自 衛 隊 百 科
自衛隊インビテーション
(1月放送内容)



テ−マ:地方創生について



パ−ソナリティ−:
 本日も東北防衛局の齋藤雅一局長にお話をいただきます。齋藤局長よろしくお願いいたします。

齋藤局長:
よろしくお願いいたします。

パ−ソナリティ−:
 今日は、「地方創生」というお題なんですが、どのようなお話をしていただけるのでしょうか。

齋藤局長:
  はい。今日は、今後の日本社会、特に地方についての展望と政府の取り組み、そのなかで、われわれ防衛省・東北防衛局がどのように関わっていくかをお話ししたいと思います。
  報道などですでにご存じかもしれませんが、日本の人口は、平成20年をピークに減少局面に入っています。国立社会保障・人口問題研究所が発表している日本の将来推計人口は、平成22年には約1億3000万人であったものが、平成42年には1億1662万人、平成72年には、8674万人になるとされています。

パ−ソナリティ−:
  ずいぶん減ってしまうんですね。

齋藤局長:
  はい。さらに、少子高齢化の影響により、15歳〜65歳までのいわゆる「生産年齢人口」が相対的に減少することが、我が国の全体の生産力の減少につながり、実体経済などにも大変大きな影響を及ぼすことが懸念されています。
  地方の産業に目を向けると、高度経済成長期には、東京に本社を置きつつも公共事業の地方への誘導という国策もあり、各地方に工業地帯が形成されるなど、地方に労働需要がありました。
  しかし、グローバリゼーションが急激に進み、経済成長が安定局面に入ったこと等もあり、企業はより安価な労働力を求め、海外へ生産基盤を移転させたことなどから、地方では産業の空洞化が見られるようになりました。
  このことは、地方の若者が職を求めて東京を始めとする首都圏に流出する大きな原因となっており、地方における人手不足を加速させています。

パ−ソナリティ−:
  確かに、昔にくらべて地方の工場は減っているような気がしますね。

齋藤局長:
  地方を取り巻く状況は、ここ数十年で劇的に変わったといえます。その一方で、高度経済成長期に作られた制度の多くは、経済の成長や人口増加を前提としたものでしたので、現在の少子高齢化、それに伴う生産年齢人口の減少などを踏まえ、これまでの制度を支えてきた前提を再考し、これからの時代に沿った制度に変えていかなければならなくなっています。

パ−ソナリティ−:
 それは、しかし、一朝一夕では難しいのではないでしょうか。

齋藤局長:
  そうですね。とはいえ、何らかの対策を講じなければ、状況は悪くなる一方です。そこで政府は、人口減少に歯止めをかけ、東京圏への過度な一極集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保し、将来にわたって活力ある日本社会を維持することを目的とし、「まち・ひと・しごと創生法」を制定しました。
  その法律の下、人口急減・超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し政府一体となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を創生できるよう、平成26年9月3日、旗振り役として、内閣に「まち・ひと・しごと創生本部」を設置しました。

パ−ソナリティ−:
 具体的にはどのような施策を講じることになっているのですか。

齋藤局長:
  はい。まず国は、地方創生に係る中長期展望である「長期ビジョン」を策定し、その「長期ビジョン」を踏まえ、2015年度を初年度とした今後5ヶ年の政策目標や基本的方向、具体的な施策をまとめた「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定しました。
「長期ビジョン」では、2060年に1億人程度の人口を確保すること、2050年代に実質GDP成長率1.5〜2.0%程度を維持することなどが盛り込まれました。
  また、「総合戦略」では、“地方における安定的な雇用を創出する”“地方への新しい人の流れをつくる”“若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる”“時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する”ことが基本目標として掲げられ、具体的な目標数値と評価指標とともに、主な施策も提示されました。
  このように「長期ビジョン」や「総合戦略」の下、さまざまな施策を講じて行く予定なのですが、時間の制約もあり全てを紹介することはできないので、われわれ防衛省が関わっている「地方創生コンシェルジュ制度」というものをご紹介したいと思います。

パ−ソナリティ−:
  コンシェルジュって、ホテルやデパートで対応してくれる人のことですよね?

齋藤局長:
  一般的には、そちらのイメージがありますよね。この「地方創生コンシェルジュ制度」とは、法律で、各地方公共団体は国の「長期ビジョン」と「総合戦略」を勘案し、遅くとも2015年度中に、中長期を見通した「地方人口ビジョン」と5ヶ年の「地方版総合戦略」を策定し、実行するように努めることとされました。
  そこで、これら地方版総合戦略の策定を含め、地方創生の取り組みを行うにあたり、地方から国への相談窓口として、地方公共団体を積極的に支援するための体制として構築されたものです。                      その相談できる事項は、地方創生に関するものであればどのような内容でも相談可能です。
  基本的に、各県ごとに複数人いるどのコンシェルジュに相談していただいて結構でして、回答可能なものであればすぐに回答がありますし、回答が困難なものであった場合、内閣府地方創生推進室のコンシェルジュから、その質問に最も適したコンシェルジュを紹介してもらうことができます。

パ−ソナリティ−: 
 はい。国に直接相談できるというのは、市町村の方からすれば、大変心強いですね。

齋藤局長: 
そう言っていただけると、大変我々もやりがいがありますし、期待に
応えられるようにしなければと、背筋が伸びる気がします。
          東北6県を担当する防衛省のコンシェルジュは、本省地方協力局の課長補佐級職員と係長級職員となっております。ラジオをお聞きの地方公共団体の方で、是非とも相談したいという場合は、直接本省に連絡していただいても結構ですし、東北防衛局にお問い合わせいただければ、本省担当者にご紹介することも可能ですので、是非とも積極的に御活用下さい。
ついでに宣伝させていただきますと、防衛省の基地周辺対策は、防衛施設の設置・運用に伴う障害の緩和防止として、防音工事の補助をしたり、騒音が激しいところでは家屋等の移転補償を実施したり、また、民生安定施設の整備の助成など、ハード事業について実施してきたところですが、先ほど述べたような、時代の変化に伴う住民ニーズの多様化などに対応するため、平成23年に、ソフト事業にも交付金を使用できるように法律を改正し、地元自治体に御活用いただいているところです。基地周辺市町村においては、子ども医療費・乳幼児医療費の助成や公園の整備などに当省の交付金を御活用いただいておりますが、そのことにより、少しでも子育て環境が整備され少子化の歯止めとなればと願っているところです。
先の、地方創生コンシェルジュによる助言と併せて、東北防衛局としても、地元自治体の方とよく話しをしながら、地元の要望に合致した施策を講じていきたいと思っています。

                          

 パ−ソナリティ−: 
  お聞きになっている市町村の方、是非とも東北防衛局に連絡してみて下さい。本日は、「地方創生」について東北防衛局長から、お話しを伺いました。局長ありがとうございました。

 齋藤局長:
 はい。こちらこそ、どうもありがとうございました。




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