防災特別番組
(9月放送内容)



 

 
 

パーソナリティー:
 ラジオモンスターでは、毎年9月の防災月間に合わせて、各界からゲストをお迎えし、「防災特別番組」を放送しています。
 本日は、東北防衛局の市川道夫局長をゲストとしてお迎えし、お送りいたします。
 市川局長よろしくお願いいたします。

局長:
 よろしくお願いします。
 本日は、自衛隊の災害派遣についてのお話をしたいと思います。
 いきなりですが、今さんは、「自衛隊にどのような役割を期待しますか。」と聞かれたら、何と答えますか。


パーソナリティー:

 はい。やはり世界情勢がめまぐるしく変わっているということ、そして今年においてはウクライナ侵攻というのもかなり大きなテーマになっていることわけでありますけれども、やはり我が日本国を守ってもらいたいと思うこと、そして災害大国日本という、そういう面もありますので、そういう面もありますので、大規模な災害の時にはやはり支援していただきたいという風に思うんですね。

局長:

 とても素晴らしいお答えをいただき、ありがとうございます。やはり多くの人が、国の防衛とか災害派遣を思い浮かべると思います。内閣府が平成30年1月に実施した世論調査では、自衛隊にどのような役割を期待しますか」との質問に、災害派遣と答えた人が最も多く、79%以上の人がそう答えました。次が「国の安全の確保」、要するに防衛で、約60%の人が挙げています。


パーソナリティー:

 自衛隊に期待する役割の第1位は「災害派遣」なんですね。
 ところで、自衛隊が災害派遣活動を実施する場合、どのような流れで行われるのでしょうか。
 
局長:
 地震や大雨といった災害に際して、消防などの警察機関だけでは対応できない場合に、通常、都道府県知事からの要請をまずいただいて、その後に自衛隊が部隊を派遣するという流れになっています。
 ちなみに、海難事故のような場合の災害派遣については、海上保安庁から要請をいただいております。
 では、派遣された部隊が何を行うのか、人の救助に当たるのか、あるいは給水作業を行うのかといった支援の内容については、これも、知事からの要請に基づいて行うことが基本となります。大規模な災害の場合には、地方公共団体も混乱していることもあるため、要請を待っているだけではなく、積極的に支援ニーズを見つけ出し、自衛隊が何を行うのかについて「提案型」で支援を行うこと、こういった場合もあります。


パーソナリティー:

 都道府県知事から要請がくる状況というのは、緊急を要する場面を想像するのですが、自衛隊としては、そのよう事態にどのように備えているのですか。

局長:
 全国各地の自衛隊の駐屯地や基地では、災害が発生する時に迅速に対応できるように、初動対処部隊を待機させています。この部隊を「ファスト・フォース」と呼んでいます。これは、陸、海、空の自衛隊共通の取組で、例えば陸上自衛隊では、全国で約3,900名、車両だと約1,100両、航空機約40機を、初動対処部隊として、24時間365日、待機態勢をとっております。

パーソナリティー:
 ファスト・フォース部隊が全国で待機しているのですね。
 
局長:
 そうなんです。今後、南海トラフ地震や首都直下地震など、国難ともいえる巨大地震の発生が想定されています。また、日本各地で、大雨による被害も毎年のように発生しています。こうしたことに、しっかり備えていく必要があると考えています。
 例えば、山形県では、東根市の神町駐屯地のファスト・フォース部隊が、緊急の対応がとれるように常に備えていて、先月3日に発生した大雨による断水被害に際しては、山形県飯豊町において、給水支援活動を行ったところです。
  

パーソナリティ:

 それは県民としては、すごく助かりますね。
 そのほかに、今年実施した主な災害派遣活動を教えていただけますか。
 

局長:

 はい。二つほど紹介させていただきます。
 一つ目なんですけれど、今年4月に北海道知床半島沖で発生した観光船KAZU1の沈没事故です。海上保安庁から災害派遣要請があって、陸海空の各自衛隊が、航空機による上空からの捜索ですとか、船からの捜索を行いました。自衛隊による捜索活動は1か月以上行われて、東北地域に所在する部隊も、秋田市や松島基地に所在する航空自衛隊の救難部隊のほか、八戸市に所在する海上自衛隊の哨戒機の部隊が活動に加わりました。
 二つ目は、鳥インフルエンザに関係した災害派遣です。今年の4月、青森県横浜町の養鶏場で鳥インフルエンザが発生しました。青森県知事から鳥の殺処分などの支援について災害派遣要請がありました。青森県青森市に所在する陸上自衛隊第5普通科連隊が、約280名でローテーションを組んで、24時間態勢で活動を実施しました。


パーソナリティ:

 災害派遣と聞くと、地震や豪雨といった自然災害の場面での人命救助や給水支援をイメージしていましたが、いろいろな場面で活動しているのですね。


局長:

 そうですね。例えば豪雨災害でも、まずは人命救助を思い浮かべますが、それ以外に、あまり聞きなれない活動として、災害ゴミの撤去といった活動も実施されたことがあります。
 これは、私自身が体験したことなのですが、平成30年7月に中国・四国地方で発生したいわゆる平成30年7月豪雨の時、西日本豪雨とも言われるのですが、私は、防衛省の連絡要員として、岡山県の倉敷市に派遣されました。岡山県では、100年に一度といわれるほどの豪雨に襲われて、倉敷市真備地区では川の堤防が決壊して、およそ4,600戸もの家屋で床上浸水が発生しました。最大では、5mも浸水したところがあったそうです。このときに、浸水した家屋から、濡れた畳、あるいは濡れた家具、電化製品、こういったものが大量の災害ゴミとして排出されて、ゴミの集積地だけでは収まらずに、町の幹線道路の両側に積み上げられてしまう、こういった状態になってしまいました。災害ゴミが道路に崩れてきたら、あわや2次災害も起きかねない、そういう状況でした。その災害ゴミの撤去を行う倉敷市にとって、頼もしい協力者が自衛隊の施設部隊でした。道路の両側に積まれた災害ゴミの山が、自衛隊の油圧ショベルとダンプカーによって、みるみる片付けられていく様子を今でも覚えています。


パーソナリティー:

 自衛隊の油圧ショベルやダンプカーが、災害時に活躍したのですね。
 
局長:
 はい。もう大活躍でした。  
 最後にもう一つご紹介したいのは、災害派遣活動とは違うのですが、自衛隊による不発弾処理の活動です。
 陸上自衛隊第6師団の不発弾処理技能者を含む6名の隊員で回収作業にあたりました。回収した不発弾は長さ約4メートル、直径約50センチありまして、その後、東根市の神町駐屯地に移送されました。
 戦後77年が経った現在でも、北海道から沖縄までの全国各地において、主に戦前・戦中の不発弾が今でも発見されておりまして、その都度、自治体からの要請を受けて、自衛隊が処理に当たっています。

 

パーソナリティ:

 防衛省・自衛隊では様々な活動を行っているのですね。
 自衛隊の方々が、国民の安全・安心のため、危険と隣り合わせの任務に従事されていることがよくわかりました。
 本日は、東北防衛局の市川局長をゲストに迎え、防災関連の番組をお送りしました。  市川局長、ありがとうございました。  


局長:

 ありがとうございました。

 
 
  
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