【質問】

　アセアン諸国とオセアニア諸国との関係はどう

なのでしょうか。地理的には、中国・韓国よりも

近いようなのですが。

【回答】

　確かにオセアニア諸国とアセアンは地理的に近接

していますが、それほど関係が深いとは言えません。

　唯一の例外が、「パプア・ニューギニア」で、準

対話国となるなど、早い段階からアセアンとの協力

関係を築いています。

【質問】

　アセアン加盟各国は、なぜアセアンを重視する

ようになったのですか。

【回答】

　アセアン方式により「内政不干渉原則」が厳守さ

れていること、そして、金融危機などのグローバル

化による諸問題に対応するために地域機構の重要性

が再認識されたのではないかと考えられます。

【質問】

　中国に支援されるアセアンが東アジア共同体に

貢献できるでしょうか。

　また、東アジア共同体での通貨はどの国が発行

するのでしょうか。

【回答】

　アセアンは日本との協力だけでなく、韓国や中国

ともアセアン＋１という形で関係強化を目指してい

るので、アセアン・中国関係も東アジア共同体に貢

献できると思います。

　東アジアにおける金融協力はアセアン＋３の場で

進展しており、チェンマイ・イニシアティブのマル

チ化にも合意するなど顕著な成果が出ていますが、

単一通貨の実現はまだまだ時間がかかると思います。

【質問】

　アセアン諸国と中国・韓国では、自衛隊に対す

る反応が明らかに違うのはなぜでしょうか。

【回答】

　アセアン諸国の自衛隊に対する反応は、カンボジア

でのＰＫＯ活動やインドネシアの津波災害などの活躍

によって、かなり積極的なものに変化しています。

【質問】

　なぜ多層的な対話構造が必要なのでしょうか。

【回答】

　同心円戦略と多層的対話とはほぼ同一であり、ア

セアンの保身策として重視されています。

【質問】

　日本アセアンテロ対策対話での具体的な対策及

び効果について教えて下さい。

【回答】

　アセアンのテロ対策への対応は不十分であり、米

国や日本、オーストラリアの支援を得ながら対応し

ている状態です。

【質問】

　日本の対アセアン外交の方針立案は誰が行って

いますか。主なブレーン・組織はどこでしょうか。

【回答】

　日本のアセアン政策は援助の観点から主に外務省

が行っていますが、近年は自由貿易関係から経済産

業省が、金融協力では財務省が主要な役割を果たし

ています。

【質問】

　アセアンは日本の役割に期待しているとのこと

ですが、侵略のイメージはなくなったのでしょう

か。なぜそうなったのでしょうか。

【回答】

　中国と韓国の「日本イメージ」と異なり、アセア

ン諸国の侵略イメージは戦後大きく変化し、政治、

経済、社会分野においてより大きな役割を期待する

声が高まっています。

【質問】

　アセアンの挙げた具体的な成果・実績について

教えて下さい。

【回答】

　やはりカンボジア紛争（１９７８−１９９１）を

解決したことが最大の成果であると思います。

【質問】

　日本は今後アセアンとどうつきあえばいいのでしょうか。

【回答】

　１９７７年に始まる福田ドクトリン以来の緊密な

関係を維持・発展させ、東アジア共同体構築に向け

た主導的役割を発揮すべきであると思います。

【質問】

　また話を聞きたいのですが。

【回答】

　中部地域において、アジア関係の講演は定期的に

ありますが、東南アジアやアセアンの講演は少ない

ようです。南山大学にはアジア・太平洋センターが

あり、定期的に東南アジア関係の講演を行っていま

すので、センターのホームページをご覧いただけれ

ばと思います。

【質問】

　サミット開催国をアセアン諸国に限定するのは

なぜでしょうか。

【回答】

　サミットを開催することは議長国になるというこ

とであり、サミットの議題や合意内容を最終調整す

る権限を有することになりますので、アセアンとす

れば「運転席確保」のためにも開催国にこだわって

いると考えられます。

【質問】

　ＡＲＦ結成に係わったＰＭＣとは何でしょうか。

【回答】

　ＰＭＣとは「ポスト閣僚会議」と呼ばれ、アセア

ンが日本、米国、韓国、中国、カナダ、ロシア、オ

ーストラリア、ニュージーランド、ＥＣなどの対話

国と年1度開催する定期会合を意味しています。

　1979年から始まり、アセアン外相会議の直後に

開催される会合なので、意見交換の場としてアセア

ンが重視しています。

【質問】

　北方領土、竹島、尖閣諸島等の外交・防衛につい

て日本はどうすべきでしょうか。

【回答】

　アセアン諸国もタイ・カンボジアなどの二国間領

土問題に加え、中国との南シナ海問題を抱えていま

すが、多国間協議を中心とした平和的解決を目指し

ているところです。日本も自国の権利を主張しつつ、

多国間協議の場で平和的解決を訴えることが必要で

はないかと思います。

【質問】

　なぜアセアンは、東アジアとしてまとまろうと

するのでしょうか。

【回答】

　1997年に起こった金融危機の際に得た教訓「ア

セアンでは小さすぎ、ＡＰＥＣでは大きすぎ」が、

最大の理由かと思います。

【質問】

　アセアンでのテロは何が目的ですか。

【回答】

　東南アジアのテロ組織は多様であり、アルカイダ

との関係を保持する「ジェマア・イスラミア」は、

究極的にはイスラム国家の樹立・分離独立を目的と

しています。

　しかし、一般的には、土着的性格から自国政府に

対する異議申し立てを目的としており、欧米諸国へ

の挑戦という要因は少ないのではないかと思われま

す。

　皆様のご質問について、回答を掲載い

たしましたが、

「さらにご質問のある方は、直接お問い

合わせ下さい」

と、須藤教授から連絡をいただきました。

　教授のメールアドレスは、次のとおり

です。

　　　[email protected]