防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(10月放送内容)



 

テ−マ:災害時における支援活動について

 
 



パーソナリティー:
 本日も東北防衛局の伊藤茂樹局長からお話を伺います。本日もよろしくお願いします。

局長:
 よろしくお願いします。

パーソナリティー:
 本日は、東北防衛局と自衛隊との関わりについてお話を伺います。

局長:
 はい。東北防衛局では管内の各自衛隊と「防災訓練」、「意見交換会の開催」、「日米共同訓練への参加」あるいは「災害時の技術支援」などの活動を通じて日頃から連携を図っています。
 本日は、その中でも「災害時における技術支援」についてお話したいと思います。

パーソナリティー:
 災害時には自治体等の要請により自衛隊が派遣されたりすることは、報道等でよく耳にしますが、東北防衛局においても何かされているということですか。

局長:
 自衛隊の主な活動の一つとして、地震、豪雨などの自然災害や大きな事故などが起きたときは、自衛隊の組織力や装備、能力を生かして、報道でも知られていますように、人命救助活動ですとか、給水・給食などの生活支援活動などを行っています。
 これらの災害などにおきましては、時には自衛隊の施設自身も被害を受ける場合もあります。自衛隊の施設は活動の拠点となるものですから、それが被災すると様々な任務に影響が生じて、”国民の生命と財産を守る”という自衛隊の活動の根幹が崩れかねません。
 そこで私たち東北防衛局では、被災するなどして自衛隊の施設に被害が及んだ場合には、彼らの活動がしっかり行えるように速やかに自衛隊の施設の被害状況を調べ、時には応急復旧を実施するなどして支援活動を行っています。

パーソナリティー:
 自衛隊の中には、施設の維持や管理をする部署があると聞いていますが、なぜ、防衛局で被害状況の調査などの支援を行う必要があるのですか。

局長:
 それはですね、飛行場や格納庫あるいは通信施設など、防衛施設の建設には、その特性上から幅広い知識と技能が必要です。そのため、防衛局には、建築、土木、電気、機械、通信とあらゆるインフラ整備に必要な分野のエキスパートがおります。
 例えば、当局には、建築士、測量士、土木施工管理技師、電気工事士など、特殊な資格や技能を有する職員が多数在籍しています。
 自衛隊の活動を止めることなく、被害を受けた防衛施設の復旧を行うには、建設段階と同様の知識と技術力、さらに状況に応じた判断力が必要であるため、東北防衛局で支援する体制を整えております。

パーソナリティー:
 なるほど、そうなんですね。では、先程お話に出ました「支援体制」なのですが、どのようなことをしているのか、もう少し詳しくお話を聞かせて下さい。

局長:
 防衛局には、建設工事を担当する調達部という部署があります。防衛施設の被害状況の調査や応急復旧を行うため、当局では、この調達部の職員がその役割を務めております。
 従いまして、調達部の職員は災害時に自衛隊施設の被害の度合いを見定める能力を備え、これを維持していくために各種の資格を取得し、定期的な訓練を実施することによって、支援要請に対応するスキルを身に付けて対応するよう普段から心がけております。

パーソナリティー:
 日々の仕事をこなしながら、スキルを保つために資格まで取得され、努力されているということなんですね。
 災害時の対応のためにどの様な資格をお持ちなのかも紹介していただけないでしょうか。

長:
 災害時に効果を発揮する資格としては、先ほどお話しした各種技能の資格のほかに、例えば、「被災建物応急危険度判定士」という資格があります。これは、地震などで被災した建物の倒壊の危険性を見定めるための資格です。
 また、「被災宅地危険度判定士」という資格は、被害を受けた宅地等の土砂災害の危険度を判定するものです。当局の職員もこれらの資格を取得しております。


パーソナリティー:
 まさに、技術面でのエキスパートの集団ですね。
 お話の中では訓練も定期的にされているとのことでしたが、差し支えなければ、その内容についてもお話いただけませんでしょうか。

局長:
 はい、東北防衛局では職員一人一人の危機管理意識を高めるために自衛隊や関係自治体などと協力して訓練を実施しております。
 この訓練では各職員の役割を明確化して、被害状況を始めとする情報収集や情報の共有、救援活動に係る連携の調整などについて実施しています。
 また、施設の被害状況を把握するための訓練としましては、自衛隊内の様々な建物を用いた危険度の判定調査、崖地の危険度を判定する調査などの判断力、復旧手順や工法の検討などについてシミュレーションを行い、技術面から迅速に支援するための訓練を行っています。

パーソナリティー:
 日頃から、危機管理意識をもってお仕事をされていることがよく分かりました。
 ところで、先の東日本大震災においては自衛隊の施設もかなり被害を受けたと聞いておりますが、その際、東北防衛局で行った技術支援などがありましたら、お話いただけますでしょうか。

局長:
 お話しのとおり、東日本大震災では自衛隊の施設も甚大な被害を受けました。そのような中においても隊員は危険を顧みず、与えられた任務を遂行して捜索・救助活動を行っていました。
 我々、東北防衛局におきましては、隊員の勤務環境を早く改善させるため、震災発生の翌日から、被災した自衛隊の施設への技術支援として、被害状況調査など、できる限りの支援をするため各基地等へ出向きました。
 主な技術支援を取り上げますと、宮城県の航空自衛隊松島基地では、津波により大きな被害を受け、滑走路が閉鎖されるなど、飛行場施設が被災しました。これを早期に解放するため、滑走路の路面の段差ひび割れの有無について、調査支援をしました。
 また、津波により機能不全となっていた航空灯火設備について、夜間における飛行再開に向けた応急的な復旧工事を実施して、支援を行いました。このような支援によりまして、短期間で飛行場機能の回復を果たすことができました。この松島基地の機能が回復したことによりまして、自衛隊の救援活動がスピーディーに行われるようになりました。
 また、仙台駐屯地など各駐屯地では、地震で被災した多くの建物について危険度を判定し、立入りの制限、部分使用についての判断を行うなどの調査支援を行ったところです。
 そのほか、岩手県山田町に所在する航空自衛隊山田分屯基地では、地震で被害にあったヘリポートの点検調査の技術支援を行いました。
 建築物以外につきましても基地内の道路の亀裂調査や水道管の漏水調査等、インフラを含め、基地全般にわたる復旧を進めるための技術支援を実施したところです。
 このように、東北防衛局は自衛隊の使命を自覚し、拠点となる施設の技術支援を通じて国民の負託に応えるよう努力しています。

パーソナリティー:
 基地ごとに被災状況が異なる中で、様々なかたちで支援されていることがよく分かりました。
 本日は、東北防衛局の伊藤局長から、災害時における東北防衛局の活動についてお話を伺いました。
 貴重なお話、どうもありがとうございました。

局長:
 ありがとうございました。


 
 
  
 
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