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自衛隊インビテ−ション
(10月放送内容)



テ−マ:防衛白書の読み方



パ−ソナリティ−:

 今日はですね、東北防衛局中村局長から防衛白書についてお話をお伺いします。それでは局長よろしくお願いします。


中村局長:

 はい。よろしくお願いします。今年の防衛白書なんですけど、731日に閣議で了承されまして、88日から一般への発売が行われています。防衛白書なんですけども、昭和45年が最初でして、昭和51年以降は毎年発刊されています。したがって今年で38回目と言うことになります。昨年版につきましては、約17千部を売り上げておりまして、多くの役所から沢山の白書を作ってますけどもベストセラーと言うことになっています。


パ−ソナリティ−:

 防衛白書と言いますと、 500ページ近い本だと思いますけども、これはどう読めば良いのでしょうか。

中村局長:
 はい。オーソドックスな読み方としては、まず、構成を押さえてもらえるといいと思います。ここのところ例年3部構成で白書を作っておりまして、まず国際情勢の分析からはいりましてそれに基づいた防衛政策の基本、最後に個別の施策と言ったような大きな流れになっています。と言っても、頭からガリガリ読んでも面白くも何ともありませんので、まず興味のあるページをめくってもらうといいと思います。例えば、最近日本の周辺の安全保障環境と言うのが話題になることが多いですけれども、この点については、まず、第1部で個別の国の状況ですとか、全般の状況について確認出来ます。その上で、こうした状況に対して自衛隊の態勢はきちんとできているのか、ですとか、これらの国との関係はどうなっているかなど、これについては第3部を見てもらうといいと思います。別の読み方としましては、巻頭に「ダイジェスト」というページがあります。ここには特に重要な項目ですとか今年特徴的な事項が示されておりまして、これに対応する本文のページも書かれております。ここから本文を読んでみるというのも、一つの手だと思います。さらに、文章を読むのはどうしても億劫だというものぐさな人は、図表ですとか写真をパラパラ眺めると言うのもありじゃないかと思います。防衛白書はかなり工夫しているんですけども、やはりお役所の文書の域を出ないところもあります。実は、防衛白書と言うのは毎年プロジェクト・チームを組んで作っておりまして、プロジェクト・チームですので彼らは、出来るだけ国民に分かり易いものを作ろうと言うことで、かみ砕いた文章を作っているんです。でもやっぱり役所の文書ですから色々なところと協議をします。その過程で、例えば「法律にはこう書いてある」ですとか「国会では別の言葉で答弁している」とかいったようなことを言われて、結局堅苦しい文章になっている部分もかなりあります。そう言った点で、図表と言うのは、新しく入れたものはもとより、ずっと使っているものでも毎年見やすくするように工夫を加えてますので、理解しやすいんじゃないかなと思ます。一方、内容が固くてどうしても取っつきにくいように感じている人は、中に36個のコラムがあります。この中から気になる記事を読んでみると言うことも面白いんじゃないかなと思います。東北地方との関連では、例えば被災地と部隊の交流が続いているですとか、部隊に対して長渕剛さんがメッセージを書いたと言ったようなことが紹介をされていす。また、巻末には100ページ近い資料編も付けられていますので、これも活用出来るんじゃないかなと思います。さらに、その一番後になりますけれども、重要なものですとかトピック的な用語を中心にした索引も付けていますので、ニュースなどで出てきた単語を探してみるのも一つのアイディアだと思います。

パ−ソナリティ−:
 はい。ではですね、紙媒体では使い勝手が悪い面もあるのではないでしょうか。

中村局長:
 そうですね。やっぱり単語など検索すると言ったときなどには電子情報の方がやりやすいと言うのは、その通りだと思います。でもご心配なく、防衛省のホームページをご覧いただきますと電子書籍版が用意をされています。今年につきましては、しおりですとか付箋を付けたり、更には自分で書き込みも出来るようになっています。また、先ほど申し上げましたとおり昭和45年に最初のが出ていますけれども、その第1回目も含めまして、過去の防衛白書37冊も全部電子情報で見ることが出来るようになっております。

パ−ソナリティ−:
 今年の白書の中で、ここは読んで欲しいと思うところはどこでしょうか?


中村局長:

 はい。これは人によって違うかもしれませんが、私としては、以下の4点を挙げたいと思います。まず、1点目は、やはり我が国周辺の国際情勢と言うことです。特に、話題になっていますけれども、中国の海洋における活動、さらには北朝鮮の核ミサイルの開発、さらにはキムジョンウン新体制の動向、こう言ったことを踏まえた上で、米国の新しい国防政策、特にアジア太平洋地域を重視をすると言ったような動きを見て欲しいと思っています。と言いましても白書の記述は今年6月までのものですので、その後の状況の変化について、若干物足りなさを感じる部分もありますけれども、基本的な安全保障環境は理解出来るんじゃないかと思います。2点目は、次期戦闘機に選定されたましたF−35Aに関する記事です。ここでは、新たな戦闘機を導入する必要性ですとか選定手続、評価方法、評価の結果などについて、かなり詳細に記述しています。F−35Aの必要性ですとか選定理由はもとより、この飛行機はどんな能力があって、どんな風に使われるのかと言ったことについても、理解が深まると思います。3点目は、東日本大震災における教訓事項と、それに対する改善の状況です。教訓事項は、意思決定ですとか運用、各国との協力、通信と言ったような10個の大きな項目を示しまして、それをさらに27の項目に分類しています、それぞれの項目について「だいたいうまくいった点」と「今後検討ですとか改善を要する点」を抽出をしています。「今後検討や改善を要する点」について今の検討状況を紹介しています。この中では、例えば、「運用」と言う項目の中に「人命救助・行方不明者等捜索」という項目があるんですけども「第一線部隊の充足率向上等を通じたマンパワーの確保」、要するにこれは第一線に人が足りない、と言う教訓があるんですけれども、これについては24年度の予算で非常勤職員を活用すると言ったことによって、第一線部隊を増やした例を示しています。また、自治体との連携要領ですとか、生活支援や物資の輸送、情報共有で教訓事項として挙げられています、こうした点については今後中央防災会議で議論したり、部内の体制を強化すると言ったような予定があります。最後は、日米の安保体制についてです。最近はどうしても個別の問題にスポットが当てられがちなんですけども、やはり同盟関係の全体的な強化ですとか、沖縄の負担軽減のため、様々な施策が行われていると言うことを理解して欲しいと思います。特に、今年の場合、4月に2+2、これは日米の外務・防衛大臣クラスの会合なんですけれども、そこの合意で、従来はパッケージとされてきました沖縄の海兵隊のグアムへの移転と土地の返還、これと普天間飛行場の移設と言うものが切り離されまして、沖縄の負担軽減が進むと言うような形になってきているところであります。とにかく、一度手に取るか、防衛省のホームページにアクセスして、関心のあるところだけでも目を通して欲しいと言うように思っています。


パ−ソナリティ−:

 はい。今日は東北防衛局中村局長に防衛白書についてお伺いいたしました。本日はどうも有り難うございました。

中村局長:
 はい。こちらこそ有り難うございました。


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