防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(6月放送内容)



テ−マ:佐藤正久防衛大臣政務官へのインタビュー

パ−ソナリティ−:

防衛省東北防衛局が送る、日本の防衛Q&A。この番組では、防衛省、自衛隊や日本の防衛について、詳しく、分かりやすくお話いただいております。本日は、中村吉利東北防衛局長と、福島がご出身の佐藤正久防衛大臣政務官との対談をお送りします。


中村局長:

政務官、本日は、お忙しいなか、お時間いただきまして、どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。


佐藤政務官:

 こちらこそ、よろしくお願いします。


中村局長:

はい。政務官は、自衛官時代、イラクなどでの、国際的な部隊でのご活躍が大変有名ですけれども、東北地方においても、青森の第五普通科連隊で中隊長を務められ、仙台の東北方面総監部防衛部にも勤務されたと承知しています。まず、当時を振り返って、自衛隊でどのようなことを学ばれたか、うかがいたいと思います。


佐藤政務官:

はい。今の紹介の中で、青森と仙台で勤務をしたとありますけれども、出身が福島で、山形でも六師団で勤務したことがあります。訓練場は岩手と秋田と、東北6県をいろんな意味で、関係をさせていただいたというなかで、国際貢献の訓練とか、あるいは、国の守り国防の訓練、あるいは、災害派遣の訓練というものを、指揮官という立場、あるいは、幕僚という立場でいろいろ経験させていただきました。そこで学んだ一番は、「備えあれば憂い無し」、この意味の重さ。「考えて、考えて、考えて」、いかに想定内というものをいかに増やして、想定外を小さくするか。これが、危機管理の基本だということを、とことん学ばせていただいたという感じがします。今回の震災対応でも、自衛隊、いろんなことがありましたけど、やはり、いかに、想定内を増やして、その中で準備をしていたということが、初動につながったのかなぁという感じがします。そういう面で、「備えあれば憂い無し」、「憂いなければ備え無し」じゃないという部分は、今後とも、政務官としてもいろんなところで、成果物として拡げていきたいというふうに思っています。


中村局長:

はい。まさに、その備えが東日本大震災でも、自衛隊の活躍につながったということかというように思います。政務官、今、お話ありました通り、ご出身地福島県におきましては、地震ですとか津波の災害に加えて、原発事故への対応も自衛隊は求められていました。こういった、自衛隊の活動につきまして、政務官ご自身、どのように評価されているかをお聞かせいただきますでしょうか。


佐藤政務官:

はい。今回の自衛隊の災害派遣の現場、この活動をまのあたりにして、自衛隊の教育には間違っていなかった。先輩に感謝しないといけないというふうに思います。まさに、いざというときに、自分の命を犠牲にしてでも、守るべきもののために力を発揮する。それが、やっぱり、「最後の砦が自衛隊」だと、強く思いました。特に、ある福島の方が言っていたんですけども、「福島の原発1号機から4号機、パンパンパンパン、爆発して、その上をヘリコプターが飛んで、爆発を止めるために放水をしてくれた。あの映像を見て、勇気と希望をもらったと言っていた。儲かるか儲かんないではない、損か得ではなくて、自分の命を犠牲にしてでも、守るべきものがあるんだ。頑張んないといけないというふうに思った。まさに、自己犠牲の塊だなぁというふうに思った。」ただし、私が、その人に言ったことは、「自衛隊、災害派遣でものすごく評価が高くなりましたが、自衛隊の一番の任務は災害派遣ではなく、国の守り、国防なんです。国防のための、これでもかという、厳しい訓練をやっているからこそ、それが強い自衛隊につながり、国際貢献へ、まさに、災害派遣での活動につながるんです。そこは触れずに、理解していただきたい。」ということを申し述べました。ただ、残念ながら、今、世論調査を見ると、まだまだ、自衛隊に対する評価というのは、災害派遣には高くても、一般の国防については、まだ、それほど行っていない。ある世論調査によると、世に何かあったときに、武器を持って、国を守るために、一緒に戦おうという国民はだいたい15パーセント前後と。これは、調査対象国でだんとつのビリだという話もあります。そうすると、これからも、国防というものについて、自衛隊も頑張るけども、みんなで、やっぱり、それぞれの責任というものを果たして、自分の国は自分で守るという体制を少しでも作っていく、汗をかいていかなければいけないというふう思っています。


中村局長:

はい。ありがとうございます。政務官は、自衛官時代、指揮官はもとより、これまで政治家としても、さまざまな面でリーダーシップを発揮してこられたと承知しています。今、お話にありましたような面、すなわち、国民のあいだでの国防意識を高めるといった面についても、政務官のリーダーシップを期待したいと思います。そんな政務官におうかがいしますけれども、今のこの日本において、リーダーとして求められるものは、何であるとお考えでしょうか。


佐藤政務官

リーダーというのは、やっぱり、覚悟だと思います。自分が全部責任をとるから、やってくれと。俺が全部責任背負うと、その覚悟が、その部下にいかに伝わるかという部分だと思います。政治に求められている部分については、まさに、その部分で、政治のリーダーシップ、まさに、領土あるいは国民の命、これを我々が守り抜くんだと、強い意志これを国民にいかに徹底するか、自分たちの覚悟を伝えきるかという部分が大事で、そういう部分を私は今後ともいろんな経験を通じて話、あるいは、いろいろな会話のなかで伝えていきたいと思っています。特に、今の領土問題というものも、リーダーがやっぱり覚悟とらないといけない。主権と領土国民というものは国があるいは政治家が、体を張って守り抜かないといけない。そのために、備えも十分大切だし、国民に対する意識を上げることも大事だと思っています。


中村局長:

政務官、防衛大臣政務官に就任されて半年以上となりますけれども、この半年間というのは、まさに、日本としての領土、主権という問題が問われていた期間ではなかったかと思います。この期間、どのような心構えで業務にあたってこられたのかを、おうかがいしたいと思います。また、政務官ご自身が大切にされている座右の銘についてもうかがいたいと思います。


佐藤政務官

私は、現場上がりの国会議員であり、今、現場上がりの政務官という立場ですので、理論だけではなく、現場の実情、可能性というものをいかにマッチングさせるかという部分、それを多くの国会議員の方々に知っていただくということに、意を用いてきました。理論は確かに大事。理想は大事。だけど、現実のギャップというのを、いかに、これを分かったうえで、それを埋めていく努力をするかというのが非常に大事です。「尖閣諸島にすぐ自衛隊を配置すべきだ」と言う人もいます。でも、配置した後、どういうアクションが周辺国から起きるのか。置いたあと、それだけで、どうやって、尖閣諸島に対しての兵站の流れを作るんですか。あるいは、航空自衛隊、海上自衛隊の活動を継続的にやるかと。その具体的な議論もあわせてやらないと、結果的に国益を守れなくなってしまう。そういう、具体的な部分について、いろんな国会議員の方々について、実情と理想という部分のギャップを埋めるということを、この半年間、いろんな部分でさせていただいたというふうに思っています。そういう面で、私の1つの座右の銘というのは、「意なくば立たず」よく、論語で国民との信がなければ、信頼関係がなければ、政治はできないと。「信なくば立たず」とありますけれども、その前に、自分の意志、これがしっかりしていなければ国民との信頼関係も成り立たない。正しくは、「意なくば信立たず」だと思っています。そういう意味で、まず、自分の意志を、自己をしっかり固めてから、国防の重要性、あるいは、国防意識、あるいは、備えについて国会議員の方々に説明をする。実情はこうなんだということを説明する。同時に、また、国会議員の方を通じて国民に、また、自分から直接国民に、その部分も話しかけて、その自分の意志というものもさらに伝えて結果のほうにつなげていくということを、今後とも継続していきたいというふうに思っています。


中村局長:

はい。ありがとうございます。経験とご見識に裏打ちされた、大変深いお言葉をいただいたように思います。最後になりますけれども、ラジオをお聴きの東北地方の皆様へのメッセージをお願いします。


佐藤政務官
 はい。私も、出身が福島県ということで、東北のほうにはよく足を運ぶんですけども、やっぱり、東北地方においては、あの東日本大震災からの復興。やっぱり、これ、道半ばです。でも、ところが、どんどん報道が少なくなっていったために、震災に対する支援というものが、日本国民の意識のなかから風化をしつつある。これは、「絶対阻止しないといけない。まだまだ、支援が必要な部分もある」という部分については、政治のほうが責任を持って、風化対策、風評被害対策を含めてやっていくという覚悟であります。今後とも、将来への責任というものを、しっかりと、国防の面でも、防災の面でも、減災の面でも果たしていきたいというふうに思います。ともに、頑張りましょう。

中村局長
 はい。政務官、今日は、どうもありがとうございました。

佐藤政務官
 どうもありがとうございました。
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