防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(1月放送内容)



テ−マ:日本の安全保障を巡る最近の展開


パ−ソナリティ−:

 局長、明けましておめでとうございます。


中村局長:

明けましておめでとうございます。


パ−ソナリティ−:

 本年も、どうぞよろしくお願い致します。


中村局長:

はい。こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。


パ−ソナリティ−:

 年が改まりましたが、去年は、防衛省・自衛隊にとって、色々なことがあった年でしたよね。テレビのニュースで、防衛大臣のお顔を拝見する機会が本当に多かったように思います。

中村局長:

正直なところ、去年「も」色々なことがあったという感じですね。自衛隊の活動の場も引き続き多いですし、また、日本を取り巻く安全保障環境もより厳しいものになっているように感じます。防衛に携わるものとしては緊張感のある日々が続いています。今年も、特に、「防空識別区」の問題もある中国については、軍事力の近代化ですとか軍の活動の活発化、また、北朝鮮も、ミサイルですとか大量破壊兵器の開発はもとより、国内政治の動向についても継続的にウォッチしていかなければいけないと思っています。その上で、何かあれば、その時々の状況にマッチした対応が必要になるんですけれども、先程申し上げたとおり、前例踏襲などでは対処しきれない事案も多くて、日々の緊張感はもとより、想像力と決断力の求められる時代になっていると思います。


パ−ソナリティ−:

確かに、中国や北朝鮮については色々と心配な動きがあるので、防衛省の皆さんも緊張感のある日々が今後も続いていきそうですね。


中村局長:

そうなんですね。それは防衛省だけではないんです。国の安全を守るためには、やはり外交ということもありますし、その他にも経済ですとか治安など、国のさまざまな面をしっかりと維持することが不可欠だと思います。その中で、防衛省・自衛隊について言うと、ざっくりと言って、ハード面、ソフト面であらゆる事態に適時適切に対応出来る能力を維持していくことかと思っています。
 この点で、昨年は、国家安全保障会議、いわゆる日本版NSCと言われているものなんですけれども、この法案が成立しましたし、年末には、初めての「国家安全保障戦略」、さらに「防衛計画の大綱」、「中期防衛力整備計画」と言ったものも決定されています。このように、安全保障の司令塔が創設をされて、文書の名称は色々でありますけれども、アメリカなどが実践している、国家安全保障に関する基本方針がまずあって、それに基づく防衛の基本方針ですとか防衛力の在り方を示した大綱、この大綱を具体化するための中期的な防衛力整備計画、さらに各年度の予算といった流れができたと言うわけなんです。
 今日は、時間も限られていますので、このうちの日本版NSCについてお話しをしたいと思います。国家安全保障戦略ですとか防衛計画の大綱といった文章については、今後の安全保障や防衛を考える上で重要な内容が大変多く含まれていますので、来月以降、詳しくお話ししたいと思います。


パ−ソナリティ−:

はい。わかりました。では日本版NSCですね。最近ニュースでも本当によく聞くものになって参りましたが、どんなものなんでしょうか。


中村局長:

日本版NSCですけれども、この法律は、昨年の臨時国会で成立しましたけれども、実は、以前から安全保障会議というこれは総理大臣の諮問機関なんですけれども、こう言うものがあって、今回のNSC法律というのは、安全保障会議の設置法改正という形になっているんです。
 国家が付いているかどうかだけの違いで、紛らわしいと言えば紛らわしいんですけれども、両者の違いとして、3点ご紹介をしたいと思います。
 まず一点目は、事案ごとに参集する大臣を決めて
3つの形の大臣会合、すなわち、1点目が総理、官房長官、外務大臣、防衛大臣による4大臣会合、この4大臣に財務大臣等が加わった9大臣会合、さらに、3つめが事態ごとに定められた大臣による緊急事態大臣会合を予め設けているということです。このように、関係大臣が参集して政府としての決定を迅速に行えるようにしたこと、さらに、平常時からこういった大臣が会合して政策の方向性などを議論できるよう法律に定めたというのがNSCの一つのキモと言えるかと思います。
 次が、NSCに対して関係する省庁ですね、こちらが資料ですとか情報の提供、必要な説明を行うと言った協力を行わないとならないと法律でされているということです。先程の大臣会合という形を作っていても、きちんとした形で情報が統合されて、分析されて上がってこなければ、議論にもなりませんよね。よくマスコミなどでは、こういう省庁横断的な組織における縦割りの問題というのが指摘されているんですけれども、その弊害の発生を防止するための規定が設けられているというわけなんです。
 さらに、三点目が専属の事務局としての国家安全保障局が設けられたことなんです。これまでの安全保障会議では、他に様々な案件を取り扱っている内閣官房という組織が事務局的な機能を担ってきたんですけれども、今回はNSC専属の事務局を設けて、各省庁から人材を求めて局長以下、スタッフを充実させようとしています。アメリカなどにあるNSCも同様の事務局があって、今回新設される日本の国家安全保障局ですね、こちらにはアメリカなどのカウンターパートとの意思疎通も期待をされているんです。
 こういった組織ですとか権限を活用して、国の安全保障の司令塔としての機能が、NSCには求められると、こうゆうわけなんです。


パ−ソナリティ−:

なるほど。これまでと名前は似ていても、色々な点で工夫されているのですね。
 ところで、もともとNSCはアメリカのものだと思っていたのですが、他の国にもあるのですか。


中村局長:

はい、例えばイギリスですとか韓国、ロシアといった国ですね、名称は若干異なることはあっても、それなりの数に同様の組織が存在しています。このうち、イギリスについて申し上げると、NSC自体は、現在のキャメロン政権が発足した直後の2010年の5月に設置されたんですけれども、もともとアメリカのNSC、こちらは1947年に設置されているんですけれども、アメリカのモデルは、イギリスの第一次大戦中に設置した戦時内閣だというように言われているんです。NSCの起源と言いますか原型はイギリスにあったと言うわけなんですね。
 また、少し前に、マスコミでは中国版NSCと呼ばれた、国家安全委員会というようなものがあるらしんですけれども、この設置が話題になっていました。この組織は、報道によれば、中国の社会統制の強化といったことの他に、国家安全保障戦略の改善を行うとされているようなんです。
 いずれにしても、各国とも、現在のめまぐるしい安全保障環境の中で、迅速、適切に情報の集約と安全保障戦略、政策の決定を行っていこうといったような姿勢が見えると思います。

 パ−ソナリティ−:
 そうですね。難しい時代になったとは思いますが、平和な日本はずっと守っていきたなと思います。その中で、今年もやはり防衛局のお仕事は増えていきそうですね。 
 
 中村局長:
 先月お話ししましたとおり、防衛局は、自衛隊の活動ですとか日本の置かれている安全保障環境、それに対して政府がどのような対応を行っているのかなどについて、その地域に密着した形で発信して、理解を得ていくということも任務としているんです。最終的に、イザという時に国の安全は皆さんの理解と協力なくしては成り立たないものなので、防衛局としてのこの使命は非常に重要だと思っていて、今年も、様々な努力が必要だと感じています。 
 
パ−ソナリティ−:
  はい。ではその一環として、今年も、色々なお話しをこの場でお伺いしていきたいと思います。局長本日は有り難うございました。

中村局長:
  
  こちらこそ、どうも有り難うございました。
 
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