防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(9月放送内容)



テ−マ:平成23年版防衛白書のポイント

パ−ソナリティ−:

 防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A、このコーナーでは防衛省・自衛隊や日本の防衛について、詳しく分かりやすくお話いただいております。本日も東北防衛局の増田義一局長にお話をいただきます。本日もよろしくお願いいたします。


増田局長:

 よろしくお願いします。


パ−ソナリティ−:

 それでは早速ですけれども、今日はどういったお話をいただけますでしょうか。


増田局長:

 はい、先般、平成23年版の防衛白書が出ましたので、この防衛白書のポイントについてお話したいと思います。


パ−ソナリティ−:

 はい、お願いします。それでは早速ですが、何がポイントなんでしょうか。

増田局長:
 そうですね、防衛白書は、防衛問題について網羅的に記述しているんですけれども、今日は特に国際情勢に絞ってお話をしたいと思います。防衛白書では、国際情勢とは言わずに、安全保障環境という言葉を使っているんですけれども。


パ−ソナリティ−:

 はい、それでは、国際情勢・安全保障環境のポイントというのはなんでしょうか。


増田局長:

 やはり注目されますのは、周辺諸国であります中国、ロシア、北朝鮮の部分だと思います。


パ−ソナリティ−:

 はい、それでは国ごとに伺っていきたいと思うんですが、まず中国についてお願いします。


増田局長:

 そうですね、中国については、国防費の高い伸びですね。毎年10パーセント以上という速いペースで増加しています。その結果、過去20年間で国防費が18倍になっておりますけれども、それに伴いまして、軍事力の広範かつ急速な近代化が進んでいます。それで更に戦力を遠方に投射する能力が強化されているところであります。例えばウクライナから購入した空母ワリヤーグを改修してですね、空母を保有するということや、あるいは国産空母の保有のための研究開発も進んでいます。あとは戦闘機についても、次世代戦闘機の開発が進んでおりまして、今年の1月にはステルス戦闘機J-20の試作機が飛行試験に成功しています。


パ−ソナリティ−:

 中国といいますと、海洋への進出も目立つようなイメージがあるんですけれども。


増田局長:

 そうですね、おっしゃるとおりでありまして、海洋における活動を拡大・活発化しておりましてですね、我が国近海で監視活動を強化しているわけであります。今年3月から4月にかけて、東シナ海で海上自衛隊の護衛艦が警戒監視をしていたわけですが、そこに中国のヘリコプターが異常接近するという事案が複数回発生しています。あとは6月には11隻の中国の艦隊が沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋に進出したりというようなことがありました。あと南シナ海でも活動を活発化しておりまして、その周辺諸国との摩擦が表面化したりしていますね。今後、活動領域の拡大と活動の常態化を図っていくものと考えられるところであります。


パ−ソナリティ−:

 分かりました。それでは続いてロシアは。


増田局長:

 そうですね、ロシアも軍の近代化を推進していまして、例えば第5世代戦闘機とかですね、あるいはミストラル級強襲揚陸艦といった新型装備の開発や配備、これに注目していく必要があるかと思います。


パ−ソナリティ−:

 北方領土を大統領が視察したりということもありましたけれども。


増田局長:

 そうですね、昨年11月にメドベージェフ大統領が元首として初めて国後島を訪問したことがありましたけれども、それに続きまして、セルジュコフ国防大臣をはじめとした閣僚が相次いで北方領土を訪問したりしています。これに加えまして我が国周辺での艦艇や航空機の活動の活発化といった傾向が見られまして、ロシア機に対する自衛隊の緊急発進回数も増えているところです。

パ−ソナリティ−:
 それでは北朝鮮に対するポイントは。

増田局長:
 北朝鮮は、昨年11月に延坪島に向けて砲撃が行われましたですね。それで韓国側に民間人を含めて死傷者が出たわけであります。これを受けて、米韓が黄海において合同軍事演習が実施されたりしたんですけれども、こういう事案の他に昨年3月には、韓国の哨戒艦チョナンが、突然、何の警告もなく撃沈されたという事案がありました。その後の調査から、沈没の原因は、北朝鮮の小型潜水艇から発射された魚雷によるものだということが判明した事件等がありましたですね。

パ−ソナリティ−:
 記憶にもまだ新しいんですけれども、一昨年の4月だったでしょうか、我が東北の上空を北朝鮮からの発射物が飛んでいったということもありましたけれども。北朝鮮のこの核開発、ミサイル開発といったものの動向についてはどうなっているのでしょうか。

増田局長:
 そうですね、北朝鮮の大量破壊兵器あるいは弾道ミサイルの動向が強く懸念されるところであります。北朝鮮は、昨年11月に訪朝したアメリカ人専門家に対してウラン濃縮施設を公開して、数千基の規模の遠心分離機を備えたウラン濃縮工場が稼働しているということを発表したんですね。
 それから、運搬手段であるミサイルについても、新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」の開発を行っているというふうに考えられます。

パ−ソナリティ−:
 周辺の近い諸国ですから、われわれ国民もちょっと多少なり不安に思う部分もやっぱりありますね。それではその他防衛白書のポイントなどはありますでしょうか。

増田局長:
 はい、その他ですね、サイバー空間・サイバー攻撃について、第1章の第1節、すなわち一番の頭のところで記述しているところでしょうかね。

パ−ソナリティ−:
 現代ならではのことですね。

増田局長:
そうですね、防衛省・自衛隊もこういった分野に非常に重視をしているということの表れだと思います。

パ−ソナリティ−:
なるほど、そういえば、竹島に関する記述について、抗議しているという報道がありましたけれども。

増田局長:
そうですね、ある国が抗議しているという報道があったことは私も承知しています。防衛白書では、平成17年の白書から一貫して同じ記述をしておりますけれども、それは「わが国固有の領土である北方領土や竹島の領土問題が依然として未解決のまま存在している。」と、平成23年度白書も踏襲して記述しているわけでありまして、これに対する抗議というようなことがあったというふうな報道を聞いています。

パ−ソナリティ−:
はい、どうもありがとうございました。

増田局長:
防衛白書は、防衛問題全般について網羅的に記述しておりますので、理解を深めるのに非常に役に立つと思います。ぜひ多くの方に利用していただければなあと思います。

パ−ソナリティ−:
はい、今年の防衛白書は印刷の白書だけでなく電子書籍版が出ているということですので、お気軽に手にとっていただけるようにもなっておりますので、一人でも多くの方に見ていただきたいと思います。今日は、東北防衛局の増田義一局長にお話をいただきました。局長、本日もありがとうございました。

増田局長:
どうもありがとうございました。
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