防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(6月放送内容)



 

テ−マ:海兵隊の射撃訓練について

 

 

パ−ソナリティ−:
 本日も東北防衛局の齋藤雅一局長にお話しをいただきます。局長本日もよろしくお願いいたします。 

齋藤局長:
  よろしくお願いいたします。

パ−ソナリティ−:
  今回は、宮城県(たい)()(ちょう)(しか)()(ちょう)(おお)(ひら)(むら)に所在する陸上自衛隊の(おう)(じょう)()(はら)演習場で実施されている、沖縄の米海兵隊による実弾射撃訓練いわゆる「沖縄県道104(ひゃくよん)号線越え実弾射撃訓練」について伺いたいと思います。

齋藤局長:
  この実弾射撃訓練は、「沖縄県道104(ひゃくよん)号線越え実弾射撃訓練の分散実施」として、平成9年度から本土にある北海道矢臼別、宮城県(おう)(じょう)()(はら)、山梨県北富士、静岡県東富士、大分県日出生台の5つの自衛隊演習場において、周辺自治体や住民の方々の御理解と御協力を得て、実弾射撃訓練を実施しているものです。(おう)(じょう)()(はら)演習場においては、平成9年度から昨年まで12回実施しており、本年度で13回目となります。
  この射撃訓練は、様々な形で行われている沖縄の基地負担の軽減策の一つであり、在沖海兵隊の実弾射撃訓練は、従前は、沖縄本島中部にあるキャンプ・ハンセンという米軍施設において沖縄本島の東海岸と西海岸を結ぶ主要な道路である沖縄県道104(ひゃくよん)号線を跨ぐ形で行われておりました。このため、射撃訓練の際にはこの道路を通行止めにする必要があったことから、地元沖縄県民から、この道路を通行できるよう訓練を何とかして欲しいという強い要望を受けて日米間で協議し、平成8年の「沖縄に関する特別行動委員会」いわゆるSACO最終報告により、この射撃訓練を本土へ移転して実施することが合意され、実施しているという経緯があります。

パ−ソナリティ−:
  東北地方も沖縄の基地負担を軽減するのに貢献しているわけですね。  

齋藤局長:
  そのとおりです。ただし、逆に(おう)(じょう)()(はら)演習場周辺の自治体や住民の方々には、ご負担を掛ける結果となっていますが、東北防衛局が周辺自治体と米海兵隊の間に入り、住民の方々の安心・安全のための努力をしております。
  また、その他にも、沖縄の基地の負担軽減等の一環として東北地方では、青森県の三沢基地において、米軍航空機による本土での訓練移転が行われております。沖縄県には、在日米軍施設が、まだまだ集中していることから、今後も沖縄の基地負担の軽減には、さまざまな形で、継続的に取り組んでいかなければならないと考えています。

パ−ソナリティ−:
  大切なことですね。では、(おう)(じょう)()(はら)演習場での訓練の話しに戻りたいと思います。この訓練、どれ位の頻度で行われているのでしょうか。また、どのような部隊が、どのような訓練を実施しているのでしょうか。

齋藤局長:
  この訓練は、基本的に毎年度、先程申し上げた本土の5つの演習場の内の4つの演習場で実施されています。このため、一つの演習場では、 計算上5年間で4回実施することになりますが、(おう)(じょう)()(はら)演習場においては、平成9年度から昨年までの18年間で、演習場の整備や東日本大震災などにより実施しなかった年もあり、これまで12回実施されました。今回の部隊は、先月下旬に本隊の受入れ準備を行うため米海兵隊の先発隊が到着し、今月下旬の撤収までの間に射撃を行う期間は、今月4日から13日までの10日間のうちの8日間となっており、部隊は、沖縄の第3海兵師団所属の1中隊です。中隊と言ってもその規模が分かりにくいと思いますが、昨年度の実績ですと、人員約170名、車両約30台、155o榴弾砲6門でした。もちろんその回その回によって、規模は多少変動します。
  この規模の部隊が沖縄から移動してきて、安全対策など各種の準備を十分に行った上で、155o榴弾砲の実弾射撃を行っております。榴弾砲とは、火薬を補填して弾を打ついわゆる大砲です。155oというのは砲の大きさ、口径を意味しますが、この155o榴弾砲は型は違いますが、陸上自衛隊も装備していて、現在の陸上戦闘における火砲の代表的な装備の一つと言っていいと思います。砲兵は「戦場の王様」と形容される程重要な兵種であり、このような訓練を実施して部隊の能力を維持向上させることは、我が国の安全保障にとっても有意義なことと考えています。

パ−ソナリティ−:
  なるほど。訓練の内容や意義については理解しましたが、射撃に伴う騒音や万が一の事故の不安というのもあると思います。それらの不安を解消するために、東北防衛局はどのような対応をされているのですか。

齋藤局長:
  おっしゃるとおりです。訓練をするに当たっては、騒音はもちろんありますし、事故が起こるかもしれないという不安もあると思います。
  それだけに、周辺の自治体は苦渋の決断で、この訓練を受け入れていただいているのだと思います。改めて感謝申し上げたいと思います。
  防衛省としても安全対策について万全の体制で臨んでおり、射撃の際には、(おう)(じょう)()(はら)演習場での射撃に馴れている陸上自衛隊の部隊が米軍をサポートしており、また、東北防衛局でも米海兵隊の訓練期間中は、現地に連絡本部を設置し、訓練が安全かつスムーズに行われるように米軍への様々な支援や、地元の皆様の不安解消や安全確保に努めるとともに、マスコミ関係及び関係自治体の皆様に対する訓練情報の提供など、約1ヶ月に亘り、当局の職員などが対応しています。

パ−ソナリティ−:
 局職員の人達も色々な御苦労をされているのですね。その他にも東北防衛局で対応されていることはありますか。

齋藤局長:
  はい、演習場周辺の自治体や住民の方々に対して日頃から、様々な周辺対策の助成事業を実施しています。例えば、騒音対策に関しては、一定値以上の騒音を示すエリアを指定して、そのエリア内にある対象住宅について、防音工事の補助をしたり、騒音が激しいところでは家屋等の移転補償も実施してきました。現在までに防音工事や移転事業を希望されているお宅の全てについて事業を完了しています。
  また、演習場周辺では、自衛隊等の大型車両の通行によって道路が傷ついたり、演習により土砂が演習場から周辺の川に流れ込んだりした場合に、道路補修や河川改修などの事業へ補助金を交付したり、防災無線や消防施設、さらには、公園やコミュニティなどの共用施設などの整備に対しても周辺自治体に対して補助金を交付しています。
  これら以外にも、当局は(おう)(じょう)()(はら)演習場の周辺自治体に対して、防衛施設の設置・運用がその周辺地域における生活環境や開発にもたらす影響の程度を考慮し、交付金を交付して子供医療費の助成や学校のプ−ル整備道路や排水路の整備など、自治体の方々に幅広く活用していただいているところです。
 しかしながら、補助金等の様々な事業も大切ですが、射撃訓練が事故なく無事に終えてくれることが最も重要です。演習場内での事故等については、これまで弾着地内において野火が発生したことはありましたが、大きな事件・事故はありませんでした。米海兵隊は、これまでの経験を踏まえ、自衛隊の支援を受けるとともにさまざまな事故防止策を強化し、訓練を実施しているところです。


パ−ソナリティ−:
 はい、訓練をするにしても、米軍や地元自治体との様々な調整等があり、自衛隊ばかりではなく東北防衛局も色々と縁の下の力持ち的な働きをされているんですね。

齋藤局長:
  そうです。射撃訓練の安全な実施、地元の皆様の不安の解消という観点から、東北防衛局は、訓練期間中に米側から訓練の情報を入手した場合には、速やかに関係機関に連絡することとしておりますので、ご理解を頂きたいと思います。
  ところで、このような訓練期間中は、どうしても事故とか騒音とかに目が行きがちですが、実は、海兵隊はこれまでも訓練終了後に、毎回さまざまなボランティア活動を実施しています。たとえば、支援施設へ行って掃除や草むしりをしたり、幼稚園等を訪ねては子供達におもちゃをプレゼントしたり、歌やゲームなどの交流会も実施しています。
  また、現地研修と称して、仙台市周辺での史跡巡りや東日本大震災では、沖縄駐留の海兵隊がトモダチ作戦として支援活動を行った津波被害のあった現地の視察なども行なっております。海兵隊員としても家族がいて、地元の人達と少しでも親睦を深めたいとの思いから行っております。
  また、自分たちも日本の文化に慣れたい、日本の社会に貢献したいという思いがあるのだと思います。

パ−ソナリティ−:
  そうですね。東日本大震災での沖縄駐留の海兵隊やその他米軍の救援活動は、本当に有難いものでしたね。また、訓練だけするのではなく、そのように地元との交流も深めていらっしゃるんですね。子供達もきっとうれしいでしょうね。海兵隊の皆さんってなんだか怖そうなイメージがあるのですが、子供達と遊ぶ時には自分達の家族を思い出しながら親睦を深めているんでしょうね。本日のこの時間は、局長から実弾射撃訓練についてのお話しをお伺いしてまいりました。本日はどうもありがとうございました。

齋藤局長:
  はい、こちらこそ、どうもありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
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