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自衛隊インビテ−ション
(3月放送内容)



テ−マ:中国安全保障レポート2011



パ−ソナリティ−:

 皆さんこんにちは、今日は東北防衛局の増田局長にお話を伺います。局長、今日は何についてのお話でしょうか。


増田局長:

 はい、「中国安全保障レポート2011」というものが防衛研究所から出ましたので、今日はその紹介をしたいと思います。


パ−ソナリティ−:

 これは防衛省が出したものなんですか。

増田局長:
 そうですね、アメリカ国防省もですね、前から毎年、中国の軍事に関する年次報告書というのを出していますけれども、原題は、Annual Report to Congress, military and Security Developments Involving the People’s Republic of Chinaというんですが、日本の防衛省のシンクタンクである防衛研究所もですね、出そうじゃないかということで、昨年から、「中国安全保障レポート」というものを出し始めました。A4版で50ページ弱のボリュームですけれども、英語版と中国版も出しましてですね、中国の方にも読んでもらって、日本側がどういう分析をしているか分かるようにということでそういうふうになっているわけですね。ということで今日は簡単に、「中国安全保障レポート2011」の内容を説明したいと思います。

パ−ソナリティ−:
 はい、お願いします。

増田局長:
 いくつかの章だてになっておりますけれども、各章の表題というのは、例えば「海洋に向かう中国」、「南シナ海で摩擦を起こす中国」、「海洋に進出する中国海軍」といった具合にですね、やはり中国の海洋進出に焦点が当たっています。
中国にとっての海洋問題というのは、南シナ海や日本の領土である尖閣諸島における対応を見てわかりますとおり、第一に領土問題ですね、それから第二には、経済発展にかかわるもので、海上交通の安全確保や資源の確保ということになります。中国の海洋権益が拡大している中で、中国の対外行動が注目されるわけですけれども、中国は海洋における主権や権益をですね、非妥協的な論理と手段によって確保しようとしているわけですね。

パ−ソナリティ−:
 はい、それはよく耳にするようなことでもありますけれど。


増田局長:

 はい、例えば、東南アジアとの関係においてはですね、海監総隊などの艦艇が威嚇的な行動をとる事例が頻発してますですね。あと、海軍が南シナ海におけるプレゼンスの拡大を図ってですね、実戦的な訓練や演習が常態化しています。また、排他的な経済水域における外国軍の行動をですね、制限する動きに出てまして、米国との間で摩擦が生じていますですね。こういった中で、ベトナムでは大規模な反中デモが起きたりとかですね、フィリピンでは南シナ海を西フィリピン海と名称変更するというような動きも出てますね。東アジアにおきましては、我が国周辺で起きていることは、皆さん御存知のとおりだと思います。


パ−ソナリティ−:

 日本に関することについてはどのような動きがあるんでしょうか。

増田局長:
 そうですね、日本の領土である尖閣諸島周辺海域におけるですね、中国の活動が強化されているわけですね、海監の監視船がしばしば尖閣諸島周辺に出没してまして、2008年12月にはですね、我が国領海に侵入する事件が起きました。あと皆さん記憶に新しい2010年9月の中国漁船衝突事件以降はですね、漁業局の監視船も尖閣諸島付近に定期的に出没するようになりまして、こちらは2011年8月にですね、日本の領海に侵入する事件を起こしています。また、同じく2011年ですけれども、中国の哨戒機と情報収集機が尖閣諸島の日本領空まで50qに接近する飛行を行いましたですね。
いずれにしましても、「海洋に向かう中国」という章で書かれていますけれども、「中国は海洋権益の積極的な確保」を図っていまして、海洋は「軍事的重要性を増している」ということで「海洋戦略を模索」しているわけですね。


パ−ソナリティ−:
 はい、その他にはありますか。

増田局長:
 あと「外洋に進出する中国海軍」という章ではですね、まず中国がソマリア沖・アデン湾における海賊対処活動を行っているということを紹介しています。ご承知のとおり、日本の海上自衛隊もこの海域において海賊対処を行っておりますけれども、中国海軍は海賊対処という実戦経験でですね、遠海における運用能力を向上させています。
加えて、中国軍は、ソマリア沖・アデン湾やインド洋において外国との共同演習を実施してですね、能力向上に努めていますですね。

パ−ソナリティ−:
 はい。

増田局長:
 レポートの「おわり」のところで、締めくくりでですね、こう言っています、「中国の台頭は国際秩序の将来を左右するもので、中国のパワーが増大する中で、国際社会は中国によるパワーの行使のあり方に注目している。」と、そのとおりだと思います。
今日紹介しました「中国安全保障レポート2011」はですね、防衛研究所のホームページからダウンロードして読めますので、ぜひ読んでみていただきたいと思います。

パ−ソナリティ−:
 はい、局長、今日はどうも有難うございました。

増田局長:
 どうも有難うございました。




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