自 衛 隊 百 科
12月放送内容)


テ-マ:共同訓練について



パーソナリティー:

 本日も東北防衛局長にお話を伺います。東北防衛局の伊藤茂樹局長です。本日もよろしくお願いします。

局長:
 よろしくお願いします。

パーソナリティー:
 本日は、共同訓練についてのお話をお伺いしたいと思います。

局長:
 はい。自衛隊と米軍は、平素からいろんな共同訓練を実施しています。これは、戦術面などの相互理解と意思疎通を深め、相互運用性というものを向上させ、日米の共同対処能力を高めることを目的としています。
 また、平素から共同訓練を行うことは、日米それぞれの戦術技量の向上を図る上でも有益であります。とりわけ、経験豊富な米軍から習得できる知見や技術はきわめて貴重でありまして、自衛隊の能力向上に大きく資するものであります。
 また、効果的な時期や場所、あるいは規模で共同訓練を実施することは、日米間での一致した意思や能力を示すことにもなりまして、抑止力の機能を果たすことになります。
このように、日米共同訓練は、日米安全保障体制の信頼性を高め、我が国の安全保障上重要な意義を持つものです。

パーソナリティー:
 はい、最近では、東北防衛局管内において日米共同訓練は行われたのですか。


局長:
 はい、自衛隊と米軍との共同訓練について、最近の例をいくつか挙げますと、本年8月下旬から9月中旬にかけて、宮城県の大和町、色麻町、大衡村にまたがっている、王城寺原演習場というところでですね、陸上自衛隊と米陸軍が、それぞれの指揮系統に従い、共同して作戦を実施する場合の連携要領を演練する「オリエント・シールド」という名称の実動訓練が実施されました。
 陸上自衛隊からは、秋田駐屯地に所在する第21普通科連隊を基幹として、約1,200名が、米陸軍からは約850名が参加しております。

パーソナリティー:
 とても大規模な訓練なのですね。訓練期間の間は、東北防衛局としてはどんな仕事をしているのですか?

局長:
 はい、訓練期間中は演習場内に東北防衛局の現地連絡所を開設しております。ここで関係自治体へ情報の提供などを行いまして、周辺住民の皆様の不安解消と安心・安全の確保に努めたところです。

パーソナリティー:
 訓練の中で大変だったことなどはありますか。

局長:
 訓練期間中、日米両隊員は隊舎には宿泊せず、訓練場内にテントを張って野外泊をするのですが、今年度は台風21号の接近により連日の雨とその後の暴風に見舞われまして、野営を一時中止せざるを得ない状況となりました。

パーソナリティー:
 そうですね、今年は例年にも増して台風が多く発生していましたし、その中での訓練というのは相当大変だったと思います。
 他にも、共同訓練は行われたのでしょうか。

局長:
 はい、今年は、9月下旬から10月中旬にかけて、山梨県の北富士演習場や先程申し上げた宮城県の王城寺原演習場などにおいて、陸上自衛隊とイギリス陸軍が日英共同訓練、名称は「ヴィジラント・アイルズ」、日本語に訳しますと「用心深い島々」とでも言うのでしょうか、これを実施しています。
 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しております。例えば、米国でさえ一国のみで自国の安全を確保することは困難な状況と認識しています。
 イギリスは、ヨーロッパのみならず世界に影響力を持つ大国であるとともに、我が国の歴史的にも深い関係があり、アジア及びヨーロッパにおける、それぞれ最も緊密な安全保障のパートナーとして、防衛協力を深めることは非常に重要です。この日英共同訓練は、陸上自衛隊と陸軍間では初めての国内での日英共同の実動訓練であり、日英間の防衛協力の深化を象徴するものです。

パーソナリティー:
 はい、それでは具体的にどのような訓練が行われたのでしょうか。

局長:
 例えば、イギリス陸軍が世界でも有数の優れた能力と豊富な経験を有している「統合火力誘導」という分野での共同訓練を行いました。
 統合火力誘導というのは、目標に対する偵察・監視や指揮所への情報伝達などを意味します。なお、今回の日英共同訓練は、規模も日英合わせて約100名程度であり、陸上自衛隊の戦術技量の向上と日英の防衛協力を深めるための訓練でありまして、イギリス軍との共同対処を目的とした訓練ではありません。


パーソナリティー:
イギリス陸軍との共同訓練は初めてということでしたが、直近でイギリス軍と実施した共同訓練というのはあるのでしょうか。

局長:
 はい、少し遡りますが、平成28年10月には航空自衛隊三沢基地とその周辺の空域におきまして、イギリス空軍と航空自衛隊との共同訓練を実施しています。 
 また、今年の8月にイギリス海軍の揚陸艦(ようりくかん)「アルビオン」が来日し、海上自衛隊の艦艇と本州南方の海域で共同訓練を行っています。このように日英の陸・海・空部隊間の連携強化の実績が蓄積されつつあります。

パーソナリティー:
 陸海空で共同訓練が行われているのは、日英両国の連携が強まっていることを表しているんですね。
 日米共同訓練に戻りますが、海上自衛隊や航空自衛隊でも共同訓練を実施しているのでしょうか。

局長:
 海上自衛隊につきましては、今年の7月に、青森県の陸奥湾において、海上自衛隊の掃海部隊が集まりまして、掃海訓練、機雷敷設訓練及び潜水訓練を実施しました。また、特別掃海訓練として、日本・アメリカ・インド、3か国間の水中処分員による共同での潜水訓練を行ったほか、日米の掃海艦艇や航空機による共同掃海訓練を実施しました。
 航空自衛隊につきましては、今年の5月に、米軍再編に係る岩国飛行場から三沢基地への訓練移転により共同訓練が実施されました。
この訓練移転の実施は、日米間の相互運用性を向上させるとともに、在日米軍の飛行場周辺地域における訓練活動の影響を軽減することを目的とした米軍再編の一環となっているものです。
なお、今回のように他の米軍飛行場から三沢基地への訓練移転は、9回目の実施となりました。

パーソナリティー:
 はい、周辺地域への影響を軽減するための訓練移転ということですが、こちらの訓練でも東北防衛局として何か支援をされたのでしょうか?

局長:
 東北防衛局では、米軍の支援に加え、周辺住民の方々の安心、安全を図るため、三沢防衛事務所内に現地連絡本部を設置しております。
 ここで関係機関等との連絡調整のほか、航空機の騒音測定を行うなど、訓練の円滑な実施と周辺住民の方々の不安解消に努めたところです。
 私ども東北防衛局としては、共同訓練の実施に際しては、今後とも地元との連携を密にし、万全の体制で臨んでいきたいと思っております。

パーソナリティー:
 はい、ありがとうございます。本日は共同訓練について、ということでお話を伺ってまいりました。東北防衛局の伊藤局長から、お話をお伺いいたしました。どうもありがとうございました。

局長:
 ありがとうございました。







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