自 衛 隊 百 科
月放送内容)


テ-マ:飛行場周辺等の移転補償により取得した国有財産について



パーソナリティー:
 本日は、8月3日に東北防衛局長に着任されました伊藤茂樹局長にお話を伺います。伊藤局長、よろしくお願いします。

局長:
 はい、こちらこそ、よろしくお願いします。
 本日は、防衛施設の管理といった財産に関係する業務として、航空機等の騒音障害によって生活又は事業活動が阻害され、住宅等の移転を余儀なくされる場合に、土地所有者からの申出に応じて飛行場周辺等の土地等を国が買い入れ管理している移転跡地(通称「周辺財産」)についてお話したいと思います。

パーソナリティー:
 はい、お願いします。

局長:
 防衛省が管理している財産には色々な種類があります。
 代表的なものとしては、自衛隊の基地や駐屯地などの行政財産、在日米軍の飛行場などの提供財産のほか、本日ご紹介いたします「周辺財産」があります。

 周辺財産とは先ほども申しましたが、飛行場等が所在することにより生じる騒音対策として住宅等の移転を余儀なくされる場合に、国が買い入れた土地等の財産ですが、国が保有することにより新たな騒音障害が発生することを未然に防止するという重要性があります。

 これらの土地等については、緑地帯として樹木を植栽し、植栽した樹木の剪定、除草等を実施する緑化対策事業のほか、地方自治体に対し、公園及び広場、防災関連の施設、牧草地などの用途として使用許可をするなどして、適切な維持管理に努めています。

 山形県にはないのですが、隣県の宮城県東松島市に所在する「航空自衛隊松島基地」、大和町・色麻町・大衡村に所在する「王城寺原演習場」、青森県三沢市等に所在する「米軍三沢飛行場」や「三沢対地射爆撃場」の周辺に周辺財産が所在しています。

パーソナリティー:
 樹木の植栽や剪定、除草等を実施しているとお伺いしましたが、防衛省としては特殊といいますか、専門的な知識が必要と思われますが、維持管理等は大変ではないのですか。

局長:
 はい、職員は造園業などの専門的知識はないですが、一生懸命勉強して緑化対策業務を遂行しています。しかし、緑地帯の維持管理は職員が自ら行うわけではなく、業者に委託しており、空地の除草等工事を主として実施しています。

 他方、周辺財産の面積も広大で、維持管理として除草等工事を行うのも大変ですので、近年は、基地周辺の地方自治体に対し、緩衝地帯としての行政目的を妨げない限度において、地域の民生安定につながるとの判断のもと、「牧草地」として使用許可を行った上で、地方自治体に管理してもらっております。

パーソナリティー:
 周辺財産はどの位の面積があるのでしょうか。

局長:
 はい、青森県と宮城県の合計で約1,027㏊ありますが、東京ドームに換算すると約220個分にあたります。
 やはり青森県の三沢飛行場の周辺財産が一番広大で約439㏊、次に三沢対地射爆撃場の周辺財産が約308㏊となっており、この2つの施設で全体の約73%を占めています。その他、王城寺原演習場が約195㏊、航空自衛隊松島基地が約68㏊となっています。

パーソナリティー:
 思ったより広大な面積で圧倒されてしまいましたけれども、先程、地方自治体に対して「牧草地」として使用許可しているとお聞きしましたが、通常の使用許可と言いますか、国有財産の使用許可という面では、牧草地は珍しいと思いますが、防衛省(局)としてのメリット、また、地元自治体としては、どのようなメリットがあるのでしょうか。

局長:
 はい、使用許可した周辺財産の管理を地方自治体に行って頂くことにより、国としては、維持管理の面で除草等の経費がかからないことが一番のメリットだと思います。

 他方、乳牛及び肉牛を飼育している畜産業が盛んな地方自治体としても、地元の農家へ安定した牧草の供給を行うことができ、畜産業の更なる発展に繋がるため、周辺財産の有効利用はお互いにメリットがあるということになります。

 最近では、平成28年4月から青森県六ヶ所村に対し、牧草地の使用許可を行いましたが、毎年面積を拡大していき、今年の4月からは全体で約227㏊(東京ドーム換算約48個分)を使用許可しており、他の防衛局に類をみない広大な面積となっています。

 乳牛及び肉牛を飼育している畜産農家にとって、慢性的な牧草不足で輸入飼料に依存する経営はその不安定性が指摘されており、当局としても、地元畜産業の振興に貢献するとともに、防衛施設と周辺地域とのより一層の調和が図られていることから、大変よい取り組みだと思っております。

 「牧草地」の使用許可は使用収益があるので有償でお貸ししていますが、地元の地方自治体が公園や広場、防災関連施設、公共用駐車場等の用途で利用する場合には無償で使用許可ができることとなっております。
 三沢飛行場周辺では、三沢市に対し、「モトクロス場や馬力大会会場等の多目的広場」、「サッカー場等の運動広場」や「芝生公園」等として有効に活用してもらっています。

 他には、東日本大震災で被災した松島基地周辺では、震災復興に寄与するため、東松島市に対し、「津波を防御する矢本防災盛土敷地」、「宮城県が整備するパークゴルフ場の駐車場敷地」、宮城県に対しては、「パークゴルフ場としての公園敷地」、「資機材を保管する敷地」として使用許可し、復興にも貢献しています。

今後も、これらの自治体から震災復興のために周辺財産の使用申請がなされれば、積極的に推進していきたいと考えております。

パーソナリティー:
 様々な用途で使用されているのですね。地方自治体が牧草地を始め、公園や広場、防災関連施設等の用途で周辺財産を利用したい場合、どのような形で防衛省と調整がなされているのでしょうか。

局長:
 はい、以前の放送でもご紹介させていただいたと思いますが、自衛隊や在日米軍が円滑に活動するためには、防衛施設の安定的な使用の確保が必要であり、そのような中、地方防衛局は、地方公共団体や地域住民の方々の御理解と御協力を得るための業務を行っています。
また、防衛施設周辺にお住まいの地域住民の方々の生活や福祉の向上を図るため、防衛施設と周辺地域との調和を図る様々な施策を行っています。

 緑化対策事業もその一環であり、常日頃から地元自治体等と調整を行うとともに、ご要望をお聞きしつつ、周辺財産を始めとする国有財産を有効的に活用していただいているところです。

パーソナリティー:
 防衛局では様々な施策、業務を行っていると承知していますが、地方公共団体や地域住民の方々の御理解と御協力を得るためには、障害防止事業や民生安定助成事業、防音事業等の周辺対策事業が主と思われがちですが、緑化対策事業についても地元自治体との調整が必要になるのですね。

局長:
 はい、もちろん障害防止事業や民生安定助成事業、防音事業の周辺対策事業等は主たる施策ですが、緑化対策事業も緑地帯として維持管理をしていくこと、地方自治体が公園や広場、防災関連施設、公共用駐車場等の用途で利用できることから、常日頃から地元自治体等と調整を行い、ご要望をお聞きすることは重要なことだと思っております。

パーソナリティー:
 広大な周辺財産の有効活用は、地元にとってもありがたいお話しということが理解できましたが、今後も地元自治体等に対し、使用許可等を拡大していくのでしょうか。

局長:
 はい、牧草地の使用許可については、地元畜産業の振興に貢献できるため、さらに周辺財産を活用して頂くよう、引き続き地元自治体と調整を図っていきたいと考えております。
 また、 広大な周辺財産の使用は地元自治体に限らず、民間への使用許可等を含め、今後どのような形で周辺財産を有効活用できるのか、東北防衛局のみではなく全国(全局)的に検討する時期にきていると考えております。

パーソナリティー:
 ありがとうございます。本日は、飛行場周辺等の移転補償により取得した国有財産について、東北防衛局の伊藤局長からお話をお伺いいたしました。どうもありがとうございました。

局長:
 はい、こちらこそ、どうもありがとうございました。





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