自 衛 隊 百 科
(6月放送内容)



テ−マ:東北防衛局の業務について



パ−ソナリティ−:
 本日は、齋藤局長から「東北防衛局の業務」についてお話を伺いたいと思います。本日もよろしくお願いいたします。


齋藤局長:
 よろしくお願いいたします。

パ−ソナリティ−:  
 齋藤局長は、昨年7月に着任されてからまもなく1年となりますが、東北防衛局の業務内容といっても様々あると思います。今回、改めてお話しをして下さるのですね。


齋藤局長:
  はい、昨年7月に東北防衛局に着任してから早いもので、来月で1年になります。振り返ってみますと、防衛局の業務については、これまでも何回かはご紹介をする機会がありましたけれども、着任後に様々な人と会って「防衛局ってどんな仕事をされているの」とか「自衛隊と同じなのか」とかよく聞かれました。防衛局というのは、全国に8局あるわけですが、それぞれの地域を担当しており、東北局は北は青森県から南は福島県の6県を管轄地域としています。
 また、本局の所在地は仙台市にあるのですが、青森県三沢市と福島県郡山市にそれぞれ防衛事務所が置かれています。過去においては、青森県八戸市に出張所、青森市及び山形市に事務所がありましたが、何れも、廃止となっています。

  27年4月現在の東北防衛局の組織・編成ですが、総務部、企画部、調達部の3部制をもって構成されており、三沢、郡山の各防衛事務所を含む定員は223名で、この中には、自衛官14名が含まれています。今回は、実際に補助事業や直轄事業をしている企画部、調達部の主な業務について話したいと思います。企画部の主な業務ですが、項目だけを申し上げますと、防衛施設周辺住民等への騒音対策や関係市町村への補助金の交付を行っている防衛施設周辺対策事業、米軍による事故が発生した場合の賠償や訓練に伴って漁業操業を制限した場合の補償事務、自衛隊や在日米軍が使用する用地の取得や取得した土地の管理業務、防衛省の事務を円滑・効果的に実施するための地域の理解と協力を得ることに資する地方協力確保事務などになります。

パ−ソナリティ−:
  はい、防衛局の仕事の中身は多種多様に亘っているんですね。駐屯地などの外にある自衛隊の宿舎などの土地の管理は自衛隊が行っているかと思っていましたが、そうではないのですね。 

齋藤局長:
  はい、その通りです。更に先ほど申しました業務内容について、更に詳しく説明しますが、防衛施設周辺対策事業とは、演習場や飛行場の防衛施設の設置・運用により生じる障害の防止のため、障害防止事業として砂防ダム工事や河川の改修、学校及び住宅の防音工事や移転措置事業、移転措置事業により、買入れした土地の植栽工事、また、民生安定助成事業では、無線放送施設やコミュニティ供用施設の建設や、調整交付金事業では学校等への教育用コンピュータの整備など地方自治体に対し、補助金、交付金、周辺住民の方々には補償金などを交付しており、実に幅広い業務を行っております。
  また、損害賠償や漁業などの損失補償では、事故補償や漁業補償は何となく理解を頂けるのかと思われますが、周辺補償というものもありまして、飛行場周辺で農業を営んでいる者が、航空機の離着陸などにより作業効率が低下する場合の補償も行っております。その他にも、在日米軍の自動車が有料道路を利用した際の補償や、自衛隊や在日米軍が演習場や飛行場などに使用するための土地・建物などの買入れや・借り上げ、その後の財産の管理なども含めて東北防衛局が行っている業務であります。

パ−ソナリティ−:
 本当に様々なお仕事をされておられるんですね。その他に何かありますか。

齋藤局長:
 はい、8年前までは防衛局は防衛施設局と呼ばれておりました。先ほどまで話した業務は、防衛施設局の時代から継続している業務内容ですが、防衛局となってからは、地方協力確保事務というものが加わりました。この業務は、我が国の各種防衛政策を実施するためには、国民の理解と協力の確保が必要であるため、防衛政策・自衛隊の活動などに関して、地方公共団体や地域住民からの理解と協力を確保するため、部隊等と連携し、各種広報ツールを利用した施策を実施しております。
  具体的にどんなことをしているのかというと、各地域での防衛問題セミナーの開催、これまで27回開催しております。今年度も何回か開催する予定でいますので是非ご参加頂きたいと思います。実際に参加できない場合でもセミナーの概要は、東北防衛局のホームページに掲載していますので是非ご覧頂ければ幸いです。
  また、毎年発刊される防衛白書を昨年度の実績では、東北管内地方公共団体の首長など261ヶ所に対して101ヶ所で防衛局が説明を行っております。その他には、講演の依頼があった場合の講師派遣とか、FMラジオ放送による防衛政策や自衛隊の活動等についての広報、各駐屯地で行われる部隊行事などで各種の政策広報誌やパンフレット等の配布や、米軍三沢基地が所在している青森県三沢市及び東北町などで行っている日米交流事業などを行っております。たった今放送しているこのFMラジオも地方協力確保事務の一環です。
  また、災害等の各種事態への対応として、東日本大震災では、震災後の自衛隊の活動を支える大きな力になりました。4年前の東日本大震災時の活動から得た反省と教訓を忘れることなく、高い防災意識を維持しつつ、今後災害が発生した場合に関係自治体との連携を強化することが重要になってくることから、各県で実施している防災訓練への参加等しているところです。
  次に調達部の業務では、東北管内に所在する自衛隊及び米軍の各防衛施設において、様々な用途の建物の建設工事等を実施しております。特に東日本大震災で被災した空自松島基地のブルーインパルス格納庫の復旧工事は、自衛隊施設の工事として前例のない規模の曳家工事で、既設格納庫を変形させずに移動する大変難しい工事でした。現在でも松島基地の津波対策のための高台化等や福島県内での除染工事をはじめ東北防衛局では、管内の防衛施設で各種の建設工事を行っております。

パ−ソナリティ−:
  そうなんですね。色々な施策を講じているわけなんですが、防衛施設がある地域に住んでいる住民の方々は、どのように思われているのでしょうか。  

齋藤局長:
  はい、防衛施設は、国の防衛のためには絶対に必要なものですが、反面、防衛施設の周辺に様々な影響を周囲に及ぼしています。例えば、飛行場の周辺では日常的に騒音が発生しますし、演習場も砲撃訓練などを行うときには騒音が発生するものです。自衛隊には大型の車両が多いですから、これらが走ることで道路が傷んだり、演習場の中を走り回ることで外部の河川に土砂が流れたりするということもあります。国の防衛のために必要なこととは言っても、地域の方々には、他の地域にはない負担を強いられていることは間違いないわけです。こうした負担に対して防衛局では、少しでも軽減させるべく、先程説明いたしました様々な施策を行っています。
  また、こうした施策を通じて、自衛隊、米軍、防衛施設と周辺地域との良好な関係の維持・深化に努めている訳ですが、予算の制約もある中で、地元のニーズに合致して、地域と防衛施設との共存共栄、ひいては地域社会の役に立つ施策を実施するために、東北防衛局の職員は、日常的に地元とのきめ細かな調整をしています。
  また、私が、ここでこのような話しをさせて頂いておりますのも地域の皆さんに少しでも防衛省の施策や自衛隊等の活動に対し、理解を深めて頂ければと考えてのことであり、地方における防衛行政の拠点として地元の声に耳を傾けながら地域と自衛隊、米軍との良好な関係の維持・発展に努めていきたいと考えています。

パ−ソナリティ−:
  はい、ありがとうございます。今回は、東北防衛局の業務内容について、お話しをいただきました。齋藤局長、本日は貴重なお話し有り難うございました。

齋藤局長:
こちらこそどうも有り難うございました。

 




TOPページへ