自 衛 隊 百 科・自衛隊インビテーション
(11月放送内容)



テ−マ:軍隊とファッション@ 迷彩服



パ−ソナリティ−:

 早速ですが、今日はどういったお話しをいただけますでしょうか。


中村局長:

 ミリタリー・ファッションと言うものは、もうすっかり市民権を得ていると思うんですけれども、軍隊とファッションの関係について、これから何回かお話ししたいと思っています。迷彩服と言いますか迷彩柄。北本さんも何かお持ちなのではないでしょうか。


パ−ソナリティ−:

 そうですね私は、迷彩柄の小物をよく持っているんですけれども、迷彩柄の服を着て町を歩いている方ってのは、やっぱり見かけますね。迷彩柄はよく小物にも使われていますが、どれも、緑色と茶色と黒とかを組み合わせた柄ですよね。


中村局長:

 ところがそれがそう単純なものではないんですね。「迷彩柄」ですとか「迷彩服」をどう捉えるかと言うことにもよりますけれども、「迷彩」は英語で言うと「カモフラージュ」と言うことになります。「カモフラージュ」と言うことからしますと、一番最初は、カーキ色とされているんです。カーキ色って、ご存じですよね。


パ−ソナリティ−:

薄い茶色のような、黄色と茶色の中間のような…色ですね。


中村局長:

そうですね。カーキとは、実はインドですとかイランの方の言葉で、「土埃」を意味するんです。当時植民地だったインドに進駐したイギリス軍が、そこの土で服を染めたのが由来とされています。この服が、戦闘中に自分の存在を隠すのに役立つと言うことが分かって、それ以来、様々な「カモフラージュ」が行われてきました。余談になりますけど、未だにイギリス軍には、このオリジナルのカーキ色に近い制服があります。私がイギリスで勤務していた際に、この服を着ている人の近くに寄ると、それだけで埃っぽいような感じがしたものなんです。


パ−ソナリティ−:

軍隊なのに、それまでは戦闘中に存在を隠すことは考えられていなかったのですか。


中村局長:

 やっぱり戦い方が変化してきたことが大きな要因だと思います。日本ですとかヨーロッパもそうですけども時代劇を見てもらいますと、昔は、刀を持って双方入り乱れて戦っていましたよね。そのため、どうしても同士討ちを避けると言うことから敵味方を分かりやすく区別する必要があって、服も目立つもになっていました。刀に変わって鉄砲が使われ出して、刀の方が前の方にいて、鉄砲が後の方であったと言うことのために、ここでも、味方を間違って撃たないように識別しやすくすると言う必要がありました。ところがこの後に、鉄砲ですとか大砲が出てきて、射程距離の長いものが出てくる、さらには飛行機も出てくると言うことになってきますと、逆に色々な部隊は、存在を隠して目立たなくすると言う必要性が逆に大きくなってきたと言うことなんです。


パ−ソナリティ−:

 なるほど。そうすると、戦争する場所によって、迷彩柄も工夫しないといけないのではないでしょうか。ある場所ではカモフラージュになっても、他の場所では目立ってしまうこともあるのではないでしょうか。


中村局長:

 その通りです。迷彩柄は、やはり活動する地域の状況にあったものにすることが非常に重要だと思います。そのために、各国ともいろいろと工夫しています。例えば第1次大戦のフランス軍と言うのは、聞くところでは画家やデザイナーが作った迷彩柄を採用していたと聞いたことがありますけれども、これなんかは、お国柄と言う感じですよね。最近ですと、コンピューターでデジタル処理することによって柄が作られていると言うことです。


パ−ソナリティ−:

 それでは、自衛隊の迷彩服はどうなっているのですか。


中村局長:

陸上自衛隊には現在、3つの迷彩柄があります。1点目、普通のものは、緑色を主体としています。これは、やっぱり自衛隊が主な活動地域が日本国内であるため。迷彩柄の作成に当たっては、国内の何カ所かを写真に撮って、色をデジタル処理し、そこから、緑色がどれくらい、茶色がどれくらい、と比率を計算をしてデザインが決められたと言うことになっています。これとは別に、茶色の部分が多い秋冬バージョンの迷彩柄を持った防寒服と言われているものがあります。やっぱり日本ですと夏場よりも秋冬の方が緑が少なくなってきますので、そのためのカモフラージュと言うことなんですけど、これには防寒と言う機能も備わっていて一石二鳥の非常に優れものになっています。さらに、迷彩柄ではないんですが、雪山では「白色覆い」という白いコートを着ることになっているんですね。雷鳥という鳥をご存じだと思うんですけど、この鳥冬になると羽根が白くなると言うことで同じようなカモフラージュをしようと言うものです。3つめの迷彩柄が「砂漠迷彩」と言われるものがあります。これは、海賊対処のために、アフリカのジブチに派遣されている隊員が着ているものなんです。ジブチと言うのは砂地の多い状況ですので、黄土色を主体としまして、ベージュですとか茶色、この3色で構成をされています。この迷彩服の優れているところは、通常の迷彩服よりも通気性が良いですとか、生地自体が防虫加工されていると言うことで、やっぱりこれも現地の状況に合わせたものになっているんです。本当に、採用されて間もない最新型の迷彩服と言うことです。次、海上自衛隊なんですけれども、私もあまり着ているとこを見たこと無いんですけれども、一応、陸上自衛隊の通常の迷彩服と同じものを着用すると言うことになっているようです。


パ−ソナリティ−:

 なるほど。ひとくちに迷彩柄と言っても、色や柄など色々と種類はあるんですね。私も、山形の町並みに溶け込んだ、オリジナルの迷彩服などを作って歩いてみようと思うんですけども。


中村局長:

 それは、山形の街ですとかえって目立ってしまって攻撃の対象になると思いますけど。

パ−ソナリティ−:
 ふふふ…。それでは局長もぜひ作ったら一緒にきていただけますか?

中村局長:
 えっ!ペアルックですか?


 
 


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