃機(左端)を先頭に編隊飛行を行う参加部隊航空機(B1の右下が空自F-15J戦闘機及びF-2戦闘機)(17(平成29)年2月)

海洋安全保障の確保

  1. 海洋国家であるわが国にとって、法の支配、航行の自由など、基本的ルールに基づく秩序を強化し、海上交通の安全を確保することは平和と繁栄の基礎であり、極めて重要である。このため、関係国と協力して海賊に対応するとともに、この分野におけるシーレーン沿岸国自身の能力向上の支援及びわが国周辺以外の海域における様々な機会を利用した共同訓練・演習の充実など、各種取組を推進している。
  2. 海賊対処では、水上部隊及び航空部隊がCTF(Combined Task Force)151に参加し、各国と協力しつつ任務を遂行している。
  3. 17(平成29)年3月から6月までの間、CTF151司令官を派遣した。
派遣海賊対処行動における船舶の識別総数18万隻記念撮影(16(平成28)年8月)

▶派遣海賊対処行動における船舶の識別総数18万隻記念撮影(16(平成28)年8月)

アデン湾を航行中に機関室の火災で航行不能となった商船に急行し、周辺の警戒監視を行う海賊対処部隊の護衛艦「すずつき」(16(平成28)年11月)

▶アデン湾を航行中に機関室の火災で航行不能となった商船に急行し、周辺の警戒監視を行う海賊対処部隊の護衛艦「すずつき」(16(平成28)年11月)

バーレーンにおけるCTF151司令官福田海将補(前列左から6人目)とCTF151司令部幕僚

▶バーレーンにおけるCTF151司令官福田海将補(前列左から6人目)とCTF151司令部幕僚

国際平和協力活動への取組

国際平和協力活動に積極的に取組み、多層的な貢献を行っている。

国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)

  1. 17(平成29)年1月で派遣開始から5年という節目を越え、これまでのわが国PKO活動の中で、最大規模の実績を積み重ねてきた。南スーダンの国造りプロセスについてみれば、国際社会の努力により、新たな段階に入りつつある。
  2. わが国としては、総合的に勘案した結果、自衛隊が担当する首都ジュバにおける施設活動については、一定の区切りをつけることができたと考えており、同年5月をもって、自衛隊の施設部隊による活動を終了した。なお、UNMISS司令部への自衛官の派遣は継続し、引き続きUNMISSの一員として国連PKOへの貢献を行っていく。
撤収にあたり、コンテナの積載作業を行う第11次要員(17(平成29)年5月)

▶撤収にあたり、コンテナの積載作業を行う第11次要員(17(平成29)年5月)

隊旗返還式において訓示を受ける隊員(17(平成29)年5月)

▶隊旗返還式において訓示を受ける隊員(17(平成29)年5月)

UNMISS司令部において他国の要員と調整を行う司令部要員(17(平成29)年4月)

▶UNMISS司令部において他国の要員と調整を行う司令部要員(17(平成29)年4月)

国連PKOへの人材育成面での協力

国連PKO教官養成訓練の国連との共催、各国のPKOセンターなどへの講師としての自衛官の派遣、国連アフリカ施設部隊早期展開プロジェクトへの教官の派遣などを行っている。

防衛力を支える人的基盤と女性隊員の活躍

防衛力を支える人的基盤

防衛省・自衛隊が、その防衛力を最大限効果的に機能させるためには、これを下支えする人的基盤を充実・強化させることが極めて重要である。

募集・採用

  1. 少子化・高学歴化の進展などに伴い、自衛官の募集環境がますます厳しくなる中、優秀な人材を、様々な区分を設けて広く全国から募集している。
  2. 平素は各々の職業に従事しつつ、防衛招集命令などを受けて自衛官となり、任務に就く予備自衛官などの制度も設けている。

人的資源の効果的な活用施策

装備品の高度化、任務の多様化・国際化などに対応するため、自衛隊の精強性を確保し、厳しい財政事情のもとで人材を有効に活用する観点から、各種人事制度改革に関する施策を推進している。

基本教育を受ける海自の新隊員

▶基本教育を受ける海自の新隊員

ワークライフバランス・女性隊員の更なる活躍の推進

衛生機能の強化

防衛省・自衛隊は、各種事態や国際平和協力活動などを含め任務を適切に遂行できるよう衛生に関する機能の充実・強化を図っている。

  1. 防衛医科大学校病院の効率的かつ質の高い医療体制を確立するとともに、防衛医学の教育・研究拠点としての機能強化に取り組んでいる。
  2. 第一線において負傷した隊員の生命を最大限に守るため、病院などに後送される前の現場において専門的な救護処置を実施できるための態勢を整備している。
    負傷者の後送を訓練する陸自隊員

    ▶負傷者の後送を訓練する陸自隊員

  3. 国際的に脅威となる感染症への対応能力を向上させるための整備を実施している。

防衛装備・技術に関する諸施策

技術的優越の確保のための研究開発の推進

  1. わが国の技術的優越を確保し、先進的な装備品の創製を効果的・効率的に行い、防衛技術や民生技術に関する各種の政策課題に対応するため、戦略的に取り組むべき各種施策の具体的な方向性を示した「防衛技術戦略」を16(平成28)年8月に策定し、これに基づく「中長期技術見積り」や「研究開発ビジョン」などを踏まえ、各種施策を推進している。
    重点的に獲得を目指すべきゲームチェンジャーとなり得る先進的な技術分野の一つとしている高出力エネルギー技術への取組(中長期技術見積り)

    ▶重点的に獲得を目指すべきゲームチェンジャーとなり得る先進的な技術分野の一つとしている高出力エネルギー技術への取組(中長期技術見積り)

  2. 装備品への適用面から着目される、研究機関や企業などにおける独創的な研究を発掘し、将来有望な芽出し研究を育成するためのファンディング制度(安全保障技術研究推進制度)について、平成29(2017)年度からは、大規模な投資が有効な芽出し研究の育成も行うことにしている。

防衛生産・技術基盤

防衛生産・技術基盤は、防衛力を支える重要かつ不可欠な基盤である。
これを維持・強化するため、14(平成26)年6月に策定された防衛生産・技術基盤戦略に基づき、防衛産業のサプライチェーンの可視化や護衛艦(新艦艇)の取得にあたり新たな調達方針を採用するなどの施策を実施している。
また、今後、進展の早い民生先端技術の装備品への速やかな適用や装備品へ活用可能な技術力を有する中小企業と防衛省・自衛隊とのマッチングの実施など関係省庁や企業等と連携しながら防衛装備・技術施策を推進していく。

プロジェクト管理などへの取組

  1. 装備品のライフサイクル全体を通じた取得プロセスを管理するため、プロジェクト管理重点対象装備品として12の装備品を選定し戦略的に最適な防衛装備品の取得の実現を図っている。なお、平成29(2017)年度には、中SAM(改)が量産・配備段階に移行した。
    初めて日本国内で最終組み立てを行ったF-35A戦闘機(プロジェクト管理重点対象装備品)

    ▶初めて日本国内で最終組み立てを行ったF-35A戦闘機(プロジェクト管理重点対象装備品)

  2. 長期契約による装備品や役務の調達、装備品の維持・整備の効率化、まとめ買いなどにより、調達コストの縮減と安定的な調達を図っている。

防衛装備・技術協力

わが国は、防衛生産・技術基盤の維持・強化及び平和貢献・国際協力の推進に資するよう、防衛装備移転三原則に基づき、諸外国との防衛装備・技術協力を推進している。

  1. 日米共通装備品の整備基盤を確保するため、F-35A戦闘機の取得に際して、国内企業の製造参画及び整備拠点の設置に向けた取組を行っている。また、米海兵隊オスプレイ(MV-22)と陸自オスプレイ(V-22)の共通整備基盤を木更津駐屯地に確立し、MV-22の定期機体整備を開始している。
    日米共通整備基盤で整備中のMV-22

    ▶日米共通整備基盤で整備中のMV-22

  2. 17(平成29)3月、将来戦闘機における英国との協力の可能性に係る日英共同スタディに関する取り決めを英国と締結し、将来の協同事業の可能性について意見交換することとしている。
  3. 16(同28)年9月の日フィリピン首脳会談において、海自TC-90練習機(5機)を移転することなどに合意し、17(同29)年3月に2機のTC-90をフィリピン海軍に移転した。
    移転先のフィリピンで放水を受ける海自TC-90練習機

    ▶移転先のフィリピンで放水を受ける海自TC-90練習機

  4. 友好国のニーズに応えていくため、自衛隊において不用になった装備品を、開発途上地域の政府に対し無償又は時価よりも低い対価で譲渡できるよう法改正を行った。

地域社会・国民との関わり

地域コミュニティとの連携

防衛省・自衛隊は、民生支援として様々な協力活動を行い、地域社会・国民と自衛隊相互の信頼をより一層深めるとともに、地域コミュニティーの維持・活性化に大きく貢献している。

機雷爆破のための準備をする海自水中処分員(沖縄)と機雷爆破の様子(硫黄島)

▲機雷爆破のための準備をする海自水中処分員(沖縄)と機雷爆破の様子(硫黄島)

熊本復興飛翔祭において熊本城上空を飛行する空自ブルーインパルス

▲熊本復興飛翔祭において熊本城上空を飛行する空自ブルーインパルス

様々な広報活動

防衛省・自衛隊は、自衛隊の現状を広く国内外に紹介する活動を行っている。例えば、自衛隊記念日記念行事の一環として、自衛隊音楽まつりを日本武道館で毎年開催しているほか、陸・海・空自が順番に主担当となって観閲式、観艦式、航空観閲式を行っており、16(平成28)年は、朝霞訓練場において観閲式を行った。また、英文広報パンフレットを毎月発行するなど、国際社会に向けて情報を発信するための取組も積極的に行っている。

平成28年度観閲式の様子

▶平成28年度観閲式の様子