防災特別番組~防災月間を迎えて

テ-マ:東北防衛局の防災対策などについて

パーソナリティー:
 本日は、東北防衛局の深澤局長に「東北防衛局の防災対策など」について、お話を伺います。よろしくお願いします。

局長:
はい、よろしくお願いします。

パーソナリティー:
 
最初に、平成23年に発災した東日本大震災では、東北防衛局においても様々な対応をされたと承知していますが、その対応についてお聞かせください。

局長:
 
はい。平成23年3月11日当日、東北防衛局は、地震発生から14分後、局長を本部長とする「緊急事態等対策本部」を設置し、局職員約220名が第三種非常勤務体制に入りました。第三種非常勤務体制とは、大規模自然災害発生時など、例えば、地震であれば、東北地方において震度6強以上の大規模地震が発生し、重大な被害が生起した場合などにおいて、職員全員でその災害に対応する必要があるときにとられる体制です。
 この東北防衛局の総力をあげた体制で、「自衛隊や在日米軍施設等の被害状況等の確認」でありますとか、「自衛隊への技術支援」、「米軍の活動支援」、更には宮城県知事からの要請による「ご遺体安置所におけるご遺族対応」などの活動を行いました。

パーソナリティー:
 
それぞれについて少しご説明いただけますか。

局長:
 
はい。まず、発災直後から当局の職員を宮城県庁や仙台市に所在する陸上自衛隊東北方面総監部等に連絡員として派遣し、情報収集に当たらせるとともに、部隊の活動状況でありますとか、自衛隊や米軍施設の被害状況等の確認・連絡業務を開始しました。
 そして、甚大な被害を被った航空自衛隊松島基地や陸上自衛隊仙台駐屯地などの自衛隊施設に、東北防衛局の建設技術者集団を派遣し、緊急機能復旧などのための技術支援を行いました。
 また、在日米軍の「トモダチ作戦」に対しては、自衛隊と在日米軍の調整所でありますとか、在日米軍の災害復旧活動の現場などに、当局の語学を専門とする職員などを派遣し、通訳支援などを実施しました。
 そして、宮城県知事からの要請を受けて実施いたしました、石巻市や角(かく)田(だ)市(し)などのご遺体安置所におけるご遺族への対応にも、当局の多くの職員を派遣し従事しました。


パーソナリティー:
 
自衛隊施設の復旧にも関わっていたのですね。

局長:
 はい、もう少し具体的にお話しますと、津波が押し寄せた宮城県東松島市に所在する航空自衛隊松島基地は、支援物資輸送の重要拠点として早急に機能を復旧させる必要がありました。そのため、当局には土木、建築、設備の技術者が多数おりますので、その建設技術者集団を現地に派遣し、滑走路全面における舗装のひび割れや段差の有無など復旧に問題のある箇所の計測・記録を行い、更には、簡易的に舗装強度を確認するため、大型重機を載せたトレーラーを滑走路上で連続走行させ、たわみの有無の確認など24時間体制で行いました。これらの迅速な調査等の結果、発災から5日後には補修が完了し、松島基地を使用した自衛隊機による物資輸送を開始することができました。
 それから、増大する被災地への物資輸送に対応するためには、昼間だけでなく夜間の航空機離発着も必要となってきましたので、津波で損傷した航空灯火などの航空保安施設の応急復旧作業にも当局の技術要員を派遣し、作業を行いました。
 また、この震災では、松島基地以外の自衛隊施設も大きな被害を受けましたが、これらの自衛隊施設の中には、自衛隊の災害派遣活動の拠点とすべきものもありましたので、発災翌日から、当局の技術要員を派遣し、仙台駐屯地の建物31棟を始めとして、合計約130棟を超える建物について、応急危険度の判定を実施しました。

パーソナリティー:
 自衛隊の部隊の活動を縁の下で支えていたのですね。
 それでは、ここまで東日本大震災への対応についてお話いだきましたが、これらの経験を踏まえた今後の東北防衛局の取り組みについて教えてください。

局長:
 はい、当局では、緊急事態に対応するための勤務態勢などについての規則を定めておりましたが、東日本大震災の教訓反省などを踏まえて、より的確かつ迅速に対応できるよう見直しを行いました。
 具体的には、非常勤務体制を長期間継続できるよう交代勤務の要領を明確にしたり、地方自治体からの支援要請への対応体制を強化したり、更には、職員の参集要領や安否確認の要領等を見直しました。


パーソナリティー:
 規則を見直しただけでは、実際に緊急事態等が発生した場合に的確かつ迅速に対応することは難しいと思うのですが、如何でしょうか。

局長:
 はい、おっしゃるとおりです。そこで、当局では訓練にも力を入れております。例えば、局職員の参集訓練においては、「午前7時に、宮城県沖を震源とする震度6強の地震が発生」という想定の下、実際に、当直員から全職員に対し、安否確認と参集の連絡し、連絡を受け取った職員は、安否や参集の可否を報告するとともに、徒歩で登庁するという訓練を実施しています。
 また、対策本部における初動対処訓練においては、対策本部の立ち上げ、東北方面総監部等への連絡員の派遣、対策本部会議の開催等の訓練を行っています。
 更には、映像伝送装置を用いて自衛隊施設の被害状況を報告する訓練も行っています。この装置は、携帯電話回線を利用したライブ中継が可能なもので、離れている場所であってもリアルタイムで画像と音声を確認できるものです。


パーソナリティー:
 訓練というのは、東北防衛局内だけで行っているのですか。

局長:
 いいえ、局内で行うだけでなく、自衛隊や各地方自治体が実施している防災訓練や会議にも積極的に参加しています。
 最近参加した防災訓練としては、今年6月に宮城県庁において実施された「みやぎ県民防災の日総合防災訓練」があります。当局は、県庁に設置された自衛隊連絡調整所に連絡員を派遣し、県災害対策本部における各種情報の収集、自衛隊連絡調整所における自衛隊との情報共有等の訓練を実施しました。この中では、当局の対応として、米軍支援時における地方自治体や部隊等との調整についての説明も実施しました。
 平素から、局職員の対処能力を向上させる訓練を行うとともに、自衛隊や地方自治体等の関係機関との連携を図る訓練を行うことも、とても大切だと思います。

パーソナリティー:
 私達も自宅で、日頃の備えとして食糧や水を備蓄していますが、東北防衛局でも準備されているのですか。

局長:
 はい、当局でも、災害用食糧等を備蓄しています。
 東日本大震災の際は、局内の備蓄が十分でなく、大変苦労しましたので、所要量をしっかりと備蓄しています。
 また、応急危険度の判定に使用する機器などの災害用資機材についても、すぐに持ち出せるように準備しています。 

パーソナリティー:
 災害への備えということでは、訓練をしたり、食糧等を備蓄する等は、必要なことですね。その他に、何か必要だと思っていることはありますか。

局長:
 はい、「防災への心構え、意識」ということもとても大切だと思います。
 震災から5年目となる今年3月、当局では、東日本大震災における東北防衛局の活動、教訓反省を風化させることなく将来に継承することを目的として、「東日本大震災から5年目の今、伝えるべきこと」をテーマにパネルディスカッションを開催しました。震災当時の東北防衛局長の基調講演に続き、震災対応に従事した職員等が、震災対応未経験者が多くなった当局職員に対し、当時の活動内容や教訓反省を語りました。このように実際の経験を語り継いでいくことも大切だと思います。

パーソナリティー:
 普段から、訓練を行い、地方自治体等との連携を確認して、防災への意識を持つことが、実際に災害が発生した時には、役に立つということですね。

局長:
 災害において発生する被害を軽減するためには、「自助、共助、公助」が重要であると言われています。
 「自助」とは自らの命は自分で守ること、「共助」とは隣近所が助け合って地域の安全を守ること、「公助」とは行政が個人や地域の取組みを支援したり、「自助・共助」では解決できない大くくりの仕事を言います。
 自助・共助・公助の概念がわかると、防災というのは、国・都道府県・市町村・町内会・企業・家族・個人が、それぞれのパートで積極的に取り組むべきものであることが分かります。また、防災対策には、災害発生を予見する予防対策、災害発生に伴う応急対策、災害後の復旧・復興対策という三段階がありますが、いずれも「自助・共助・公助」の三つの力が連携することがとても重要なことだと思います。
 今後とも、東北防衛局職員一同、危機管理省庁である防衛省の一員として、地域の住民の皆さんや地方自治体等関係機関と緊密に連携して、より一層の防災対策に努めていきたいと思います。
 

パーソナリティー:
 本日は、東北防衛局の深澤局長から「東北防衛局の防災対策など」について、お話を伺いました。局長、ありがとうございました。

局長:
 こちらこそ、ありがとうございました。




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