自 衛 隊 百 科・自衛隊インビテーション
(12月放送内容)



テ−マ:軍隊とファッションA 制服の起源



パ−ソナリティ−:

 前回ですね、迷彩服の話しを伺ってから、街を歩くときに気にしていて見ていたんですが、やっぱり迷彩服は町の中では目立ちますよね。


中村局長:

 ファッションってやっぱりTPOですよね。TPOと言うのは、時間ですとか場所、場面、目的に合ったものを着るって言うのが重要ですよね。若者が迷彩服を着るって言うのは、やっぱり目立ちたいと言う目的があるからなんでしょうね。他方で、軍隊の場合は、カモフラージュと言う真逆の目的があるわけですよね。


パ−ソナリティ−:

 自衛隊は、そのTPOに応じて色々な制服があると聞いたことがあります。


中村局長:

 自衛隊に限らず、各国の軍隊と言うものは、場所ですとか場面、目的、季節に応じた多くの制服を持っているんですね。自衛隊について、例えば、いつも着ているのは常装と言うんですけれども。冬服と夏服に分かれています。夏服も1種から3種と言うものまであって、1から3に行くに従ってだんだんカジュアルになってくるんですね。儀式の時に着る礼装と言うものがあるんですけれども、普通の自衛官でも3種類持っているんです。こう言ったもののほか特殊なところをご紹介しますと、ほんの一例なんですけれども、調理、料理を作るときの服ですとかそれを配る配食用の服、さらには、自衛隊の病院に入院したときの服、患者服と言っているんですけれども、こんなものまで定められているんです。


パ−ソナリティ−:

 へぇー。すごい数になりますね。

中村局長:
 数だけではないんですよね。自衛隊に限らず、軍隊って言うのは、戦闘というすごく過酷な状況から、国家を背負った儀礼の場という両極端に対応する必要がありますよね。このため、戦闘に適したすごく実用的なものから、ファッション性のある、それも軍隊としての規律と国家の威信をも感じさせる制服を開発してきたんです。そのために、後で広く一般にも使われているってものが沢山あるんです。たとえば、私がしているこのネクタイなんですけども。いくつか説はあるんですが、いずれも軍隊が起源となっているようなんです。面白い説と言うのは、17世紀にフランスを訪問したクロアチアと言うヨーロッパの国なんですけれども、どうもこのクロアチアの兵士が、家族からですね無事の帰還を祈って貰っている布、これを首に巻いていたと言うものが起源になっていると言う説があるんです。実はフランス語では、ネクタイのことをクラバットと言うんですけど、このクラバットと言うのはもともとクロアチア兵のことを言うんですね。さっき申し上げたクロアチア兵が首に巻いている布に興味を持ったフランス王様が「あれは何だ」と聞いたところ、兵隊の事だと勘違いした側近が「クラバット」と言ったために、布の方ががクラバットになってしまったと言う説があるんです。ちなみに、フランスと並ぶネクタイの本場と言えばイタリアなんですけれども、イタリア語でもネクタイはクラバットと言うんですね、イギリスでも、高級店ではネクタイではなくてクラバットと言うところもあるんです。ネクタイつながりで、レジメンタル・タイと言うのはご存じですか。


パ−ソナリティ−:

 学校の制服などによくあるストライプのネクタイのことですね。


中村局長:

 そうですねレジメンタルのレジメントと言うのは、もともと陸軍の連隊のことを言っているんです。イギリスの陸軍は、昔から連隊ごとに違うストライプの旗を持っているんですけれども、レジメンタル・タイと言うのは退役した人が自分の連隊のストライプをネクタイにあしらったのが始まりらしいんですね。この由来のために、レジメンタル・タイと言うのは、比較的カジュアルなものとされるんで、着ける場面にちょっと注意が必要になってきます。レジメンタル・タイについては、ストライプの向きにも注意が必要なんですよ。


パ−ソナリティ−:

 ストライプの向きは、どう関係あるんですか?


中村局長:

 本来は、着けている人の左手の方が上で、右手の方が下と言うストライプになるんです。ところが、アメリカでは、これと逆のパターン。すなわち右が上で左が下と言うのが存在するらしいんです。イギリス人は、これを英語で言うリバース、逆さまとか、裏返しといった意味なんですけれども、こんな風にバカにしているんですね。


パ−ソナリティ−:

 面白いですね。


中村局長:

 イギリス人と言うのは、特にアメリカ人とフランス人をコケにするのが好きですから。さきほど学校の制服とおっしゃいましたけれども、学生服に使われている中で、イギリス軍、特に海軍発祥のものは他にもあるんです。有名なところでは、セーラー服。セーラーと言うのは、ご承知のとおり水兵、海軍の下士官のことでして。海上自衛隊でも、セーラー服と言うのは使われているんです。

パ−ソナリティ−:
 では、もしかしたら胸元のスカーフは、ネクタイが変形したものなんですか?

中村局長:
 それはちょっと違うんですね色んな説があるんですけれども、ネクタイではなさそうなんです。手ぬぐい代わりだと言う説もあります。

パ−ソナリティ−:
えっー!それは手ぬぐい代わり、汗を拭いたりするものの代わり?首から提げたタオルのイメージですね。
中村局長:
 まさにそんなものなんですね。一方ですねセーラー服っていうのが一般に着られるようになったのは、19世紀に、当時のイギリスのビクトリア女王が、皇太子、今のエリザベス女王の曾お爺さんにあたる人なんですけれどもエドワード7世と言う人なんですけれども、この人に着せたのが始まりとされているんです。これによって、イギリスでも広くセーラー服が着られるようになったというのが、有力な説なんです。
パ−ソナリティ−:
 セーラー服って、手ぬぐい、タオル見たいのをぶら下げていたかと思うと、ロイヤル・ファミリーにも採用されて、今の日本ではちょっと別の意味もあったりして、数奇な運命にあるものなんですね。良かったら私次回セーラー服で、一緒に着てこようかと思うんですが。
中村局長:
 すごくいいですね。
パ−ソナリティ−:
 うふふ。
中村局長:
 ところでセーラー服って、すごく襟が大きいですよね。実はそういう風に襟が大きくなっているというのは、水に落ちた時に襟を持って引きずり上げやすくするためだとする説があるんですね。
パ−ソナリティ−:
 えーっ!でも水兵さんって、やっぱり泳ぎが堪能な方がなったりするんじゃないんですか?
中村局長: 
 なんですけれども。やっぱり水に落ちる事も多いんで、助けやすくしてるらしいんで、北本さん今度、最上川で試してみませんか?
 
パ−ソナリティ−:
 分かりました。船下りでご一緒したいと思います。その際に飛び込みますので、ぜひ局長セーラー服を引きずり上げてください。
中村局長:
 はい。了解しました。ぜひよろしくお願いします。


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