自 衛 隊 百 科
自衛隊インビテーション
10月放送内容)


テ-マ:平成28年度概算要求について


パ-ソナリティ-:
 
本日は、東北防衛局の齋藤雅一局長にお話をいただきます。よろしくお願いします。
 
齋藤局長:
 よろしくお願いします。
 
パーソナリティー:
 8月下旬以降、防衛省がいろいろな事業を新たに実施しようとしているとか、新しい装備品を導入しようしているという新聞記事をいくつか目にしました。今日は、その点について伺いたいと思います。
 
齋藤局長:
 はい、それは、8月末に行った来年度予算の概算要求の内容を記事にしたものがほとんどだと思います。概算要求とは、次の年度にそれぞれの省庁として、どのようなモノを買って、どういう事業を行っていこうかという計画に基づいて、必要な予算の案を財務省に提出するものです。予算については、かなり早い段階から部内的にセクション毎の案を作って、それらを最終的には省としてまとめて、概算要求をするわけですが、防衛省は、陸海空自衛隊を始め、かなり大きな組織で、予算も多額になりますので、実はこれ、大変な作業なんです。概算要求を行った後は、財務省との厳しいやり取りが始まります。年末には政府の予算案をまとめることになるわけですが、それまでの数ヶ月間は、担当者は昼夜も分かたず、財務省に説明を行うことになります。何しろ、少しでも必要性に疑問符が付くと、その事業はすぐに切られてしまいますから必死です。年末に政府の予算案が出来上がると、次は年明け早々から国会での予算審議が始まります。予算委員会での審議は国会の花形ですから、議員の皆さんも力が入ります。政府側も、それだけ準備をきっちりと整える必要があります。そして、予算が成立した頃には、次の年度予算に向けた議論が佳境に入ってくる訳で、予算担当者は一年中大変です。
 
パーソナリティー:
 なるほど。では、その平成28年度概算要求の内容について伺いたいと思います。
 
齋藤局長:
 先程申し上げたとおり、今現在要求している内容は、今後財務省とのやり取りを通して、政府予算案に反映され、更に、国会の議決を経ないと最終的には予算化されないわけですが、現在の要求中の内容をお話ししたいと思います。
 今年の概算要求では、平成25年12月17日に閣議決定された「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画」、これを我々は「大綱」、「中期防」と呼んでいる訳ですが、これらに基づく防衛力整備の3年度目として、防衛力の「質」と「量」が、十分に確保した統合機動防衛力の構築に向け、引き続き防衛力整備を着実に実施していきます。
 また、島嶼部に対する攻撃への対応や大規模災害等への対応並びに国際平和協力活動等への対応を重視し、格段に厳しさを増す財政事情を勘案し、我が国の他の諸政策との調和を図りつつ、長期契約による取組等を通じて、一層の効率化・合理化を徹底しております。
 
パーソナリティー:
 日本の周辺での安全保障環境へ対応するための予算案になっているわけですね。
 
齋藤局長:
 そのとおりですね。報道されていたものなど、具体的な中身を見ていきましょう。平成28年度概算要求額は全体で4兆9,299億円となっています。これは対前年度伸率2.2%であり、厳しさを増している安全保障環境を踏まえ、伸率では、4年連続して上昇しています。これは、厳しい財政事情の中で、大変有難いと考えています。
 ちなみに、多くの隊員を抱える防衛省の予算では、隊員の給与や退職金、営内での食事などに要する人件・糧食費が多額に上り、これが2兆1,106億円にもなります。それ以外で主要な事業を紹介しますと、まず、日米同盟の強化のため、米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄県を始めとする地元負担軽減を図り、在日米軍兵力態勢の見直し等についての具体的措置を確実に実施するための在沖米海兵隊のグアム移転に必要な事業への資金拠出等の3,078億円。また、弾道ミサイル攻撃に対し我が国全体を多層的かつ持続的に防護する体制を強化し、弾道ミサイル攻撃にあわせ、同時並行的にゲリラ・特殊部隊による攻撃に対応する態勢を整備する経費として2,244億円。この中には、我が国の弾道ミサイル対処能力の総合的な向上を図り、多層的かつ持続的に防護する体制を強化するため、イージス・システム搭載護衛艦の建造費1隻で1,675億円が含まれております。
 また、防衛施設と周辺地域との調和を図るため、基地周辺対策を着実に実施するとともに、在日米軍の駐留を円滑かつ効果的にするための施策を推進する在日米軍駐留経費負担のため1,935億円を計上しております。
 また、防衛施設用地等の借上経費、水面を使用して訓練を行うことによる漁業補償等に要する経費1,390億円なども計上されております。時間の関係で詳細をお話しできないのが残念ですが、もちろんグローバルホークやオスプレイといった新規装備品取得のための所要の予算を計上しております。
 
パーソナリティー:
 護衛艦1隻の建造費がそんなに高額なのは驚きですね。そのほかには、どのような内容の概算要求となっているのでしょうか。
 
齋藤局長:
 イージス艦はハイテクの塊ですから。
 また、防衛省では、人事教育に関する施策として、防衛省・自衛隊における国防を担う優秀な人材を確保するとともに、精強性向上を図る観点から、募集、再就職、予備自衛官等の充足その他必要な施策について総合的に検討を行い、その適正な実施を図るとともに、女性の活躍を支えるための施策を推進しています。
 中身的には、自衛隊における募集機能の充実・強化のため、インターネットを利用した応募、受付を可能とするシステムの整備に0.6億円、再就職支援業務の充実・強化や退職予定自衛官に対する職業訓練(部外委託)関連経費6億円、女性の活躍を支えるための施策の推進として、職業生活と家庭生活の両立支援のため、庁内託児施設の新設・整備に2億円を計上しています。
 また、装備品取得の全般にわたり、更なる合理化・効率化を図るため、各種取組を推進しており、28年度以降では、約1,530億円の縮減を図ることになっております。その取組みですが、長期契約を活用し、部品や製造工程に共通性を有する哨戒ヘリコプター(SH-60K)17機及び救難ヘリコプター(UH-60J)8機を平成28年度に一括調達した場合には154億円を縮減出来る見込みとなっています。
 その他では、維持・整備方法の見直しとして、定期整備間隔の延伸等により、維持整備コストの効率化を追求することができ、424億円の縮減、また、装備品のまとめ買いでは275億円、民生品の使用・仕様の見直しによる457億円を縮減できる見込みとなっております。
 
パーソナリティー:
 概算要求する際にも、色々な経費削減を考えて行っているのですね。
 ところで、東北防衛局では、基地周辺の対策事業等を行っていると思いますが、その関係の経費はどうなんでしょうか。
 
齋藤局長:
 はい。基地周辺対策経費全般の話をしたいと思いますが、全体では1,209億円となっており、内訳としては、飛行場等周辺の住宅防音工事の助成に410億円、生活環境施設等の整備の助成として実施している河川・道路改修、学校防音等の整備等に要する費用の799億円を予算計上しております。
 また、在日米軍の駐留を円滑かつ効果的にするための経費としては、在日米軍従業員の給与や光熱水料等の負担や隊舎、家族住宅等の提供施設の整備の実施や健康保険、厚生年金保険等の在日米軍従業員に対する社会保険料の事業主負担分等で1,935億円を計上しており、防衛施設用地等の借上経費、水面を使用して訓練を行うことによる漁業補償等に要する経費1,390億円を計上しております。
 管内に米軍三沢基地などを抱える東北防衛局としても所要の予算を確保するために一層努力して行きたいと考えております。
 
パーソナリティー:
 はい。本日は、平成28年度概算要求について東北防衛局の齋藤局長から、お話を伺いました。どうもありがとうございました。
 
齋藤局長:
 はい。こちらこそ、どうもありがとうございました。
 
 



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