防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(4月放送内容)



テ−マ:防衛研究所

パ−ソナリティ−:

 防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A、このコーナーでは防衛省・自衛隊や日本の防衛について、詳しく分かりやすくお話をいただいております。本日も東北防衛局の増田義一局長にお話をいただきます。局長、今日もよろしくお願いいたします。


増田局長:

 よろしくお願いいたします。


パ−ソナリティ−:

 では早速ですが、今日はどういったお話をいただけますでしょうか。


増田局長:

 はい、最近、防衛研究所が「中国安全保障レポート2011」というものを出したんですが、この話をしてましたらですね、防衛省の組織の中にある、防衛研究所というものの実態をですね、意外とご存じない方が多いという印象を受けましたので、今日はその防衛研究所について、説明したいと思います。


パ−ソナリティ−:

 恥ずかしながら私も知らなかったんですけれども、どういった機関なんでしょうか。

増田局長:
  はい、「防衛研究所では、兵器の研究開発をしてるんですか?」などと聞かれることがあるんですが、そうではないんですね。防衛省で防衛装備品の研究開発を行っているのは、技術研究本部という組織です。技術研究本部の中に、陸上装備研究所とかですね、艦艇装備研究所、航空装備研究所など、幾つかの研究所がありまして、そこで防衛装備品の研究が行われているんですが、一方、防衛研究所というところは、こういった技術系の研究ではなくてですね、社会科学系の研究をしているところであります。防衛省が世界に誇るシンクタンクと言っていいんじゃないかなと思っております。防衛研究所には、政策研究部、理論研究部、地域研究部というものがありましてですね、その名前のとおり、安全保障に関する政策、理論、地域の研究等が行われています。それとあと、戦史研究センターという組織も防衛研究所の中にありましてですね、そこでは軍事史という観点からの研究を行っています。それとこの戦史研究センターにはですね、明治維新以降の軍事に関する貴重な資料が多数保存されていまして、一般の研究者などにも公開されているんですけれども、テレビのですね、軍事関係のドキュメンタリー番組なんかで、よく「協力 防衛研究所」と字幕で出ていたりすることがありますので、お気づきの方もいらっしゃるんじゃないかなあと思います。私は、かつて防衛研究所の企画官というポストでですね、仕事をしていたことがありますので、個々の研究者のことも良く知っているんですけれども、欧米の有名な大学・研究機関でですね、博士号を取得した研究者をはじめとして、優秀な研究者が多数いるんですね。具体的には80人ぐらいいるんですが、日本におけるこの分野のシンクタンクとしてはですね、研究者の数や質、それから予算規模などを総合的に判断して、日本のトップクラスにあるのは間違いないと思います。


パ−ソナリティ−:

 重要な頭脳的な部分といった印象を受けたんですが、その他には防衛研究所で行っていることなんかはあるんですか。


増田局長:

 はい、防衛研究所はですね、教育機関でもあるんですね。そういうことはあまりご存じの方は少ないと思うんですけれども、そこで行われている教育の中でですね、「一般課程」というのがありまして、私もその卒業生なんですね実はですね、その話をちょっとしたいと思いますけれども。


パ−ソナリティ−:

 はい、どういう授業があるんでしょうか。


増田局長:

 はい、「一般課程」というのはですね、1佐クラスの幹部自衛官とかですね、これに相当する防衛省の文官を対象に教育を行っていますけれども、他省庁の職員とか、外国軍の大佐・中佐クラスの軍人なんかも入っているんですね。あと民間企業の職員も入っているんですが、合計約50名のクラスでですね、受講しています。受講生の年齢は、40代前半が中心になっております。
10ヶ月にわたってですね、いろんなことを学ぶんですが、例えば安全保障とかですね、軍事・科学技術とか、あと経済、国際関係、国内問題等々色々学びます。授業では、防衛研究所の研究者の人たちがですね、講師になっているほかですね、各界の著名人も講師として招聘してですね、とてもエキサイティングな授業が行われています。このコースの目的は、日本の安全保障分野を担う将来のリーダーたちを育てることだというふうに私は思っていますけどもね。


パ−ソナリティ−:

 なるほど、それでは増田局長の体験、当時のことなんかもお聞かせいただけますか。


増田局長:

 はい、私も本省の課長補佐時代にですね、10ヶ月間実務から離れて、一般課程で学ぶ機会が与えられたわけなんですけれどもね、第47期というクラスなんですが、クラスメートもちょうど47名でしたので、卒業後は、忠臣蔵の四十七士にちなんでですね、同窓会を「四十七士の会」と命名してですね、今では年1回集まって酒を酌み交わしたりしています。当時は、中国などの共産圏から来ている軍人というのは同級生にはいませんでしたけれども、その後時代も変わりましてですね、今はそういう人達も入っているんですね。


パ−ソナリティ−:

 結構長い歴史があるんですね。


増田局長:

 そうですね。 この「一般課程」の教育はもう60年も続いておりまして、各期のですね、卒業生の銘を刻んだプレートが防衛研究所の中に約60枚掲げられているわけですが、それをじっくり見ていくとですね、その後陸海空幕僚長というトップまで上り詰めた人の名前もですね、随所に見られますですね。今後、第100期まで存続できるかどうかわかりませんけれども、いずれにせよ、現在は「一般課程」について知る人というのはほとんどいないと思いますけれども、将来の歴史家か誰かがですね、日本にはこういった教育課程があって、安全保障を担う人材を育てたんだということをですね、一つの歴史として取り上げてくれるんじゃないかなあなんて期待しております。

パ−ソナリティ−:
 はい、分かりました。本日は東北防衛局の増田義一局長に「防衛研究所」についてお話をお伺いいたしました。本日は有難うございました。

増田局長:
 どうも有難うございました。
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