自 衛 隊 百 科
月放送内容)


テ-マ:防衛施設紹介シリーズ⑤~王城寺原演習場編~


パーソナリティー:

 本日も東北防衛局長にお話を伺います。深澤局長、よろしくお願いします。

局長:
 はい。よろしくお願いします。

パーソナリティー:
 本日は、宮城県大和町、色麻町、大衡村に所在する陸上自衛隊王城寺原演習場についてお話をお伺いしたいと思います。

局長:
 はい、陸上自衛隊王城寺原演習場は、明治11年に陸軍の大砲演習場として開設され、明治45年に「王城寺原演習場」と改称し、終戦後の米軍接収を経て、昭和33年に米軍から全面返還を受け、現在に至っています。
 面積は、約4,250万㎡、東京ドーム909個分の広さがあり、全国で5番目に広い演習場です。演習場には、演習場を管理する部隊が常駐しており、この広大な演習場の使用状況の把握や使用後の点検、施設や器材等の維持管理を実施しています。

パーソナリティー:
 とても広い演習場ですね。演習場の中には、どのような施設があるのですか。

局長:
 はい、榴弾砲などの弾着地、戦車や対戦車火器等の射場、小銃などの射撃場、市街地訓練施設のほか、空挺降下の訓練区域などがあります。これらの施設を使用し、年間約300日程度、自衛隊は訓練を行っています。

パーソナリティー:
 訓練といえば、王城寺原演習場では、米軍も訓練を実施していたと思いますが。

局長:
 はい、米海兵隊による155㎜榴弾砲等を使用した実弾射撃訓練や米軍と自衛隊との日米共同訓練も実施しています。
 米海兵隊による155㎜榴弾砲実弾射撃訓練は、沖縄の負担軽減のため、平成9年度から実施され、王城寺原演習場においては、今年度までに15回実施されています。
 日米共同訓練としては、平成28年8月には、宮城県の多賀城駐屯地の部隊と沖縄に駐留している米海兵隊が、また、平成29年8月には、東京都の東部方面隊と在日米陸軍が、そして今月には、青森県の弘前駐屯地の部隊と米海兵隊が参加して、日米が共同して作戦を実施する場合の連携要領についての訓練が実施されています。

パーソナリティー:
 米軍との訓練が実施される時は、東北防衛局も対応しているのですよね。

局長:
 はい、演習場内に現地対策本部を設置し、米軍及び自衛隊との連絡調整や関係自治体等への情報提供を行うなどの対応を行っています。

パーソナリティー:
 今、お話を伺った共同訓練等以外では、演習場に関し、東北防衛局はどのような対応を行っているのですか。

局長:
 はい、演習場などの防衛施設は、周辺住民の方の理解と協力を得て、常に安定して使用できる状態に維持することが必要でありますので、いわゆる周辺環境整備法などに基づき、防衛施設と周辺地域との調和を図るための事業や諸施策も行っております。
 王城寺原演習場における最近の事例は、大和町の医療費助成事業や大衡村の住宅団地の道路、上下水道、公園などの公共施設の整備事業や色麻町の町道改修工事に助成を行っています。

パーソナリティー:
 自治体の事業に対する助成以外にも、周辺住民の方に関係ある施策はあるのですか。

局長:
 はい、演習場周辺の砲撃音対策として移転補償等があります。これは、砲撃などの頻繁な実施により生じる障害が著しい区域を指定し、その区域内にあり、かつ決められた時期までに建築された建物等を対象として、その所有者が移転を希望される場合に、その補償や土地の買い入れを行うものです。
 建物等の移転補償には、個人の移転希望者が、それぞれ移転先地を確保して個別に移転する方法と多くの移転希望者が一団となって同一地区へ移転する方法があります。
 後者を集団移転と呼んでいますが、王城寺原演習場周辺では、2ヶ所の集団移転を実施しています。
 集団移転の場合、地元自治体にとっては、計画的なまちづくりを行うことが可能になり、また、住民の方々にとっては、従来の集落や近隣関係を維持したまま、これまで被っていた騒音被害や不安感などが解消されることになります。

パーソナリティー:
 本当に色々な施策を実施しているのですね。

局長:
 はい、東北防衛局は、周辺住民の方に向けた業務だけでなく、演習場を使用する自衛隊の部隊に対しても、隊員用の浴場建設や演習場内の整備工事、射撃を実施するために必要な保安用地の借り上げなどの業務を行っています。

パーソナリティー:
 自衛隊の部隊は、地域の方々との良好な関係を維持するために、どのようなことを行っているのですか。

局長:
 はい、演習場が所在している地区の代表者の方などを対象に意見交換会を実施したり、春と秋に山菜採りのために演習場周辺地域自治体の方に演習場を開放していると聞いています。
 また、王城寺原演習場の近傍には、戦車が主体の大和駐屯地が所在し、訓練のため駐屯地と演習場の間を戦車が村道を移動することになりますが、道路状況に応じて、民間の車両や周辺の民家等に配慮をしながら走行し、また、走行後は、戦車が道路を汚すこともあるため、専用車両により道路清掃も行っていると聞いています。

パーソナリティー:
 東北防衛局も自衛隊の部隊も、周辺地域との調和を図り、地域の方々の理解と協力が得られるように、様々な施策等を行っていることがよくわかりました。
 本日は、東北防衛局の深澤局長から、お話をお伺いいたしました。どうも、ありがとうございました。

局長:
 はい、こちらこそ、どうもありがとうございました。






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