防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(6月放送内容)



 

テ−マ:
自衛隊等の訓練に伴う使用海面に関する漁業補償について

 
 



パーソナリティー:
 本日も東北防衛局の深澤雅貴局長からお話を伺います。深澤局長、よろしくお願いします。

局長:
 はい、よろしくお願いします。
 今日は、東北防衛局が実施している自衛隊や在日米軍の訓練等に伴う使用水面に関する漁業補償について、お話ししたいと思います。

パーソナリティー:
 はい、お願いします。

局長:
 防衛省が行っている漁業補償とは、自衛隊及び在日米軍が訓練等のため水面を使用する場合に、法律の規定に基づき漁船の操業を制限・禁止し、または、関係漁業者との契約により漁業権等の行使制限を行い、当該水面において漁業を営んでいる方が被った漁業経営上の損失を補償するものです。

パーソナリティー:
 はい、法律に基づき制限する場合と契約で制限する場合があるのですね。

局長:
 はい。自衛隊が訓練等に使用する水面が広範囲のため、関係漁業者が不特定多数にわたる場合で、防衛大臣がその必要性を認めたときには、自衛隊法の規定に基づき制限水域を設定しています。
 それ以外の場合には、できるだけ関係漁業者の理解を得ながら、民法上の自由契約によって制限水域を設定することを原則としています。

パーソナリティー:
 はい、今は自衛隊のお話でしたが、在日米軍が海面を使用する場合も同様の手続となるのでしょうか。

局長:
 わが国に駐留するアメリカ合衆国の軍隊は、わが国の周辺水域において訓練あるいは保安のため多数の海面を使用しています。
 これは、日米安全保障条約及び同条約に基づく地位協定の規定により、日米両政府間で合意されたところにより認められているものです。
 日本国政府は、使用を認めた水域において必要がある場合には、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊の水面の使用に伴う漁船の操業制限等に関する法律」、大変長い名称の法律ですが、この法律の規定により漁船の操業の制限・禁止を行い、または、関係漁業者との民法上の自由契約により漁業権等の行使制限を行っております。
 このようにして設定された制限水域に係る関係漁業者が漁業経営上の損失を受けた場合には、自衛隊の場合と同様、所要の補償措置が講じられることになっています。

パーソナリティー:
 はい、わかりました。では、東北防衛局では、どのような制限水域を設定し、補償を行っているのか、少し詳しく教えていただけますでしょうか。

局長:
 はい、当局管内では、青森県内に5つの制限水域を設定しています。自衛隊関係としては、六ヶ所対空射撃場水域、むつ湾掃海訓練海面、下北半島射撃試験海面の3つの水域を、在日米軍関係としては、三沢対地訓練水域、三沢飛行場水域の2つの水域を設定しています。
 まず、六ヶ所対空射撃場水域ですが、六ヶ所対空射撃場では、陸上自衛隊の部隊が地対空誘導弾の射撃訓練を行い、航空自衛隊の部隊が対空機関砲の射撃訓練を行っております。
 これらの対空射撃訓練は、陸地から海の上空に向かって行われますので、毎年、7月1日から11月5日までの間、自衛隊法の規定に基づき制限水域を設定し、漁業の制限をしています。
 むつ湾掃海訓練海面は、関係漁業者との契約により設定をしています。毎年、7月中旬から下旬にかけて、海上自衛隊の部隊がむつ湾で掃海訓練を実施していますが、その期間一定の区域を定めて漁業の制限を行っています。
 下北半島射撃試験海面は、東通村に所在する防衛装備庁下北試験場における射撃試験のため、関係漁業者との契約により、毎年、1月中旬から下旬にかけて設定しております。

パーソナリティー:
 はい、わかりました。それでは在日米軍の関係では、どのような制限水域が設けられているのでしょうか。

局長:
 在日米軍の2つの水域は、いずれも通年365日制限しており、法律により制限する部分と、契約により制限する部分があります。三沢対地訓練水域は、在日米軍の航空機が、三沢対地射爆撃場を使用して行う対地射爆撃訓練のために設定をしているものであり、三沢飛行場水域は、三沢飛行場に隣接する小川原湖において、在日米軍が万が一の航空機事故等に備え、救難活動を行う救難艇を係留するために設定しているものです。

パーソナリティー:
 たくさんの水域があり、関係漁業者と交渉していくのが大変そうですね。

局長:
 制限水域を設定するためには、設定交渉を通じて関係漁業者の理解を得ることが大変重要であり、日頃から、良好な関係を維持するよう努めています。
 いずれの水域におきましても、制限期間中、漁業者の方々が漁業経営上被った損失について、漁業者の方々から水揚げに係る資料をいただいたり、漁業者の方々の経営費について聞き取りを行ったり、現地調査なども行いながら補償金を算定し、補償の手続を行っています。 

パーソナリティー:
 はい、それでは、今後の課題等があったらぜひ教えていただきたいと思います。

局長:
 漁業を取り巻く環境も、日本近海漁場における操業が改めて重要視され、また、沿岸漁業においても「とる漁業」から「つくり育てる漁業」へと変貌しつつある中で、後継者難の問題を抱えながらも漁業権等漁業に対する権利意識の高い地先海域において、先祖代々の生業としての漁業と、自衛隊や在日米軍の訓練等が競合しないよう制限水域を設定することは、益々困難な状況となっています。
 そうした状況下では、関係漁業者の方々から、自衛隊や在日米軍の訓練等に対する理解と協力を得るということが、一層重要となっています。
 引き続き、関係漁業者の理解獲得に努めていきたいと考えています。

パーソナリティー:
 本日は、自衛隊等の訓練に伴う使用海面に関する漁業補償について、東北防衛局の深澤局長から、お話をお伺いいたしました。深澤局長、どうもありがとうございました。

局長:
 はい、こちらこそ、どうもありがとうございました。

 
 
  
 
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