自 衛 隊 百 科
(7月放送内容)



テ−マ:東北防衛局調達部の業務



パ−ソナリティ−:

  自衛隊百科のコーナーです。このコーナーでは、毎月1回、東北防衛局の中村吉利局長にお越しいただいて様々なお話をお伺いしております。局長、本日もよろしくお願い致します。


中村局長:

  よろしくお願いします。


パーソナリティー:

  局長、本日も、局長の他に若い女性の方がお2人と、そして男性の方がお1人いらっしゃっているんですけれども、本日はどのようなお話をお伺いできるんでしょうか。


中村局長:

  前回に引き続きまして、現場で活躍している若手から、東北防衛局での仕事を紹介してもらおうと思っています。今日はですね、調達部の3名で、全員が入省の2年目、防衛省の将来を長く担っていく人材なんです。
  それぞれの話の前に、私から調達部全体についてご説明をしたいと思います。調達といいますのは、予算を取って物を買ったり作ったりすることを意味をしていて、防衛局の調達部の場合、主な仕事は自衛隊や米軍の施設の整備を行うことなんです。もちろん実際の設計ですとか工事は民間企業が行うんですけれども、調達部のスタッフは、部隊の希望を聞いてどのようなものを作るかを決め、予算を取って工事を発注し、完成までに工事を監督し、できた施設を検査して部隊に引き渡すという、大変息の長い仕事をしているんです。当然、この過程では専門的な知識が必要ですし、自衛隊や米軍ですから、本当に色々な施設を担当しなければいけません。また、大震災後は、被害復旧などのために、予算が一時的に以前の倍以上になっていて、仕事もその分増えていたという状況なんです。
  今日来ている3名は、この大変な時期に、先輩の指導も受けながら、重要な工事を複数担当してきたんです。当然、工事は国民の税金を使うわけですから、きちんと効率的に行わなければなりませんし、不完全な物を作ったりすると、国の防衛に穴を開けかねないわけで、責任は大変重大なんです。そんな彼らの仕事を、まずは、土木課の緒方さんから紹介をしてもらいます。


緒方技官:

 土木課の緒方です。青森県、岩手県、宮城県内の基地の土木工事の監督官業務を担当しています。一言で土木工事と言っても様々な土木構造物を建設しています。例えば、駐屯地と民家との境界に設置する外柵工事や、土砂災害防止のための法面工事などが実施されています。これら土木工事は部隊からの要望や土地環境を把握した上で実施されるため、様々な知識を必要とします。そのため、監督官業務は日々勉強の毎日で一生懸命取り組んでいます。監督官業務をする中で、同じ組織の職員だけではなく請負会社などとのやりとりは必要不可欠であり、とても重要なものであると感じています。工事は請負会社を交えての建築や設備監督官との調整をして進めていきます。しかし、工事現場はユーザーである部隊の管轄内であり部隊の訓練活動などを第一優先としなければならないので、部隊とのやりとりも必要不可欠です。このやりとりを怠ってしまうと期限までに完成できないなどの事態が発生してしまうため綿密なやりとりを大切にして取り組んでいます。また、現場確認をすることで見えなかった問題点などを発見することができるため、請負会社などとのやりとりだけではなく、自分の目で確かめる積極的な動きも大切なことであると感じています。日本の防衛に関してニュースが毎日のように取り上げられていますが、自衛隊や在日米軍の防衛力に大きく貢献している立場であるため誇りを持って担当業務をしっかりやり遂げていきたいと思います。また、女性監督官として女性ならではのきめ細やかさを活かして業務をこなしていきたいと考えています。


パーソナリティー:
 ありがとうございます。緒方さん、ところで、土木といいますと女性のイメージというのがなかなかありませんが、女性の職員の方々はどれくらいいらっしゃるんでしょうか。


緒方技官:

  はい、土木職の女性職員は全国的に見ても少人数で、現在は10名程度しかいません。
 
最近では、土木を専攻する女性が増えていると聞いていますので、今後女性職員が増えていくことを期待しています。


中村局長:

  自衛隊、土木工事という二重にゴツい職場からはかけ離れた雰囲気の緒方さんなんですけれども、是非とも、持ち前のきめ細やかさを十二分に発揮をして、女性監督官の存在を示してほしいと思います。次に、建築課の高橋さんです。


高橋技官:

  調達部建築課の高橋です。昨年の4月に入省して一年、振り返ると自分の業務を覚えるのに必死な一年でした。自分の主な業務の内容としまして、工事価格を算出する積算業務と建築工事の監督業務です。
 
パーソナリティー:
 高橋さん、建築も土木と同じく女性のイメージというのがあまりありませんが、担当されている業務を具体的に教えていただけますか。


高橋技官:

 はい、まず積算業務についてなんですが、建築課では今年一年で発注する全体の工事の価格が、それぞれどれくらいの費用になるかを一つの係で計算しています。建物に必要な資材はもちろん、完成した後では見えないような仮設の工事や、内外部の仕上げの手間等も含めたお金を積み上げて工事費を算出しています。その際、各工事で条件が違うとお金が変わってくる工事や、金庫扉などの特殊なものは、何社かのメーカーに見積を依頼し、提出された金額を査定して、その中から安価なものを採用し工事費に組み込んでいます。
 
私は他の係より担当している工事監督業務は少ないのですが、青森駐屯地の庁舎新設工事、山田分屯基地の隊庁舎新設工事の2件を担当しています。まだまだ現場経験が少ない新人を教育するために調達部では建築課、土木課、設備課毎に現場研修を実施してまして、建築課では月に一回程度、建物の位置を決める墨出しから完成後の検査まで、自分が監督をしていない工事も見学し、知識を深めています。昨年参加して面白いなと思ったのは、米軍の施設では流し台やトイレの高さ、建具等が一回り大きく、建物は体の大きさが基本にあると実感しました。
  今後、完成後に部隊が使いやすい、メンテナンスがしやすい建物にするためにはどうしたらいいかということを考えられるように経験と知識を増やしていきたいと思います。


中村局長:

 部隊が使いやすい建物を作っていくためには、部隊のことも勉強していく必要があると思います。このあたりにも、一般の建物を作ることとの違いと、国防に携わるというやりがいがあるんだろうと思います。
 最後に、設備課の森さんです。


森技官:

 はじめまして、調達部設備課通信第2係の森です。僕は主に宮城県内の通信工事に関する監督を担当しています。先程お話にあった通り、基本的に施設は建築・土木・設備の3つの課の分業によって建設されますけれども、各課の役割をヒトの身体の一部に例えると、建築と土木が施設の骨格や筋肉の役割で、設備はこれらを機能させるために必要な神経や血管の役割に位置しており、スケールこそ建築、土木に負けますが、施設を運用するために設備もなくてはならないものであると考えています。設備、中でも僕が担当する通信は施設の神経に相当する電話回線や光ケーブル、また目や耳となる監視カメラやレーダーサイト、又はアンテナなど音や映像を通じて情報を伝える機器の整備を行っています。


パ−ソナリティ−:

 なるほど。大変わかりやすい説明ですね。調達という業務を行っていく上で戸惑ったり苦労したりということはありますか?

 
森技官:

 はい、現在調達業務において関連する法令等の勉強に悪戦苦闘している次第です。たとえば監督業務であれば、建設工事の監督等に関する達という物があります。これは監督官としての立場を説いた規則で、どんな工事書類がいつまでにどのような書式でどこへ提出しなければならないといった事細かな監督官の仕事内容が定められています。工事価格の算定を行う積算業務におきましても、効率的な予算の運用を行うために公共建築工事積算基準と言うものが定められています。まだ自分は2年目だから、という気持ちも若干心の中にありますが、この収録を機会にもう一度、自分が従事している調達業務の重み、責任というものを噛み締めて日々の業務からよりよく学び、また自ら率先して関連する法令等の勉強を通じて早く一人前の監督官になれるよう努力していこうと思います。


中村局長:

 2年目とは言っても、甘えや妥協の許されない仕事が求められているわけなので、皆さん、すごくがんばっていると思います。とは言っても、将来を見据えて、益々の精進を期待したいと思っています。なお、調達部には、今日ご紹介した3つの課の他に、予算ですとか工事の総合調整を担当する調達計画課もあります。この課では、現時点での特殊事情として、福島県内の自衛隊施設の除染工事も担当しているんです。これは、部隊はもとより、地域の復興のためにも大変重要な仕事だと思います。


パ−ソナリティ−:

 有り難うございます。なかなかお伺いできない直接の現場のお話をお伺いできまして、本日は大変素敵な時間でした。有り難うございます。本日、この自衛隊百科のコーナーにお越しいただきましたのは、東北防衛局の中村吉利局長、そして高橋さんと緒方さん、そして森さんにスタジオにお越しいただきました。みなさま、どうも有り難うございました。


中村局長、緒方技官、高橋技官、森技官:

 どうも有り難うございました。



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