自 衛 隊 百 科
自衛隊インビテーション
(7月放送内容)



テ-マ:海兵隊の移転射撃訓練について


パ-ソナリティ-:
 
本日も東北防衛局長の齋藤雅一局長にお話を伺います。齋藤局長よろしくお願いします。
 
齋藤局長:
 はい。よろしくお願いします。
 
パーソナリティー:
 5月に宮城県に所在する王(おう)城(じよう)寺(じ)原(はら)演習場において沖縄から海兵隊が来て射撃訓練を実施したと聞きました。今日は、この訓練についてお話を伺いたいと思います。
 
齋藤局長:
 はい。5月13日から22日の10日間のうちの8日間の予定で、宮城県大和町、色麻町、大衡村に所在する王城寺原演習場において海兵隊の実弾射撃訓練が実施されました。王城寺原演習場における本訓練は、平成9年度から実施され、今回で14回目になります。今回の訓練では、海兵隊約160名が参加し、車両約30両、155㎜榴弾砲6門を使用した訓練が行われました。
 
パーソナリティー:
 何故、沖縄から宮城県に来て訓練をしているのですか。
 
齋藤局長:
 ご承知のとおり、全国の米軍専用施設の約74%が沖縄県に所在するなど、沖縄県には在日米軍基地の多くが集中しており、その負担軽減は、政府としての優先課題です。この移転射撃訓練も、様々な形で進められている沖縄の基地負担軽減策の1つです。 従前は、沖縄本島中部にあるキャンプ・ハンセンという米軍施設において沖縄本島の東海岸と西海岸を結ぶ主要な道路である沖縄県道104号線を跨ぐ形で行われていました。このため、射撃訓練の際にはこの道路を通行止めにする必要があったことから、地元沖縄県民から、この道路を通行できるよう訓練を何とかして欲しいという強い要望を受けて日米間で協議し、平成8年、「沖縄に関する特別行動委員会」いわゆるSACO最終報告により、この射撃訓練を本土へ移転して実施することが合意され、北海道矢臼別、宮城県王城寺原、山梨県北富士、静岡県東富士、大分県日出生台の5つの自衛隊演習場において実施しています。
 
パーソナリティー:
 日本全体で、沖縄の基地負担軽減に貢献しているのですね。
 
齋藤局長:
 はい、そのとおりです。しかし、逆に王城寺原演習場周辺の自治体や住民の方々には、ご負担をかける結果となっており、地元の不安や負担を解消・軽減するため、東北防衛局は、様々なレベルで宮城県並びに大和町、色麻町、大衡村その他関係機関に対して、事前の説明や調整を行い、ご理解を得ているところです。
 訓練前の本年4月には、宮城県副知事を会長とし地元3町村長で構成される王城寺原演習場対策協議会が開催され、私から、当該実弾射撃訓練の日程及び地元要望に対する当局の対応について説明すると共に、事件・事故がないよう万全を期すこと及び適時・適確な情報提供を行う旨を伝えており、同協議会から了解を得ています。このように地元の了解を丁寧に取り付けた上で、訓練を実施しているのです。
 
パーソナリティー:
 訓練前にも色々と説明や調整を行われているようですが、訓練期間中は、東北防衛局はどのような対応をしているのですか。
 
齋藤局長:
 訓練期間中は、王城寺原演習場内に当局の企画部長を本部長とする「現地連絡本部」を設置し、地元自治体等への情報提供、連絡調整、演習場周辺の巡回などを行い、地元住民の安全を図るとともに、不安感を払拭するための活動を24時間体制で行いました。
 一方、海兵隊においても王城寺原演習場周辺町村長への表敬を行い、直接、指揮官から安全に配慮した訓練を実施するとともに的確な情報提供を行う旨の説明を行っています。
 また、地元住民の方々などを対象とした訓練見学会も実施しました。海兵隊からの説明を受けた後、実際に155㎜榴弾砲、射撃指揮所、小銃等の装備品をご覧いただき、最後に155㎜榴弾砲の実弾射撃を見学しました。実際の訓練を見学していただくことにより、安全と不安感の解消に繋がるよい機会になったと思います。
  
パーソナリティー:
 海兵隊の方々は、訓練だけを実施し、沖縄に帰ったのでしょうか。
 
齋藤局長:
 いいえ、訓練後は、地域への貢献や交流活動の一環として、地元の福祉施設を訪問し、ボランティア活動として花壇の除草、側溝の整備、施設の窓拭きを実施しました。また、ボランティア活動後は、海兵隊員と施設利用者や施設職員との交流会が行われ、玉入れやリレー、海兵隊員による歌やダンスが披露され、施設利用者の方々との交流が深められました。
 別の日には、日本の歴史・文化を学ぶため、仙台藩初代藩主伊達政宗公を祀る霊(れい)廟(びよう)所(しよ)「瑞鳳(ずいほう)殿(でん)」や仙台城跡地等を訪れたほか、東日本大震災の際、津波被害にあった宮城県東松島市にある野(の)蒜(びる)駅を見学しました。
 
パーソナリティー:
 歴史や文化を知ってもらうことも、訓練を円滑に進めるには大切なことですよね。
 ところで、自衛隊もこの訓練において、何か支援をしたのでしょうか。
 
齋藤局長:
 はい、自衛隊では、宮城県仙台市に所在する東北方面総監部、山形県東根市に所在する第6師団、青森県青森市に所在する第9師団をはじめ、多くの部隊から、射撃訓練への技術的支援、演習場施設の維持管理、緊急医療など、訓練を円滑に進めるために多くの協力をいただきました。
 
パーソナリティー:
 東北防衛局と自衛隊が協力して、円滑な訓練実施のため働いているのですね。
 王城寺原演習場では、今回の訓練以外にも訓練が行われていると思いますが、日頃から東北防衛局として対応されていることはありますか。
 
齋藤局長:
 はい、演習場周辺の自治体や住民の方々に対して、様々な周辺対策の助成を行っています。
 例えば、騒音対策については、一定以上の騒音を示す区域については、住宅の防音工事への補助や家屋等の移転補償を実施しています。また、自治体が行う道路や河川の改修事業へ補助金を交付したり、医療費助成、教育機器購入、学校施設改修への補助なども行っています。このほか、海兵隊の移転射撃訓練を受け入れていただいた自治体に対してSACO交付金を交付しており、昨年度末には、この交付金を使用した「ときわ台集会所」が大衡村に完成しました。この集会所の完成により、新たな地域住民の自治活動の拠点、憩いの場として親睦融和が図られるものと大いに期待されるところです。
 
パーソナリティー:
 演習場の安定的な使用や円滑な訓練実施のため、日々、努力をされているのですね。
 局長、今日はありがとうございました。本日は、東北防衛局の齋藤局長からお話を伺いました。どうもありがとうございました。
 
齋藤局長:
 はい、こちらこそ、どうもありがとうございました。



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