自 衛 隊 百 科
自衛隊インビテーション
(12月放送内容)



テ−マ:日米共同訓練について



パ−ソナリティ−:
 本日も東北防衛局の齋藤雅一局長にお話をいただきます。齋藤局長よろしくお願いいたします。

齋藤局長:

  はい。よろしくお願いいたします。

パ−ソナリティ−:
 今日は、「日米共同訓練」というお題なんですが、どのようなお話をしていただけるのでしょうか。

齋藤局長:
  はい。今日は、9月に宮城県の大和町、色麻町、大衡村に所在する王城寺原演習場で行われた日米共同訓練についてお話しをしたいと思います。 昨今の国際情勢は依然として不透明・不確実な要素をはらんでおり、また、アジア太平洋地域においても様々な不安定要因が存在している状況にあります。こういった状況の中で、自衛隊と米軍とが平素からいざという時に備えて、共同で訓練を行うことは、戦術面などでの相互理解や意思疎通を図り、相互運用性を深め、日米共同対処能力の維持・向上に大きく役立つのみならず、日米それぞれの戦術技量の向上を図るうえでも有益であり、その重要性は益々高まっております。とりわけ、実戦経験豊富な米軍から習得できる知見や技術はきわめて貴重であり、自衛隊の能力向上に大きく役立つものです。
  また、効果的な時期、場所、規模で共同訓練を実施することは、日米間での一致した意見や能力を示すことにもなり、抑止の機能を果たすことにもなります。
  このように、日米共同訓練は、日米安保体制の信頼性を高め、我が国の安全保障上重要な意義を持つものです。

パ−ソナリティ−:
 
そうなんですね。普段から自衛隊と米軍とが共同で訓練を行うことは、日本を守るうえでも大切なことなのですね。
  ところで、米軍の訓練と言えば、沖縄に駐留している米軍海兵隊の実弾射撃訓練もよく報道されていますが、その訓練とは違うものなのですか。

齋藤局長:
  その米軍海兵隊の実弾射撃訓練については、沖縄県に所在する米軍施設キャンプ・ハンセンで実施されていた155ミリりゅう弾砲による沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練について、沖縄県民の負担を軽減する目的で、平成9年度から王城寺原演習場を含む本土の5ヶ所の演習場に分散して、地元の御理解を頂きながら行われてきており、このことで沖縄県民の負担軽減に役立っているところです。
  東北地方でいえば今年の6月にも宮城県の大和町、色麻町、大衡村に所在する王城寺原演習場で行われました。
  一方、日米共同訓練については、日米共同対処能力の維持・向上や自衛隊自体の能力向上を目的に、自衛隊と米軍とが共同して行っている訓練であり、日本国内のみならず米国においても行われています。米国では、国内では得られない訓練環境で、より実戦的な訓練を行っています。
  これまで東北地方では、今年1月に米海兵隊と岩手県の岩手山演習場において実動訓練が行われ、昨年6月には青森県の太平洋沖空域などで戦闘機戦闘訓練、7月には青森県陸奥湾での掃海特別訓練など、陸上、海上、航空各自衛隊とそれぞれ米陸海空軍及び海兵隊とが行っており、最近ですと今年の9月に、王城寺原演習場で陸上自衛隊と米陸軍との共同訓練が行われました。

パ−ソナリティ−:
  そうなんですね。王城寺原演習場で行われている、沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練は沖縄県民の負担を軽減し、一方で、日米共同訓練は部隊の能力向上を図っているということですね。
  今年9月に王城寺原演習場で行われた日米共同訓練というのは、具体的にはどういった内容だったんでしょうか。

齋藤局長:
 この日米共同訓練は、9月10日から20日までの11日間、王城寺原演習場で行われました。王城寺原演習場での日米共同訓練は、5年ぶり10回目となります。
  今回、陸上自衛隊は、福島県の福島駐屯地の第6師団第44普通科連隊約1,280名、米陸軍は、アラスカに所在する陸軍部隊約430名が参加しました。
  主要な装備としては、陸上自衛隊が74式戦車やヘリであり、米陸軍が155ミリりゅう弾砲やストライカー装甲車です。
  この訓練は、日米相互に運用性の向上を図ることを目的とし、日米それぞれの指揮系統に従い、共同作戦を行う際の要領に沿って、戦闘射撃訓練、緊急患者対応などの機能別訓練や総合訓練が実行動により行われました。このように共同訓練・演習の拡大は、平素からの共同活動を増大し、部隊の即応性、運用能力および日米の相互運用性の向上をもたらすことになります。
  また、米陸軍は滞在中、ホームビジットや史跡研修に参加し、更には自衛隊員と共に花笠音頭や書道などの日本文化を体験し、日本への理解を深めるとともに隊員同士の信頼関係を築きました。

パ−ソナリティ−:
  ストライカー装甲車というのは初めて聞きましたが、どういったもの
なのでしょうか。

齋藤局長:
 軽量、高機動の空輸可能な8輪の装甲車です。様々なタイプがあるのですが、今回の訓練には、主に偵察タイプの車両が参加しています。

パ−ソナリティ−:
  分かりました。話は戻りますが、米軍が文化交流に参加しているというのが意外に感じました。

齋藤局長:
  そうですね。訓練を行い単に知識や技術を高めるということだけでなく、そこにお互いを理解し信頼するということが加われば、相乗効果でより大きな成果が得られるということです。そのために様々な交流を通じてお互いの文化を理解していくことが大切です。このことは、個人でも組織でも、もちろん国同士であっても同じですし、防衛組織に限らず、皆さんの会社、あるいはスポーツチームなどにおいても、同じことが言えると思います。

パ−ソナリティ−:
  よく分かります。今回の日米共同訓練を通じて、東北防衛局の活動はどういったものだったんでしょうか。

齋藤局長:
  我々東北防衛局は、地元と自衛隊とを繋ぐパイプ役として、今回の訓練に先立ち陸上自衛隊と共に地元の宮城県や大和町、色麻町、大衡村に訓練内容の説明を行い、また、訓練期間中においては、王城寺原演習場に連絡要員を派遣して24時間態勢で、地元自治体等への情報提供及び米側が関係する事故等への態勢をとるなど、本訓練への支援を行いました。
  東北防衛局としては、今後とも、地元との連携を密にし、また、今回得られた経験を踏まえ、万全の態勢で𦣪んでいく考えです。
  なお、今回お話しした王城寺原演習場での日米共同訓練について、その写真などを東北防衛局ホームページに掲載していますので、ぜひご覧下さい。 

パ−ソナリティ−: 
  はい。本日は、「日米共同訓練」について東北防衛局の齋藤局長から、お話を伺いました。どうもありがとうございました。

齋藤局長:
はい、こちらこそ、どうもありがとうございました。

 




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