防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(8月放送内容)



 

テ−マ:自己紹介・東北防衛局について

 
 


パーソナリティー:

 本日は、7月1日に東北防衛局長に着任されました深澤雅貴局長にお話しを伺います。深澤局長、よろしくお願いします。
 
局長:
 はい。よろしくお願いします。
 
パーソナリティー:
 では、まず、深澤局長のご経歴を伺いたいと思います。
 
局長:
 はい。私は、昭和63年に当時の防衛庁に入庁し30年弱になりますが、その間、防衛省の本省で様々な部署に勤務したほか、旧厚生省や内閣官房にも出向しました。地方防衛局の勤務といたしましては、今回が2回目でありまして、神奈川、静岡、山梨の3県を担当しております南関東防衛局に約2年間勤務した経験があります。また、地方勤務ということであれば、群馬地方協力本部にも勤務したことがあります。

パーソナリティー:
 それでは、今までの勤務の中で印象に残っているお仕事はありますか。
 
局長:
 そうですね、それぞれの部署でいろいろとあるのですが、最近のところでご紹介させていただきますと、まずは、5,6年前に本省で航空機課長を務めていたときに、航空自衛隊の次期戦闘機の機種選定に携わりました。航空自衛隊の戦闘機としては、現在、F−4、F−15、F−2の3機種が配備されていますが、このうち青森県三沢市に所在する航空自衛隊三沢基地にも配備されていたF−4については、既に減勢が始まっておりますので、その後継機を決める必要がありました。従来の機種選定では、現地調査などによって収集した情報に基づき、防衛庁として特定の機種を決定してから、その機種を製造する外国企業やその国の政府機関と具体的な条件について交渉するというやり方でしたので、なかなか日本側が有利に交渉を進めるということが困難でありました。そこで、今回は、透明性、公正性の高い手続の中で、競争原理を働かせてより有利な条件による次期戦闘機の取得を目指そうということで、複数の者から提案を求めて評価するという新たな機種選定手続を導入しました。結果として、提案のあった3機種の中からF−35Aが選定されたわけですが、最初の配備先が東北防衛局管内の航空自衛隊三沢基地で、平成29年度には1機目が入ってくるということで感慨深いものがあります。
 また、航空機課長の後は南関東防衛局で企画部長を務めたのですが、このときは、北富士演習場の使用協定の更新でありますとか、固定翼哨戒機「P−1」の海上自衛隊厚木航空基地への配備、更には、座間市病院建設のためのキャンプ座間返還予定地の共同使用などに取り組みました。地方防衛局の仕事は、関係自治体などの地元の皆さんのご理解とご協力をいただかなければ、円滑に進めることはできませんので、地元の皆さんとの信頼関係の重要さを痛感いたしました。

 

パーソナリティー:
 本省で勤務されていた時の業務が、今回の東北防衛局での勤務に繋がっているというのは、何か不思議な縁を感じますね。
 防衛省以外で勤務されていたというお話もありましたが、その時の想い出はありますか。
 
局長:
 はい。旧厚生省には、平成7年から2年間、当時の生活衛生局指導課の課長補佐として出向しました。この部署は、生活衛生関係営業といって、理容・美容、クリーニング、旅館・ホテルなど18業種の経営の改善に関する指導等を担当しているところでしたが、映画館や公衆浴場、また社交業といってスナック・バーなどもこの18業種の中に入っています。
 これらの営業は、いずれも公衆衛生の見地から国民の日常生活に密接に関係していますので、経営の健全化や衛生水準の維持向上を図っていこうということで旧厚生省が所管しておりました。ここに出向しているときには、理容師法・美容師法の改正や旅館業法の改正などもあり、同業組合の方々との調整に明け暮れていました。
 内閣官房への出向は、前職になるのですが、事態対処・危機管理担当の内閣官房副長官補付、我々は通称「事態室」といっておりまして、緊急事態の「事態」ですが、その事態室の総括担当参事官を務めておりました。官邸から2q圏内の危機管理宿舎に居住し、
 24時間365日、いつ緊急事態が発生しても、官邸の危機管理センターに緊急参集できるよう、官邸から5q圏内に常に所在するという行動規制がかかっておりました。その間、様々な事案がありましたが、今年に入ってからも、北朝鮮による核実験、人工衛星と称する弾道ミサイルの発射を始めとする各種のミサイル発射、熊本地震、中国海軍艦艇の動向などなどの事案があり、緊張を強いられる日々でありました。
 
パーソナリティー:
 緊急事態にいつでも対応できるように24時間365日、体制をとっているのは、本当に大変で、緊張する状態ですね。お疲れ様でした。
 今、深澤局長から南関東防衛局での体験談をお話いただき、また、この番組をお聞きの皆様は、ある程度、東北防衛局についてご存じかと思いますが、改めて、深澤局長から東北防衛局の業務についてご紹介いただけますか。
 
局長:
 はい。東北防衛局は、全国8つある地方防衛局の一つでありまして、東北地方6県を担当しております。地方防衛局は、平成19年の防衛施設庁の本省への統合の際に、防衛行政全般の地方における拠点として新設されたのですが、それ以前は、防衛施設庁の組織として、防衛施設局と言っておりました。東北防衛局の前身は仙台防衛施設局であり、今でもそのように呼ばれる方もいらっしゃいます。
 地方防衛局の主な業務としては、防衛施設局が従来担ってきた地方における防衛施設関係の業務があります。防衛施設、これは基地・港湾・飛行場、さらには演習場ということですが、自衛隊や米軍がその能力を発揮するためには、防衛施設の存在が不可欠でありますけれども、地方防衛局は、まず、このような防衛施設の建設、取得・管理等といった業務を行っております。
 また、防衛施設などの周辺では、様々な問題が発生しまして、例えば、飛行場の近くでは航空機の離発着に伴って日常的に騒音が発生していますし、演習場でも訓練の時には騒音が発生したりですとか、戦車が走ることで地面が荒れて土砂が演習場の外に流れ出す可能性もあります。また、大型車輌の通行で一般の道路が渋滞したり、路面が荒れたりすることも考えられます。それから、これはあってはならないことなんですけれども、万一事故が起きたりすると、地域の方々に大きな影響を及ぼす可能性があります。こういった問題の対策、すなわち住宅の防音ですとか、自治体の行う道路工事や護岸工事、防災無線整備への補助などの業務を行っております。
 こうした従来防衛施設局が行ってきた防衛施設関係の業務に加え、地方防衛局になってからは、地域における政策的な情報の発信ですとか装備品等の購入業務も実施するようになっています。組織の名称から「施設」を外すとともに、地名も事務所の所在する場所から担当する地域に変更して、その地域での防衛問題を幅広く取り扱おうとしているという訳なんです。私の前任である齋藤局長がお話ししたかと思いますけども、東日本大震災において、東北防衛局は自衛隊ですとか米軍とともに、様々な活動を行いました。これは、防衛施設局を防衛局に発展させた一つの成果ではないかというように思っています。
 
パーソナリティー:
 詳しく教えていただきまして、ありがとうございます。とても幅広い業務をなさっているのですね。
 最後に、東北防衛局長としての抱負をお聞かせください。

局長:
 はい。沖縄の基地問題にみられますように、自衛隊や米軍の存在を防衛施設の所在する地域の方々に理解してもらうことは、防衛問題にとって非常に大きな要素だと思います。どんなに精強な部隊を持っていても、どんなに最先端の装備を持とうとも、地域との関係で、訓練が十分にできなかったり、いざという時の活動に支障が生じたりすれば、十分な能力発揮は困難です。そういった意味で防衛局の任務には重いものがあります。
 幸いにして、東北地方の方々の自衛隊等に対する理解は大変深いものがあると考えております。私といたしましては、だからといって、それに安住することなく、さらに地域の方々の一層の理解を得るべく、様々な情報発信を含め、地域のニーズに応えたきめ細かな対応を行って参りたいと思います。
 私自身東北防衛局の勤務は初めてですので、まだまだ経験不足な面もございますけれども、東北防衛局には優秀なスタッフが揃っておりますので、彼らの意見にもよく耳を傾けながら、業務を進めて参りたいと考えております。
 引き続き、東北防衛局をよろしくお願いいたします。

パーソナリティー:
 局長、今日はありがとうございました。本日は、東北防衛局の深澤局長から、お話を伺いました。どうもありがとうございました。

局長:
 はい、こちらこそ、どうもありがとうございました。


 
   
  
 
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