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防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(12月放送内容)



テ−マ:防衛産業の現状

パ−ソナリティ−:

 防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A、このコ−ナ−では防衛省・自衛隊や日本の防衛について詳しく、そして分かりやすくお話しをいただいています。本日も東北防衛局の増田義一局長にお話しをいただきます。局長どうぞよろしくお願い致します。


増田局長:

 はい、よろしくお願い致します。


パ−ソナリティ−:

 早速ですが今日はどういったお話しをいただけますか。


増田局長:

 はい、今日はですね、防衛産業の現状についてお話ししたいと思います。


パ−ソナリティ−:

 防衛産業の現状ということですが、まず、防衛産業とはどういったものでしょうか。

増田局長:
 はい、防衛用の航空機とか、艦船、車両、武器弾薬等々を生産する産業であります。日本の場合は武器輸出三原則というのがありますので、実質的には武器の輸出は禁止されているわけですね、従って、唯一のカスタマ−は防衛省だけになります。従って、防衛省向けの生産等を行っている産業、イコ−ル、防衛産業と言って良いのかなという風に思います。


パ−ソナリティ−:

 なるほど、防衛省向けの生産等を行っている産業が防衛産業と。


増田局長:

 はい。


パ−ソナリティ−:

 はい、では、その防衛産業の規模はどの程度なのでしょうか。


増田局長:

 はい、マ−ケットが国内に限定されておりますので、規模はさほど大きくはないのですね、わが国工業生産額全体に占める割合で言えば、0.6%程度であります。しかし、関連企業の数は結構多くて、例えば護衛艦の生産に関わる企業というのは2500社もあります。戦車で言えば1300社、戦闘機では1200社といった具合で工業生産額全体に占める割合は小さいですけれども、防衛産業を国内に維持していくということは、非常に重要な事で各国共、それについて努力している訳であります。


パ−ソナリティ−:

 なるほど、生産額全体に占める割合は低いですけれども、関連している企業がすごく多いということにまずはびっくりしました。そして、この防衛産業を国内に維持するのが重要だという事ですが、それはどういった理由からなのでしょうか。


増田局長:

 はい、私は5つほど理由を考えてますけれども、1つは防衛装備品の供給、運用支援基盤というものを維持していく必要があるということです。そうすることによって、わが国の国土の特性、政策等に適合した運用構想、要求性の満たすものが調達できるとか、或いは機密保持ができるとか、或いは防衛能力を最大限に発揮するために必要な維持・補給能力を確保できるとか、或いは緊急に必要な時にそれを緊急に調達できるとか、或いは国外からの入手が困難な技術を入手できるとかといったメリットがあります、これが1つ目です。2つ目はバ−ゲニングパワ−の源泉となると、どういうことかというと、装備品を外国から購入する場合には、やはり価格の交渉をする訳ですが、これは国内で造れるかどうかということが価格の交渉に大きく影響してくる訳であります。3つ目は潜在的な防衛力としての抑止効果ということを挙げたいと思います。これは、防衛力を自らの意志で強化できるという潜在的な防衛力としての抑止力になり得るということですね。4つ目は、日本の国力の一部ということで、経済力、技術力というものは国力として非常に重要な訳ですから、そういうものを構成していると。5つ目には、国内産業、経済への波及効果ということで、防衛装備品から技術がスピンオフをして産業全般への波及や国内雇用創出による経済波及効果というのもが期待できるということで、5つの点で非常に重要だという風に考えています。


パ−ソナリティ−:

 なるほど、今お話しをお聞きして、防衛産業を国内に維持することが重要だなということが私も分かりました。では、その防衛産業の現状はどういった具合になっているのでしょうか。


増田局長:

 はい、それが今、大変厳しい状況なんですね、先程多数の企業が防衛生産に関わっているという風に申しましたけれども、特に下請け企業、こういったものの中にはですね、遂に防衛生産から撤退をしなければならないというような企業もありますし、或いは撤退を今、検討中というような企業もボロボロと出始めているのが現状であります。今後こうした状況が続けば、深刻な影響を及ぼす恐れがあるかなという風に心配しているところであります。


パ−ソナリティ−:

 はい、とても重要な防衛産業ですが、どうしてそんなに厳しい状況にあるのでしょうか。


増田局長:

 はい、財政事情が非常に厳しいですので、防衛関係費が抑制されています。特に主要装備品の契約額で見ますと、この20年間で7割位まで落ち込んでいると。それから、武器の性能が高度化しているものですから、世界的な傾向なのですが、価格が非常に上昇しているのですね。従って、限られた予算の中で調達できる防衛装備品の数というのは減少しています。例えば、戦闘機について見れば、昭和の50年代から60年代の時代は年間20機位調達していましたけれども、平成に入ってからは年間8機程度まで落ち込んでいまして、その後、平成20年以降はもう遂にゼロ機、今、ゼロになっております。


パ−ソナリティ−:

 ゼロですか。


増田局長:

 あと、戦車で見ますと同じように昭和の時代は年間60両位調達してましたけれども、それが平成になると8両位に減ってますし、護衛艦についても、昭和には年間3隻程度調達していたものを今は1隻といった具合にですね、防衛産業では生産ラインを維持したりとか、技術者、技能者を維持していくということが非常に厳しい状況になっております。こういった生産ラインでの技術者、技能者を一度消滅させてしまうと元に戻すのが非常に厳しいというのが現実であります。


パ−ソナリティ−:

 なるほど、防衛産業の現状、とても厳しいんだなとのことがよく分かりました。


増田局長:

 こういった厳しい状況を受けまして、防衛省で様々な対策を考えている訳ですが、その1つとして、防衛大臣をヘッドに総合取得改革委員会というのを設けて対応しております。その委員会からは取得改革の今後の方向性というレポ−トが既に出ていまして、防衛省のインタ−ネットでも見ることができますので、興味のある方は是非、見ていただければなと思います。


パ−ソナリティ−:

 はい、私も防衛省のホ−ムペ−ジですね、チェックしてみたいと思います。今日のこの時間は、東北防衛局の増田義一局長にお話しをいただきました。局長ありがとうございました。


増田局長:

 どうもありがとうございました。
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