自 衛 隊 百 科
(5月放送内容)



テ−マ:自衛隊とは@ 自衛隊のヒト



パ−ソナリティ−:

自衛隊百科のコーナーです。このコーナーでは毎月1回、東北防衛局の中村吉利局長にお越しいただいて、さまざまなお話をうかがいしております。局長、本日もどうぞよろしくお願いいたします。


中村局長:

 はい。こちらこそ、よろしくお願いします。


パ−ソナリティ−:

局長には、前回、自衛隊の組織についてお話していただいたんですが、今日は、自衛隊のヒト・モノ・カネのうち、ヒトについて、お話をうかがいしたいと思います。


中村局長:

はい。では、突然ですけれども、自衛隊って全体でどれくらいのヒトがいるかご存じですか。


パ−ソナリティ−:

本日は、クイズ形式なんですね。では、答えてみたいと思います。10万人くらいだと思います。


中村局長:
 いやいや、もうちょっと、実は多いんですね。


パ−ソナリティ−:

 多いんですか。


中村局長:

 はい。と言っても、この質問は単純そうなんですけれども、ちょっと複雑なんです。まず、押さえていてほしいと思うのは、自衛官、こちらの定員25万人弱ということなんです。ちょうど、山形市の人口よりもちょっと少ないくらいという感じですね。今、定員というふうに申し上げましたけれども、これは制度上決まっている人数で、実際に在籍している人数、こちらを実員と言ってますけれども、こちらの定員よりも約2万人少ない、23万人弱が実際に自衛隊で自衛官として働いているという形になっています。国際的には、常備兵力といわれているもので、各国の比較を行うときには、通常、この数字が使われているんです。


パ−ソナリティ−:

 では、日本だと常備兵力は23万人弱。


中村局長:

 はい。そういうことですね。その23万人の自衛隊ごとの内訳なんですけれども、陸上自衛隊こちらの定員約15万なんですけれども実員は約14万人。海上自衛隊は定員4万5千人に対して実員が4万2千人、航空自衛隊は定員4万7千人に対して実員が4万3千人と、どこも、定員に対して実員は1割弱程度少なくなっているような感じです。やはり、制度上決まっている数字と、実際にいる人数、実員が少ないという形になると、部隊の運営でいろいろやりくりをしなければいけないという苦労があるみたいですね。この他に、自衛隊にはいくつかの種類があるんですけれども、国際的には予備兵力といわれている、予備自衛官が全体で定員5万6千人程度います。こちらの実員は定員の3分の2くらいとちょっと少なめなんですね。自衛官、いわゆる制服組といわれているもののほかに、背広組といわれる私のような事務官ですね。これが、全体で約2万人います。では、ここで、次の質問です。さっき、常備兵力と申し上げました、自衛隊は23万人弱ですけれども、世界で一番大きい常備兵力を持っている国はどこでしょうか。


パ−ソナリティ−:

 アメリカだと思います。


中村局長:

 ちょっと、惜しかったですね。


パ−ソナリティ−:

 違うんですか。


中村局長:

はい。アメリカは157万人なんですけれども、中国が229万人の軍隊持っています。ちなみに、北朝鮮は120万人なんですね。中国は229万人と自衛隊の10倍くらいなんですけれども、中国の場合は人口が日本の10倍くらいなんで、そんなにびっくりするような数字ではないですよね。一方で、北朝鮮なんですけれども、北朝鮮人口は日本の5分の1くらいなんですけれども、逆に軍隊は120万人と自衛隊の5倍くらいいるんです。これは、いかに、北朝鮮が軍事中心なのかということを示す一端だと思います。ちなみに、お隣の韓国なんですけれども、常備兵力は約66万人と北朝鮮の半分くらいになっているんです。ですけれども、韓国の場合特徴的なのは、予備兵力は何と450万人もいるんですね。韓国として備えているということを感じさせる数字だと思います。予備兵力という面で、さらに申し上げておくと、これも、お隣といってもいいかも知れません、ロシア、何と2000万人予備兵力を持っています。


パ−ソナリティ−:
 だと、日本の数がなんだか少なく感じてしまいます。

中村局長:

そうですよね。はい。参考までに申し上げておくと、軍隊のリクルートなんですけれども、今、名前を挙げた中国ですとか、ロシア、韓国、北朝鮮というのはすべて徴兵制の国なんです。日本ですとか、アメリカ、あと、ヨーロッパの主要国はだいたい志願制なんですけれども、ドイツだけは徴兵制という形になっています。では、自衛隊に戻って、次に、階級の話をしたいと思います。前回、自衛隊の組織のお話のときに、四つ星を付けているのは4人だけというお話をしましたけれども、階級上はこの四つ星と三つ星を併せて将という、将軍の将という字ですね。このクラスが一番上になっています。その次が将補、将を補うというような字ですよね。さらに、佐官、尉官が続いて、ここまでを幹部というふうに言ってます。幹部は、全体で自衛隊の2割弱という形になってます。幹部の下に准尉ですとか、さらに、曹、最後に士というクラスが続いています。当然、階級によって仕事の中身ですとか、部下の数とか、指揮する部隊の大きさが違ってくるというのは、当然なんですね。ところが、自衛隊では階級が定年年齢にも関わってくるんです。普通の会社とか役所では、だいたい60歳ぐらいだと思うんですけれども、最近はこれを延長しようという動きもあるようなんですけれども、ここで、3つ目の質問をしたいと思います。自衛隊で一番若い定年年齢は何歳でしょうか。


パ−ソナリティ−:

はい。悩んでいるんですが、国家公務員でありますので60歳ではないでしょうか。


中村局長:

はい。残念ながら、正解は、クラスで言うと、二曹とか三曹の方なんですけれども、何と53歳が定年なんですね。やっぱり、このクラスというのは部隊の中核を担っている人たちなんですけれども、やっぱり、自衛隊として若い精強性を維持するというために、定年年齢を一般よりもかなり若くしなければならないというような事情があります。ちなみに、幕僚長の定年年齢というのは62歳になっているんです。やっぱり、体力自慢の幕僚長さんもいらっしゃるようなんですけれども、防衛大臣のアドバイザーとして、経験と知識が豊富な人が求められているということだと思います。ところで、自衛隊では幹部は往々にして日本全国を移動して回るということが多いんですけれども、曹クラスの方は地元の部隊に採用されて、その地域で自衛官生活を全うするというケースがかなり多いようなんです。陸上自衛隊の東北方面隊も例外ではないようで、全体の9割くらいが東北地方の出身者で占められているということのようです。ここで、4つ目の質問をしたいと思います。全国に47都道府県ありますけれども、自衛官の出身地として一番多いのはどこでしょうか。残念ながら、山形県ではないんで、4択にしたいと思います。最初は、北の守りは今でも重要なので北海道でしょうか。それとも、全国でも珍しい三自衛隊の三つ星の将官がすべて揃っている青森県でしょうか。それとも、やっぱり、人口の一番多い東京都でしょうか。それとも、今や防衛の重点というのは西日本に移っているので、そこの一番人口の多い福岡県。どこでしょうか。


パ−ソナリティ−:

どれも、そこっぽいんですけれども、昔ながらの北の守りが今でも重要というところに惹かれたので、北海道にしたいと思います。


中村局長:

はい。素晴らしい、正解ですね。圧倒的に北海道が多いんです。出身地ではなくて、本籍がどこかということで若干出身地ということは違っているかもしれませんけれども、北海道が圧倒的に多くて、それに続く、福岡ですとか青森、あとは熊本といったところが続いているんですけれども、そういった県の3倍程度、本籍が北海道の人が多いという形になっています。東京は、こうした福岡とか青森に比べても、かなり少ないという形になってきています。それでは、時間も迫ってきましたので、北本さんご関心あるかもしれません。女性自衛官に関するものをおたずねしたいと思います。自衛官全体で、女性の占める割合はどのくらいでしょうか。


パ−ソナリティ−:
 はい。自衛隊の女性の方にお越しいただいて、実際に何人くらいいらっしゃるのかうかがったことはあるんですが、全体という割合はうかがったことないんですね。なので、あてずっぽうで、1割だと思いますが。

中村局長:

ちょっと惜しかったですね。少し前の統計で、実員ベースで、1万2千5百人といわれていて、これは、全体の約5.5パーセントですね。ですから、20人弱に1人くらいしか女性はいないという数値なんです。ちなみに、アメリカなんですけれども、数年前の統計で、もう、10パーセント台の半ば、自衛隊の3倍ぐらいの割合だったので、自衛隊は少ないというように感じられるかもしれません。けれども、自衛隊が発足した当初は、女性を置いていたというのは、看護関係だけだったんで、その後、いろいろな職種に門戸を開いてきています。割合も増えてきてはいるんですね。といっても、アメリカでは女性の戦闘機パイロットもいるというのを聞いていますけれども、自衛隊の場合は輸送機といったような飛行機にとどまっていますし、世の中の趨勢として、女性をより一層活用しようという動きがあるなかで、中心的には戦闘職種にどれだけ女性が門戸を拡げられるかということかと思いますけれども、防衛省自衛隊は継続的にそういった面を検討しているということですので、今後の展開に注目したいと思います。


パ−ソナリティ−:
 では、いつか、女性の方が戦闘機のパイロットになる日もあるかもしれない。来るかもしれない。

中村局長:
 その可能性は、否定されてはいないと思います。

パ−ソナリティ−:
 はい。分かりました。

中村局長:
 はい。以上、ちょっと雑駁でしたけれども、今日は自衛隊のヒトについてお話をさせていただきました。

パ−ソナリティ−:

はい。クイズ形式で、たいへん、聴いている皆さんも楽しかったと思います。ありがとうございました。また、次回もですね、自衛隊の、今度はヒト・モノ・カネのモノ・カネの部分についてもおうかがいしていきたいと思います。中村局長、本日は、ありがとうございました。


中村局長:
 はい。こちらこそ、どうもありがとうございました。

パ−ソナリティ−:
 自衛隊百科のコーナーでした。インタビュアーは北本紗希がお送りしました


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