自 衛 隊 百 科
11月放送内容)


テ-マ:防災訓練・国民保護訓練について


パーソナリティー:
 本日は、東北防衛局の深澤局長に「防災訓練・国民保護訓練」について、お話を伺います。よろしくお願いします。

局長:
 はい、よろしくお願いします。

パーソナリティー:
 早速ですが、防災訓練についてお聞かせください。

局長:
 はい。ここ東北地方においても、平成23年の東日本大震災や昨年の台風10号による豪雨災害などにより、様々な被害が発生しております。そうした災害から得られた教訓を活かし、平素から災害時における被害軽減につながる備えを充実強化するとともに、災害時に迅速かつ適切な防災活動を行うべく、各自治体等では、防衛省・自衛隊も参加して各種防災訓練が実施されております。また、政府としましても、「防災の日」や「防災週間」、「津波防災の日」を定め、各種防災訓練を実施したり、防災意識の向上や普及啓発の推進に係る活動などを行っております。

パーソナリティー:
 「防災の日」などについて少しご説明いただけますか。

局長:
 はい。まず、「防災の日」ですが、これは1923年9月1日に発生した関東大震災にちなみ、政府、地方公共団体等防災関係諸機関を始め、広く国民が、台風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波等の災害についての認識を深めるとともに、これに対する備えを充実強化することにより、災害の未然防止と被害の軽減に資するよう定められた日でありまして、9月1日を「防災の日」としております。
 また、「防災週間」は、「防災の日」を含め1週間を、防災訓練や防災意識の向上や普及啓発の推進に係る活動などを行う期間として定められており、今年は8月30日から9月5日までが、「防災週間」でありました。
 そして、「津波防災の日」ですが、これは、平成23年の東日本大震災で甚大な津波被害が発生したこと等を踏まえ、「津波対策の推進に関する法律」が制定されまして、国民の間に広く津波対策についての理解と関心を深めるようにするため、11月5日が「津波防災の日」として定められています。

パーソナリティー:
 「津波防災の日」を11月5日と定めた由来などはあるのでしょうか。

局長:
 はい。この11月5日は、安政元年(1854年)11月5日に、和歌山県で起きた大津波の際に,村人が自らの収穫した稲むらに火をつけることで早期に警報を発し,避難させたことにより村民の命を救い,被災地のより良い復興に尽力したという「稲むらの火」の逸話に由来しています。
 なお、一昨年(平成27年)12月の国連総会本会議において、この11月5日を「世界津波の日」に定める決議が採択されております。

パーソナリティー:
 災害に対する平素からの準備について、住民としてはどのようなことに心掛けたらいいのでしょうか。

局長:
 はい。防災対策において、「自助」、「共助」、「公助」という言葉を耳にされた方もいらっしゃると思います。
 「自助」は、皆さん自身で、緊急避難グッズや非常食を準備したり、家具の転倒防止対策をしたり、住宅の耐震補強したりと自分の身を守ることです。
 「共助」は、町内会や自治会などの小さな地域コミュニティ単位で、防災としての助け合い体制を構築する、また災害発生時に実際に助け合うことです。
 「公助」とは、国や自治体などの行政が行う、避難所の指定や一時避難場所の整備、災害情報の周知・徹底、災害時の救助活動などのことです。
 その中で、国や自治体が実施する防災活動などの公助の備えも大変重要ですが、近年では、自助や共助の取組が重要視されており、東日本大震災の際には、自助及び共助により救出された方が9割という結果も、ある調査により出されております。
 そのため、皆さん一人一人が、既に準備されている方も多数いらっしゃるとは思いますが、改めて、緊急避難グッズや非常食を準備したり、家具の転倒防止対策をしたり、もしもの時の家族の集合場所を決めること。地域コミュニティで顔の見える関係を構築するなどの備えを行っていただきたいと思います。

パーソナリティー:
 災害における備えは、改めて確認する必要があると感じました。
 では、次に国民保護訓練について伺いたいと思いますが、まず、国民保護訓練とはどのような訓練なのでしょうか。

局長:
 はい。我が国に対する武力攻撃が発生した事態や大規模テロ等の事態などにおいては、国民の生命・身体・財産を保護するため、住民の避難や救援などといった国民の保護のための措置をとることとなりますが、国民保護訓練は、そういった事態に備え、関係機関の機能確認や相互の連携強化を行うとともに、国民の保護のための措置に対する国民の皆さんの理解の促進を図ることを目的として実施されています。

パーソナリティー:
 具体的には、どういった事態を想定した訓練が行われているのでしょうか。

局長:
 はい。国民保護法に基づく国民保護訓練は、平成17年度以降実施されてますが、大規模テロを想定した訓練を中心として行っています。爆発物を用いたテロだけでなく、サリンなどの化学剤が散布された事態、炭疽菌などの生物剤が散布された事態、放射性物質を含んだ爆発物が爆発した事態などについても、訓練が行われてきており、最近では、これらの複合事案や同時多発事案などより高度な訓練が行われるようになってきております。
 また、今年は、北朝鮮の弾道ミサイル発射事案に対する国民の不安感が一層高まっていることを踏まえ、3月に秋田県男鹿市で弾道ミサイルを想定した住民避難訓練が実施されたことを皮切りに、全国各地で弾道ミサイルを想定した訓練が行われるようになっています。

パーソナリティー:
 弾道ミサイルについては、実際に、聞き慣れない音が防災無線から鳴り、携帯電話でも緊急避難メールを受信し、どうしたらよいか分からないことがありました。

局長:
 はい。8月29日と9月15日に、北海道地方の上空を北朝鮮の弾道ミサイルが通過するという事案が発生しましたが、その際には、Jアラート等を使った緊急情報の伝達が行われ、東北地方も全域で自治体の防災行政無線が鳴り、携帯電話にも緊急避難メールが送信されましたので、皆さん自身の対応に不安を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 政府としては、弾道ミサイル落下時の行動について、政府広報や内閣官房の国民保護ポータルサイトで周知を図っていまし、地方自治体にもお願いして周知してもらってます。具体的には、屋外にいる場合は建物等の中に避難し、建物が無い場合は物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭を守る、屋内にいる場合は窓から離れるか、窓のない部屋に移動すること等が説明されていますので、ご確認いただき、また、機会があれば、訓練にも参加していただければと思います。
  
パーソナリティー:
 防災訓練、国民保護訓練どちらも、行政機関だけではなく、住民一人一人の意識と備えが重要ということが分かりました。
 本日は、東北防衛局の深澤局長から「防災訓練・国民保護訓練」について、お話を伺いました。局長、ありがとうございました。

局長:
 こちらこそ、ありがとうございました。





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