防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(12月放送内容)



テ−マ:防衛局の業務


パ−ソナリティ−:

 では早速ですが、今日はどういったテーマでしょうか?


中村局長:

これまで色々と話しをさせて頂いてきたんですけれども、振り返ってみると、防衛局というものについて、断片的にはご紹介してきましたけれども、まとまってお話をしていませんでした。実は、様々な人と会って、顔と名前が一致し始めますと、「防衛局ってどんな仕事しているのですか」とか、「自衛隊と役割分担はどうなっているんですか?」ということをよく聞かれるんですね。そこで今日は、私たち東北防衛局についてまとめてお話ししたいと思います。


パ−ソナリティ−:

 はい。お願いします。中村局長は東北の防衛局の局長でいらっしゃいますが、防衛局というのは日本の他の地域にもありますよね。


中村局長:

はい。防衛局というのは、全国8つありまして、それぞれの地域を担当してるんです。実は、6年前まで防衛施設局という組織がありまして、各防衛局というのはこれを前身としているんですね。東北6県を担当する東北防衛局の場合は、その前身というのは仙台防衛施設局だったわけです。自治体の人などと話しをしてますと、未だに「施設局」ですとか、私のことを「施設局長」と呼ぶ人がいるのは、その名残だと思います。


パ−ソナリティ−:

 なるほど。防衛施設というがお話に出てきましたが、これは、自衛隊の基地のことでしょうか?

中村局長:

はい。実は自衛隊だけではなくて米軍も含むものなんですね。さらに言いますと基地ですとか駐屯地だけではなくて、演習場や、訓練で使用する水域・空域といったところも含む概念なんです。これらに必要な土地などの取得ですとか維持、管理というのは、かつての防衛施設局、今の防衛局が行っているんですね。また、単に土地に関することだけではなくて、必要な建物などを造ることも防衛局の業務に含まれているんですけれども、自衛隊、米軍の使用する施設ですから、普通に考えられるオフィス・ビルだけではなくて、強度の高い特殊な構造の建物もあれば、秘密に属するというものもあるんです。さらに、滑走路ですとか管制塔、港、レーダーサイトがあるかと思えば、逆に体育館ですとか食堂、浴場なども含まれることになります。これらを工事業者に発注するところから完成、部隊への引き渡しまでを担当するためには、当然のことながら幅広い知識が必要になるんです。こうした防衛局における建築のプロの存在というものは、東日本大震災後の自衛隊の活動を支える大きな力になりましたし、国際任務で自衛隊が様々な工事を担当する際にも役立っています。
 ところで、防衛施設は、国の防衛のためには絶対に必要なものなんですけれども、その反面、さまざまな影響を周囲に及ぼしているんですね。例えば、飛行場の周辺では日常的に騒音が発生しますし、演習場も砲撃訓練など行うときには騒音、さらには振動が発生するんです。自衛隊には大型の車両が多いですから、これらが走ることで道路が傷んだりですとか、さらに、演習場の中を走り回ることで外部の河川に土砂が流れ出したりということもあります。国の防衛のために必要なこととは言っても、地域の方には、他の地域にはない負担をお願いすることになっているわけですね。当然、こうした問題に対しては、国の防衛のためだから我慢して下さい、というわけにはいきませんので、防衛局では、さまざまな施策を行っています。


パ−ソナリティ−:

具体的にはどういう内容なんでしょうか?


中村局長:

例えば、騒音が激しい地域の住宅ですとか学校などに対する防音工事などを行っているほか、場合によっては、騒音の少ないエリアへの集団移転も行っているんです。また、自衛隊の活動によって影響を受けた道路、河川の改修などを自治体と協力して実施したりもしているんです。さらに、周辺地域に対する防災無線など民生安定施設の設置への補助ですとか、さまざまな用途に使える交付金の交付なども行っているんです。その他にも、演習などで漁ができなかった漁業者の方ですとか、自衛隊や米軍の活動によって損失を被った方への補償も行っているんです。他にも米軍の起こした事故への対応など色々あるんですけども、防衛局は、こうした施策を通じて、自衛隊、米軍、防衛施設と周辺地域との良好な関係の維持に寄与しているのです。と言いますと、公共事業に対する補助ですとか交付金といったように、お金で問題を解決しているように感じるかも知れませんけれども、そう単純なものじゃないんですね。補助や交付金の対象となる問題の原因が防衛施設の存在ですとか自衛隊・米軍の活動に起因するものであるということ、さらには予算の制約もある中で、真に地元のニーズに合致して、地域と防衛施設との共存共栄、ひいては地域社会の役に立つ施策を実施するために、局のスタッフは日常的に地元ときめ細かな調整をしているんです。


パ−ソナリティ−:

本当に様々なお仕事があるんですね。


中村局長:

実は、ここまでお話ししましたのは、防衛施設局の時代から継続している業務なんですね。6年前に防衛施設局が防衛局になるに当って、地域で装備関係の業務を行っていた事務所、東北防衛局の場合ですと福島県郡山市にある事務所なんですけれども、これを取り込むとともに、防衛省の施策全般について、地域ごとにきめ細かく発信してより理解を得るという仕事が追加されました。国の防衛というものは、防衛省・自衛隊、さらに言いますと国の政府だけの問題ではなくて、国民全体の問題なんです。10年前にできた有事法制の中には、いわいる有事に際して「国民は、必要な協力をするよう努める」と謳われているのですが、自衛隊の活動に国民の協力が必要なのは、災害の救援活動、さらには日常的な活動でも同様です。そこで、必要な時に必要な協力が得られるよう、常日頃から防衛省の施策や自衛隊の組織、活動、そのときの権限などについて説明などを行って理解を求めていこうとしているのです。私が、ここでこのような話しをしているのも、地域の皆さんに少しでも防衛問題に理解を深めていただくための一環として行っているものなんです


パ−ソナリティ−:

防衛局は今や、防衛施設に関する業務だけでなくて、装備品や防衛省全般に関わる業務までを担当しているわけですね。そうすると、自衛隊の部隊との関わりというのはどうなっているのでしょうか。


中村局長:

今ご指摘のとおり、防衛局というのは地域における防衛行政の拠点という位置づけになっています。そこで自衛隊との関係ですけれども、私たちのホームページにも掲載している東北防衛局のパンフレットには、冒頭、「守るを支える」という言葉が出てくるんです。冒頭申し上げたさまざまな防衛施設を整備することから、地域と自衛隊、米軍との関係を調整して活動の基盤を作る、さらには活動に必要な地域の方の理解と協力を得るという意味で、国土、国民を「守る」自衛隊などを「支える」防衛局というわけです。もちろん、防衛局の業務に関して、部隊の方からも様々な面で支援を頂いているので、この辺りは持ちつ持たれつという感じですね。

 パ−ソナリティ−:
 はい。分かりました。いつのこのQAのコーナーでは、細かなお話を伺いしておりますが、本日は大きなところでお話を伺いました。本日も有り難うございました。 
 
 中村局長:
 有り難うございました。 
 
 
  
 
 
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