防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(11月放送内容)



テ−マ:オスプレイ@ どのような飛行機か

パ−ソナリティ−:

 本日は、最近話題となっているオスプレイについてお伺いしていきたいと思います。沖縄では、安全性の問題などから反対論がとても強いと思うんですが、そのような中で、オスプレイは沖縄の普天間基地に移動し、訓練が開始されている模様なんですけれども、本日はまず、オスプレイとはどんな飛行機で、何故、この時期に配備されなければならないのかなどについてお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。


中村局長:

 よろしくお願いいたします。


パ−ソナリティ−:

 ニュースなどで有名になっていおりますが、オスプレイは、プロペラ部分が動いて、ヘリコプターのようになったり、普通の飛行機になったりいたしますけれども、どうしてこのような飛行機が作られたのでしょうか。


中村局長:

 今おっしゃったとおりエンジン・ナセルといわれるプロペラ部分を上へ向けた状態ではヘリコプター、これを前へ傾けて水平にすれば普通の飛行機、堅い言葉で言うと固定翼機と言うことになります。ヘリはご存じのとおり、垂直に離陸したり着陸したりと言うことが出来ますので、狭いところでも運用が出来ます、さらに空中に留まるホバリングという機能も持っているという非常に大きな長所があります。しかしながら、固定翼機、普通の飛行機ですねこれに比べて、速度が遅いですとか、長い距離が飛べないと言ったような短所があります。これに対して、普通の飛行機、固定翼機ですけれども、ヘリと比較すると、速度が速い、航続距離が長いと言う長所がある一方で、先ほどヘリの長所として申し上げた離発着に長い滑走路が必要ですとか、ホバリングが出来ないと言ったような短所があります。オスプレイは、垂直離発着とホバリングが出来ると言った機能、さらに速い速度と長い航続距離と言う固定翼機の長所こういった両方のいいとこ取りをしたような飛行機と言うことになっています。


パ−ソナリティ−:

 それでは実際、オスプレイは普通のヘリコプターや固定翼機とどんな違いがあるのでしょうか。

中村局長:

ヘリと言っても大きいものから小さいものまで色々ありますけれども、オスプレイは今アメリカ軍が使っているCH−46と言うヘリコプターに取って代わろうとしています。このCH−46と比較しますと、最大速度は2倍、搭載量は3倍、行動半径は4倍と言うようになっています。先ほど申し上げた速度と距離に比べて、運べる量も格段に違うものになっています。固定翼機との比較では、言うまでもなく、エンジン・ナセルと言う部分を上に向けると、垂直離発着とホバリングが可能と大きな違いがあります。


パ−ソナリティ−:

分かりました。このような能力のオスプレイは、今後どんな使われ方をしていくんでしょうか。


中村局長:

まず、ユーザーであるアメリカの海兵隊について説明したいと思います。色んな緊急事態が起きた場合に、海兵隊は、司令部と陸上・航空・後方支援と言う4つの部隊を組み合わせまして、一体的に色んな事態に対応するのが特徴になっています。組み合わせられた部隊と言うものは、海兵空地任務部隊と言うように言われています。部隊の規模などは任務によって異なるんですけれど、一番小さいと1500人規模、一番大きいと9万人規模と言うように非常に柔軟性のある組織になってまして。これにより、どんな事態にも柔軟に対応しようと言うものです。具体的に申し上げますと役割としては、一番大きな武力紛争ですとか更には自然災害と言ったものまでその事態の大きさによって対応して、主に緊急事態に対する初動対応と言うことを担っています。このような役割と言うのは、他の陸軍ですとか、海軍、空軍と言ったものはなかなか出来ない、海兵隊独自のものであると考えていただきたいと思います。この非常に重要な初動対応のために、どんな事態でも緊急展開するための輸送能力と言うものが必要なんですけれども、このためのヘリ部隊というものは非常に重要なものなんです。このオスプレイと言うのは、これまで海兵隊が使っていた、さっき申し上げたCH−46中型輸送ヘリコプターの後継の機種となっています。


パ−ソナリティ−:

そこで、緊急対応という点から、能力、2倍、3倍、4倍が活きて来ると言う訳なんですね。


中村局長:

 そのとおりです。ただし、どのような緊急事態でも、初動は極めて重要ですので、単純な能力上の数値だけでは測りきれないと言う効果があると思います。武力紛争の場合ですと、初動で押さえることが出来ないと、次第にエスカレートすると言う傾向があります。これを初動で出来るだけ速く沈静ができれば、無用の犠牲を見ずにすむと言うようなことになっていきます。これは災害でも同じです。災害においては、初動72時間における人命救助の重要性というものが経験的に分かっています。この72時間について興味のある方は、前回防衛白書についてお話ししましたけどもこの195ページにコラムがありますので見ていただければと思います。この災害時の初動対応出来るだけ多くの救援部隊をより速く派遣すれば、より多くの人命を救うことが出来る可能性が高まるということです。はい。沖縄の基地問題にみられますように、自衛隊ですとか米軍の存在を防衛施設の存在する地域の方々に理解してもらうことは、防衛問題にとって非常に大きな要素になっていると思います。どんなに精強な部隊を持っていても、どんなに最先端の装備を持とうとも、地域との関係で例えば訓練が十分に出来ないですとか、いざという時の活動に支障が生じたりと言うことがあれば、十分な能力の発揮は出来ないことになってしまいます。そう言ったような意味で、防衛局の任務には重いものあると思っています。幸いにしまして、東北地方の方々の、自衛隊等に対する理解は大変深いものがあると考えています。私としてはだからといって、それに安住することなく、さらに地域の方々の理解と協力を得るべく、様々な情報発信を含めまして、地域のニーズに応えたきめ細かな対応を行っていきたいと思います。実は、私は、先ほど申し上げましたとおり1985年に当時の防衛庁に入庁して以来、基地周辺対策に関わったのは1年だけなんです。このため、私自身にはまだまだ不十分な面が多々あると思っていますけれども、幸いにして、東方防衛局には優秀なスタッフが揃っています。彼らの意見をよく聞きながら、業務を進めていきたいと言うように思っているところです。


パ−ソナリティ−:

  この画期的な飛行機であることは分かったのですけれども、安全性について反対論のあるオスプレイを、何故、この時期、配備しなければならないのでしょうか。


中村局長:

 先ほど申し上げたCH−46と言うヘリコプターなんですけれどもこれはもう配備から50年がたっています。自衛隊でもかつて使っていたんですが、3年前までには全て退役しておりまして。世界中でこのCH−46を使っているのはアメリカの海兵隊だけと言う形になっています。アメリカの海兵隊としては、出来るだけ速やかに老朽化したCH−46を更新する必要性があるものと言うことで、今回の配備をしようとしているものであると承知をしています。オスプレイについては2005年の本格的な量産以降、現在で、全部で約140機が配備されていると言うことになっております。
パ−ソナリティ−:

オスプレイについては、安全性についてもお伺いしたいんですが、さらに、安全性とも関係するが、東北地方にも飛行訓練ルートが延びてきており、心配されている方もいらっしゃいます。時間も迫っているので、これらの点については、次の機会に伺いしたいと思います。

中村局長:

はい。分かりました。最後に1点だけ申し上げておきたいと思います。オスプレイは、飛行機に関して最も先進的な技術を有するアメリカが、長い期間をかけて開発して、何か問題が生ずる度に改善を加えてきた飛行機でして、当然のことながらアメリカは、安全性に大変高い自信を持っています。そのため、イラクですとかアフガニスタンという厳しい環境での作戦でも使っていますし、ハイチでの災害救援活動、さらには大統領を含む要人の輸送にも使われた例があります。全体で飛行時間も115千時間以上と言うことになっております。言うまでもないことですけれども事故があったりすると、まっさきに自分の国のパイロットですとか搭乗員、乗ってる人が犠牲になるのであって、そもそも、アメリカは欠陥のある飛行機をこのように使うわけではないと言うことですので。こういった点を認識していただいて、くれぐれも必要以上に心配したりしないで欲しいと言うように思います。


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