自 衛 隊 百 科
自衛隊インビテーション
11月放送内容)


テ-マ:衛省の組織改革について


パ-ソナリティ-:
 
本日も東北防衛局の齋藤雅一局長にお話をいただきます。局長よろしくお願いいたします。
 
齋藤局長:
 よろしくお願いいたします。
 
パーソナリティー:
 今日は、どのようなお話をしていただけるのでしょうか。
 
齋藤局長:
 はい、先月、10月1日付けで防衛省の組織改編が行われました。大きい点では、統合幕僚監部への部隊運用業務の一元化、「防衛装備庁」という組織の新設、その他、それらに伴い様々な組織改革が行われています。今日はこの「防衛省の組織改革」についてお話をしたいと思います。
 防衛省の改革は、平成19年12月に、防衛省改革会議が官邸に設置された時からスタートしました。その後、様々な検討がなされ、抜本的な中央組織改編を2段階で進めることとし、まず平成21年度に、防衛会議の法定化や防衛大臣補佐官の新設などが行われました。
 この時の初代防衛大臣補佐官は、その後防衛大臣にも就任され、現在は、防衛省参与の森本 敏先生です。
 さらに様々な検討を加え、平成25年8月に「防衛省改革の基本的考え方と方向性」をとりまとめ、防衛力の全体最適化、統合運用、政策立案機能等の強化のため、今回の組織改編を行ったものであります。
 組織改編の中身ですが、一つ目が統合運用機能の強化、2つ目が防衛装備庁の新設、3つ目が内部部局の改編であります。一つ目の統合運用機能の強化では、実際の部隊運用に関する業務を基本的に統合幕僚監部に一元化し、これまで内部部局にあった運用企画局を廃止するとともに統幕副長級の総括官と部課長級の参事官を文官ポストとして新設し、関係省庁との調整・対外説明業務などを担当させることになります。
 二つ目は、省内の装備取得関連部門を集約・統合し、新たに外局として防衛装備庁を新設しております。
 三つ目の内部部局の改編としては、運用に関する法令や部隊訓練の企画・立案機能などを防衛政策局へ移管しております。
 また、中・長期的な視点からの防衛戦略や、宇宙・サイバーなど新たな政策課題にかかる企画・立案機能の強化及び各国とのこれら諸課題にかかる戦略協議などの連携の推進を図るため、防衛政策局に新たな課を新設し、統合機動防衛力の構築に向けた防衛力整備機能強化のため、整備計画局を新設しております。
 
パーソナリティー:
 はい、今回の組織改編は大きく分けますと、3項目からなるんですね。今回の組織改編のきっかけとなった理由は何かあるのでしょうか。
 
齋藤局長:

 はい、我が国を取り巻く安全保障環境は、中国による我が国領海侵入及び領空侵犯を含む我が国周辺海空域における活動の活発化、北朝鮮によるミサイル発射事案や核実験の強行など、一層深刻化しております。とりわけ、領土、経済権益等をめぐる事態が顕在化、長期化し、より重大な事態への先鋭化・深刻化する可能性が懸念されており、また、東日本大震災を始めとする近年の事態対処を通じて、部隊運用に係る教訓事項等も蓄積されており、さらに、武器輸出三原則等の包括的例外化措置など、政策的な環境の変化が生じてきております。
 今般の防衛省改革では、昨今の防衛省・自衛隊をめぐる様々な状況の変化を踏まえるとともに、防衛力整備の全体最適化、運用に関する業務の合理化及び防衛政策の企画・立案・発信機能の強化といった論点についても十分に考慮しつつ、防衛省・自衛隊をいかに実効的に機能させるかという視点で、業務の在り方を見直すとともに、組織の在り方について効率化・合理化の視点をもって見直しを行ったものです。
 
パーソナリティー:

 なるほど。それでは具体的に組織改編の中身はどのようなものなのでしょうか。
 
齋藤局長:

 今回の組織改革では、新たに防衛装備庁が新設されましたが、これは、防衛装備品をより効果的・効率的に取得をするとともに、拡大する装備行政に的確に対応するために設置されたものです。これまで分散をしていた装備取得関連部門を集約・統合することによって、質の高い装備品のより低コストでの取得や、わが国の技術的な優位の確保を重視した研究の開発が出来るわけです。
 そして、国内の防衛生産・技術基盤の強化を図り、諸外国との防衛装備・技術協力といった課題について、専門的知見を集約するとともに、一貫した責任体制で取り組むことになります。
 また、内部部局の改編では、新たに整備計画局が新設され、防衛大綱で定められた統合機動防衛力の着実な構築のため、情報通信システムを含めた防衛省・自衛隊の装備・部隊の整備、そして部隊行動の基盤となる駐屯地・基地の整備について、一体的に企画・立案を行うことにより、防衛力整備機能の強化を図ることになります。
 それと同時に、防衛政策局の中に戦略企画課、運用政策課及び訓練課を新設しました。これは、わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、防衛省としての政策立案能力の向上を図ることを目的としております。今回の組織改編を通じて、文官と自衛官が相互に配置して、共に仕事をしていく新たな組織体制を作りまして、防衛省・自衛隊がより的確に任務を遂行できるようになるようしっかりと運用して行きたいと思っております。
 
パーソナリティー:
 はい、防衛装備庁ですけども、新設にあたって、どのようなメリットがあり、どのように変わっていくのでしょうか。
 
齋藤局長:
 はい、防衛装備庁設置に際しては、防衛装備品の効率的な調達を図ることを目的に、これまで内局、陸海空の各幕僚監部、技術研究本部、装備施設本部など省内に分散していた装備品調達部門を統合再編した外局として設置されました。装備品の調達には巨額の予算を必要とすることから、装備庁の内部に監察・監査部門を設置し、更には防衛監察本部の増員を行うなど監視体制の強化をしております。そして、教育部門の充実により職員の更なる意識向上に努め、もって不祥事の防止につなげたいと考えております。
 今回、装備庁は1,800人体制で発足するわけですが、やはり諸外国と比べると陣容がまだ少ないという指摘とか、また、海外市場の情報収集については、まだまだノウハウが足りないといった指摘もありますけれども、まずは、現体制でしっかりと目標を達成すべく努力していくものと考えております。
 このように防衛装備庁は、防衛省内の調達、研究開発などにかかる装備取得関連部門を集約・統合した外局として新設され、監察及び監査機能が強化されたものになっています。

パーソナリティー:
 はい、そうなんですね。組織改編の概要は、おおむね理解できました。その他に、防衛装備庁について何かありますか。

齋藤局長:
 はい、防衛装備庁は、装備品等のライフサイクルを通じた一貫したプロジェクト管理を実施し、部隊の運用ニーズについて装備面への円滑・迅速な反映が可能となります。また、新しい領域としては、防衛装備品の一層の国際化や先進技術への投資等に積極的な取組みが可能となり、更には、調達改革の実現と防衛生産・技術基盤の維持・強化の両立を図ろうとしております。
 
パーソナリティー:

 はい、本日は、防衛省の組織改革について東北防衛局の齋藤局長から、お話をお伺いしました。どうもありがとうございました。
 
齋藤局長:
 はい、こちらこそ、どうもありがとうございました。

 



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