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自衛隊インビテ−ション
(5月放送内容)



テ−マ:自衛隊の災害対処に関して防衛政策の観点から注目すべき点

パ−ソナリティ−:

 皆さんこんにちは、今日は東北防衛局の増田局長にお越しいただいております。増田局長  よろしくお願いいたします。


増田局長:

 よろしくお願いいたします。まずは、この度の大震災で亡くなられた多くの方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害を受けられた方々の一日も早い復興をお祈り申し上げます。


パ−ソナリティ−:

 局長、今回は何についてお話しして頂けるのでしょうか。

増田局長:
 今回の震災は、地震、津波、原子力と「未曾有」の大災害に出会ったわけですが、これに対して、菅総理からは、自衛隊は10万人以上の態勢ということでご指示がありまして、それで対応してきたということは国民の皆様も良くご存じのとおりでございます。
 私自身も、東北防衛局というシビリアンの組織の長として、地震発生の後、直ちに局内に対策本部を立ち上げて、職員とともに頑張ってきたところです。
 今回は、この自衛隊の災害対処に対しまして、防衛政策という観点から、注目すべき点が幾つかありましたので、それについてお話ししたいと思います。

パ−ソナリティ−:
 注目すべき点というのはどういったところですか。

増田局長:
 まずは、統合運用についてです。今回の派遣は、ピーク時には、人員10万人以上、航空機500機以上、艦艇50隻以上といった空前の規模での派遣でありました。そして、東北方面総監を指揮官として統合任務部隊というものが編成されました。すなわち、陸、海、空3自衛隊からなる空前の規模の統合任務部隊を、陸上自衛隊の東北方面総監が指揮をしたということであります。今回、新しい新防衛大綱というのが出来たばかりですけれども、統合運用の強化が一つの目玉となっていたんですけれども、早くもそれが現実のものとなったのかなと思っております。

パ−ソナリティ−:
 統合部隊というのは今回が初めてですか。


増田局長:

 統合部隊が運用されるのは、これが初めてというわけではなくてですね、3回目です。過去には、平成21年4月の北朝鮮ミサイル事案において、航空自衛隊の航空総隊司令官が各自衛隊を一元的に指揮したことがあります。また、ソマリア・アデン湾での海賊対処において自衛艦隊司令官の隷下に派遣海賊対処行動航空隊という統合部隊を編成したことがあります。しかし、今回のように10万人を超す規模での統合任務部隊というのは初めてであります。


パ−ソナリティ−:

 防衛政策という観点から、注目点ということですが。

増田局長:
 自衛隊の統合機能の強化というのが、防衛政策において従来からの課題でありました。略せば同じ「統幕」なんですけれども、正式名称でいえば、以前は「統合幕僚会議」というのであったのですが、それが今では「統合幕僚監部」というようになりまして、そこの長は、以前は「統合幕僚会議議長」というものでしたけれども、今は「統合幕僚長」であります。これは長い過程を経て、平成18年の改編でこういうふうに変わりました。


パ−ソナリティ−:

 名称だけではなく、中身も変わったということですか。


増田局長:

 そうですね、昭和28年の発足以来、統幕は、防衛出動や治安出動といった出動時において、指揮命令の統合調整を実施するというふうにされておりました、平成10年になって、これに災害派遣とか国際平和協力業務といった出動時以外も加わりまして、これらの統合調整を実施するということになりましたけれども、あくまでも「統合調整」というものでありました。そういうことで自衛隊の態勢は、陸・海・空の各自衛隊ごとの運用が基本とされていたわけですけれども、平成18年に、新たな統合運用体制への移行として、統合幕僚監部が新設されて、統合運用が基本というふうにされるようになりました。こうして、各自衛隊を一元的に運用して、自衛隊の任務を迅速かつ効果的に遂行するために、統合運用の強化が行われたわけです。統合部隊という制度・概念は以前からあったのですが、実際に統合組織が編成されたのは、この平成18年の改編以降であります。


パ−ソナリティ−:

 統合運用に関することのほかに注目すべき点というのは。


増田局長:

 そうですね。いろいろな国から緊急援助隊が来てですね、私たちを助けてくれました。また、同盟関係にある米軍ですね、本当によくやってくれています。大々的な捜索・救難活動はもちろんのことですけれども、そのほかにも学校や駅の瓦礫撤去とか、シャワーによる入浴支援をしてくれたり、あるいは演奏会までやってくれています。今回の震災ほど、同盟国である米国を頼りに思ったことはないですね。
東北防衛局をはじめとした地方防衛局、あるいは本省には、語学を専門とする職員の集団を擁しております。これらの語学専門職員を、米軍による支援活動に同行させて、その支援活動が円滑になるように私ども努めてまいりました。単に通訳だけにとどまらず、例えば、学校での瓦礫撤去を米軍と一緒になって手伝ったりもしています。


パ−ソナリティ−:
 いろいろな活動をされてきたんですね。他には何か。

増田局長:
 この統合運用のほかに、今回注目すべき点としては、予備自衛官と即応予備自衛官という制度がございますが、これらの召集が初めて行われたという話があります。それと福島の原子力発電所にかかる対処については「原子力災害派遣」というものが初めて実施されました。それと米軍が災害救援活動としてトモダチ作戦、これを自衛隊と緊密に連携して実施してくれましたけれども、これまでにない大規模なもので、日米同盟という観点から非常に意義深いものであったと思います。
 これらについては、話し始めますと長くなりますので、また次の機会にお話しできればと思っております。

パ−ソナリティ−:
 それでは局長、できればその話は次回またよろしくお願いいたします。今日は有難うございました。

増田局長:
  どうもありがとうございました。
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