自衛隊インビテ−ション
(7月放送内容)



テ−マ:ブルーインパルスの帰還



パ−ソナリティ−:

 先月までの小野寺防衛大臣へのインタビューの中で、大臣はブルー・インパルスの松島基地への帰還について触れておられました。今日は、その点について中村防衛局長に詳しくお話を伺いしたいと思います。よろしくお願いします。


中村局長:

 よろしくお願いします。いま、ご指摘のとおり、今年の3月末にブルー・インパルスが東松島市の松島基地に戻ってきました。ブルー・インパルスの母基地である松島基地なんですけれども、東日本大震災で建物ですとか航空機に非常に大きな被害を受けました。他方、ブルー・インパルス自体は、九州新幹線の開業イベントに参加するために基地を離れていて、多くの航空機が難を逃れていることができていたんです。難を逃れたとはいいましても、松島基地自体が使用できなくなってしまいましたため、その後、離れた場所での訓練を余儀なくされてしまったのです。この間、松島基地への思いもさることながら、被災地に家族ですとか親類、友人、同僚を残したまま、訓練を続けた隊員の心情は如何ばかりかと思います。それだけに、2年ぶりに松島基地に戻ってこられた時は、部隊はもとより、関係者の感慨もひとしおだったと思います。この戻ってきた日なんですけど、雪交じりというあいにくの天気だったのですが、小野寺防衛大臣ですとか地元の首長さんなども参加して、帰還行事が盛大に行われました。


パ−ソナリティ−:

 そうですね。まさにお帰りなさい、ブルー・インパルスですね。ところで、震災からの復旧のための工事は色々なところで続いていますが、大きな被害を受けた松島基地に、どうしてこの時期、ブルー・インパルスは戻ってくることができたのでしょうか。

中村局長:
 はい、松島基地の被害も非常に大きかったために、今日においても基地が完全に復旧したというわけではありません。また、自衛隊の基地は、災害救援の際にも、まさにベースとなる施設なので、今後の災害への備えを考えると、単純にもとの形に戻せばいいというものでもありません。一方、被災した住宅地などは、高台への移転も検討されていますけれども、広大な土地を必要とする自衛隊の基地は、そう簡単に移転することはできません。こうした要素を考慮して、松島基地では、必要な部分の駐機場と格納庫を3メートル高台化することによって、震災に強い基地に生まれ変わろうとしているんです。必要な部分とはいいましても、かなりの部分をかさ上げしなければなりません。そこで、工事は4期に分けて実施し、最低限、万が一の場合に航空機が退避できるスペースをまず確保することを目指しているんです。ご承知のとおり、被災地全体で、復興需要のために資材ですとか技術者が不足していまして、大変困難な状況だったんですけど、関係者の努力によって、なんとか331日までに第1期の工事、駐機場の高台化なんですけれどもこれを完了させて、ブルー・インパルスの帰還が実現したというわけです。この背景には、防衛省・自衛隊として、基地を早期に使用可能な状態に戻さなければならないという事情もあるんですけれども、地元からの、ブルー・インパルスの早期帰還を求める熱い期待があったことも与って力ありました。普通、基地周辺にお住まいの方々にとって、騒音の元となる航空機は迷惑なものなんですけれども、松島基地周辺では、むしろ、早期帰還が地元から求められたのです。本当に有り難いことだと思っています。このように、今回の帰還は、地元の方々、工事関係者、防衛省・自衛隊が、一つの目標に向かって力を合わせて成し遂げたものといえます。他方、帰ってきたとはいっても、先程申し上げたとおり、かさ上げ工事はまだまだ時間が掛かります。格納庫も仮設のものなんです。復興需要がますます増大する中、工事を担当する東北防衛局としては、今後とも、基地の早期、完全な復旧のために努力していきたいと思っています。

パ−ソナリティ−:
 工事も大変でしょうけれども私たちも本当に期待しております。とにもかくにもブルー・インパルスが帰ってくると、地元にとっても、復興の大きなシンボルになりますよね。

中村局長:
 帰還した日のイベントでも、多くの方がそのように仰っていました。また、昔から見慣れたブルー・インパルスのループですねこれを見ると、被災地にも徐々に日常が戻ってきているんだなという気がすると仰っている方もいました。今、ブルー・インパルスは松島基地周辺で従来と同様の訓練を行っていまして、各地に飛んでいって、今後展示飛行を行う予定にしています。例えば、宮城県では、81日に石巻の川開き祭り、さらに2425日には地元東松島市の上空を飛行する予定です。東北地方の他の県でも飛行していますけれども、915日には、青森県の三沢基地航空祭にも参加します。展示飛行を見る機会があれば、是非とも、帰ってきたブルー・インパルスの、従来と変わらぬ飛行技術を楽しんで頂くことに加え、今申し上げたような経緯にも思いを致していただければと感じます。

パ−ソナリティ−:
 空からの私たちへの応援とそう言ったような感じも受けます。多くの困難を乗り越えて戻ってきたブルー・インパルス、これまで以上に、見る人に元気を与えてくれそうですね。


中村局長:

 そうですね。まさにブルー・インパルスは地元の人に空から応援をしているということかと思います。もう一つ、松島基地と地元との関係で申し上げたいのは、基地の防潮施設の建設が、東松島市と相談しつつ、市の防潮施設と整合する形で進められていることです。東松島市は、震災後、3つの防潮施設の建設を計画しているということなんですけれども、市街地から見て海側に位置する松島基地は、丁度第2次と第3次の防潮施設に挟まれる形になっているんです。一方で、基地の中では、先程申し上げた、駐機場と格納庫の高台化に加えまして、基地の中にいる隊員ですとか施設に対する津波の危険性を軽くするための防潮施設の建設も予定されているんです。このように、基地は、市の作る2つの防潮施設で守られて、また、基地がいわば市にとって第2.5次というような防潮施設になっているわけなんです。こうした地元と基地とがタッグを組んで、調整しながら、より効果的、効率的な防潮施設を建設するという試みは、自衛隊としては極めて異例で、世界にもあまり例がないのではないかと思います。


パ−ソナリティ−:

 本当に自慢と自信が持てる。宮城県民としては、とても嬉しいです。色々な意味で、松島基地とブルー・インパルスは地域とともに存在しているんですね。また、このような背景があって、ブルー・インパルスは、訓練に専念でき、そして、一糸乱れぬ見事な飛行を展示できているわけですね。

中村局長:
 はい。まさに仰るとおりです。


パ−ソナリティ−:

 ありがとうございます。今日は、ブルー・インパルスの新しい見方を教えて頂いたように思います。今日お話を伺いましたのは、防衛省東北防衛局中村義利防衛局長でした。どうも有り難うございました。

中村局長:
 こちらこそ有り難うございました。
 
 

 
 

 
 

 
 

 
 
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