防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(6月放送内容)



テ−マ:自衛隊の災害対処における幾つもの「初めて」

パ−ソナリティ−:

 防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A、このコーナーでは防衛省・自衛隊や日本の防衛について詳しく分かり易くお話いただきます。本日も東北防衛局の増田義一局長にお話をいただきます。よろしくお願いいたします。


増田局長:

 よろしくお願いいたします。


パ−ソナリティ−:

 では早速ですが、今日はどういったお話しをいただけますでしょうか。


増田局長:

 はい、その前にこの度の大震災で亡くなられた多くの方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害を受けられた方々の一日も早い復興をお祈り申し上げたいと思います。それで今日はですね、地震、津波、原子力災害と「未曾有」の大災害がありました。それに対しまして、菅総理が10万人態勢ということで、自衛隊は10万人以上の態勢で対応してきたところであります。私自身もですね、東北防衛局という自衛官ではなくてシビリアンのですね、組織の長として、この地震発生の後、直ちに局内に対策本部を立ち上げて、職員とともに頑張ってきました。この大災害に対する災害対処に関してですね、防衛政策という観点から、注目すべき点がありましたので、今日はそれについて話をしたいと思います。


パ−ソナリティ−:

 はい、よろしくお願いいたします。では注目すべき点とは詳しく教えていただけますでしょうか。

増田局長:
 防衛政策という観点から注目すべき点として、今回幾つもの「初めて」ということがありました。まず最初にですね、予備自衛官と即応予備自衛官の召集というのが行われたんですが、これが「初めて」でありました。それから2番目に、福島の原子力発電所にかかる対処については、「原子力災害派遣」というものが、これも「初めて」実施されました。それと今回、東北方面総監の指揮の下で統合任務部隊というものが編成されて、「統合運用」が実施されましたけれども、ピーク時には、人員10万人以上、航空機500機以上、艦艇50隻以上といった空前の規模での派遣でありましたけれども、このような大規模な統合運用という点では「初めて」というふうに言えると思います。それから更にはですね、米軍が災害救援活動としてトモダチ作戦というものを実施してくれましたが、これもこれまでにない大規模なものはそういう意味で「初めて」といえるかと思います。それと最後にアクサいわゆる日米物品役務相互提供協定というのがあるんですが、これは大規模災害で適用されるのは今回が初めてということで、「初めて」「初めて」「初めて」と「初めて」がいくつも出てきたということが注目すべき点かなあというように思います。


パ−ソナリティ−:

 はい、ではあと詳しくまた更にお伺いしたいんですけれども、まず予備自衛官と即応予備自衛官というのはどういったものなんでしょうか。


増田局長:

 多くの国の軍隊では、現役と予備役というのがあります。予備役というのは、普段は一般市民と同じようにそれぞれの職業に携わって普通の生活をしておりますけれども、いざ有事となりますと、「いざ鎌倉」と、急遽軍務に就く人たちであるわけですけれども、有事には大きな兵力必要ですけれども、日頃から大きな常備兵力を保持することは効率的でないということで、普段は必要最小限の兵力で対応するということで、この予備兵力が必要になるわけですね。多くの国でこういう制度を取り入れておりますけれども、この予備役に相当するものが、我が国では予備自衛官と即応予備自衛官。


パ−ソナリティ−:

 はい、そして今回その予備自衛官、即応予備自衛官が初めて召集されたということですが。


増田局長:

 そうですね、特にですね予備自衛官制度というのは、昭和29年に発足して以来50年以上経っていますけれども、これまで一度も召集されたことがなかったわけです。それが今回の震災で、10万人以上の態勢を組むという中で、初めて召集されたことは非常に注目に値するかなと思っております。


パ−ソナリティ−:

 それでは今度2番目の原子力災害派遣について、詳しくお話をいただきたいのですが。


増田局長:

 原子力災害派遣というのは、1999年に東海村の臨界事故というのがありましたが、これを受けて制定された制度でありまして、自衛隊法では第83条の3として追加をされました。原子力緊急事態宣言というのが出された際に、原子力災害対策本部長の要請により部隊等が派遣されるというそういう制度でありまして、今回これが初めて発動されたわけです。


パ−ソナリティ−:

 それでは次に3番目の統合運用に関してなんですけれども。


増田局長:

 統合部隊が運用されるのはですね、これが初めてというわけではなくて、3度目なんですけれども、過去には、平成21年4月の北朝鮮ミサイル事案において、航空自衛隊の航空総隊司令官が各自衛隊を一元的に指揮したことがありました。あとはソマリア・アデン湾での海賊対処において、自衛艦隊司令官の隷下に派遣海賊対処行動航空隊という統合部隊を編成したことがあります。ただ今回のように10万人を超す大規模での統合任務部隊というのは初めてでありまして、さすがに「未曾有」の大震災であったので、まあこういうことになったのかなあと思います。


パ−ソナリティ−:

 はい、ありがとうございました。本日は東北防衛局の増田義一局長にお話をいただきました。


増田局長:

 どうもありがとうございました。
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