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自 衛 隊 百 科
(1月放送内容)



テ−マ:弾道ミサイルの脅威

パ−ソナリティ−:

 自衛隊百科のコ−ナ−です。さて、このコ−ナ−では、毎月1回、東北防衛局の増田義一局長をお迎えして、お話しをいただいています。今月もどうぞよろしくお願い致します。


増田局長:

 よろしくお願い致します。


パ−ソナリティ−:

 では、早速ですが、今日はどのようなお話しをいただけますでしょうか。


増田局長:

 はい。今日はですね、弾道ミサイルによる脅威について話をしたいと思います。大量破壊兵器の不拡散のためにですね、国際社会では様々な努力が行われているところなんですが、北朝鮮のミサイル発射実験などによって、弾道ミサイルによる脅威というものが改めて認識されたと思いますので、弾道ミサイルの脅威についてお話ししたいと思います


パ−ソナリティ−:

 はい。昨年、東北地方の上空を北朝鮮のミサイルが飛び越えたということは、記憶に新しいですよね。

増田局長:
 昨年の4月にですね、テポドン2又はその派生型が発射されたという風に見ております。わが国の上空を飛び越えて、3000キロ以上飛翔して、太平洋に落下したと推測されるのですが、この発射によって、推進部の大型化とか、あるいは多段階推進装置の分離とか、姿勢制御といった技術をですね、北朝鮮としては検証することができたのかなと、将来的には更なる長射程化を進めるのではないのかという風に見られております。


パ−ソナリティ−:

 なるほど。昨年の4月に発射されましたのが、テポドン2又はその派生ということで、今、お話しがありましたが、そのテポドン2とはいったいどういったものなのでしょうか。


増田局長:

 北朝鮮は、このテポドン2の前に射程約1500キロのテポドン1というものを開発してきたのですが、さらにこのテポドン2というのは、射程が約6000キロ、こういったものであります。射程1500キロのテポドン1の方はですね、沖縄を含めてわが国全体がスッポリ射程内に入るわけですけれども、この射程6000キロのテポドン2になるとですね、アメリカのアラスカまでが射程内に入ってくるわけです。


パ−ソナリティ−:

 そうなんですか。それは北朝鮮の技術力が向上しているということですか。


増田局長:

 はい。開発が急速に進んでいる背景には、外部からの技術や資材の流入が考えられます。また、北朝鮮は、イランやパキスタンに弾道ミサイルやその技術を移転してですね、その利益によって更なるミサイル開発を行っているという風に指摘されています。こういったものの拡散阻止のために国際社会では、MTCRやPSI、MTCRはですね、ミサイル技術管理レジ−ムの略なんですが、PSIというのは、拡散に対する安全保障構想の略ですけれども、こういったMTCRやPSIなどの様々な努力が行われていますし、わが国もこれに参加しております。あと北朝鮮の核開発を受けて、国連決議に基づいて、経済制裁なども行われているわけであります。


パ−ソナリティ−:

 なるほど。よくニュ−スでも経済制裁など耳にしますが、この経済制裁にはわが国も参加しているんですよね。


増田局長:

 はい。人道目的を除いて北朝鮮との間の全ての輸出と輸入が禁止されています。あと資本の移転についてもですね、制限が加えられてます。


パ−ソナリティ−:

 では、ミサイルに搭載する兵器については如何ですか。


増田局長:

 そうですね、弾道ミサイルに搭載される兵器といえば、大量破壊兵器ということになるわけなんですが、北朝鮮の核開発疑惑は解明されていない、それに加えて、一連の北朝鮮の言動を考えればですね、核兵器計画が相当に進んでいる可能性も排除できないのではないのかなと思います。先程の経済制裁についても、2006年に北朝鮮が核実験を行った蓋然性が高いと判断されたので、経済制裁の直接の引き金になったものであります。


パ−ソナリティ−:

 なるほど。では、北朝鮮以外の国々ではどうなのでしょうか。


増田局長:

 そうですね、それ以外の周辺国では、ご承知かも知れませんけれども、中国とロシアが核保有国であります。ちなみに中国の方はですね、大陸弾道ミサイルから中距離や短距離のミサイルまで、各種の弾道ミサイルを装備しています。中距離・短距離弾道ミサイルというのは、わが国をアジア太平洋地域をですね、射程に収めております。そして、核兵器の搭載も可能となっております。


パ−ソナリティ−:

 なるほど。そういったことを考えると恐ろしいなと思いますが、そういった弾道ミサイルへの対応といいますとどういったことになるのでしょうか。


増田局長:

 音速の10倍とか20倍のスピ−ドで、このミサイルは飛翔するわけですが、これを撃ち落とすことはですね、以前はピストルの弾を撃ち落とすようなものだということで、技術的には非常に難しいと言われておりまして、したがって、その報復措置として、抑止するという戦略が一般的であったわけです。しかし、現在ではこれが技術的に可能となったわけであります。


パ−ソナリティ−:

 なるほど。技術的に可能となったということで、では、今、どういった対応になっているのでしょうか。


増田局長:

 はい。防衛省ではですね、弾道ミサイル防衛、BMDということで、平成16年からこのシステムの配備が行われております。海上のイ−ジス艦から発射されるSM−3とか、地上に配備されるペトリオットPAC−3、これが装備されているのですが、更に迎撃ミサイルの能力向上を目的に日米共同開発が行われているところであります。


パ−ソナリティ−:

 なるほど。今日は、なかなか聞くことのできない弾道ミサイルによる脅威というテ−マでお話しをいただきました。はい、また次回ですね、このコ−ナ−でお話しをいただきたいと思います。東北防衛局の増田義一局長にお話しをいただきました。ありがとうございました。

増田局長:
 どうもありがとうございました。


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