防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
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(1月放送内容)



 

テ−マ:みちのくALERT2020について

 
 


パーソナリティー:
 本日は東北防衛局の熊谷昌司局長からお話を伺います。熊谷局長、どうぞよろしくお願いします。

局長:
 東北防衛局長の熊谷です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 今年は、東日本大震災から10年の節目の年に当たります。震災の教訓を踏まえ、国、地方公共団体及び関係機関において、様々な防災計画や事態対処の取り組みが行われています。 本日は、これらの取り組みの中でも、東北に所在する陸上自衛隊が行っている「みちのくALERT」という訓練についてご紹介したいと思います。

パーソナリティー:
 ALERTというと、警戒や警報といった意味がある言葉ですね。
 「みちのくALERT」とは、どのような訓練なのでしょうか。

局長:
 はい、「みちのくALERT」とは、東北6県の地方公共団体及び関係機関の参加をいただいて、陸上自衛隊東北方面隊を中心に実施する大規模な実動防災訓練の名称です。この訓練は、自衛隊の災害対処能力の維持・向上を図るとともに、災害発生時における地方公共団体、関係機関及び自衛隊の連携強化を図る目的で実施しています。
 「A」「L」「E」「R」「T」アラートという言葉には、ご承知のとおり警戒や警報といった意味があります。東北方面隊においては、「A」は「Army(アーミー)」、「LE」は「Lead(リード)」、「R」は「Rescue(レスキュー)」、「T」は「Training(トレーニング)」の意味を込めており、この訓練の実施によって、地方公共団体や関係機関との間の連携の強化、調整要領のノウハウ及び教訓の蓄積に努めています。

パーソナリティー:
 この訓練は、いつから始まったのでしょうか。

局長:
 はい、東北方面隊は、以前から東北地方における大規模地震への対応のため、図上訓練を毎年実施していましたが、平成20年、当時の東北方面総監が、宮城県沖地震の発生から約30年が経過したことから、想定される大規模災害に備え、常日頃から部隊の練度維持が必要であるとして、実動を伴った訓練の実施を指示したことが始まりです。 今年度は、昨年11月及び12月に「みちのくALERT2020」として、青森県が実施する令和2年度原子力防災訓練と連携し、実施しました。

パーソナリティー:
 具体的にどのような訓練が行われたのでしょうか。

局長:
 はい、訓練は、青森県下北郡東通村に所在する東通原子力発電所1号機運転中、青森県東方沖を震源とする地震・津波が発生し、原子炉の自動停止後、外部電源が喪失され、その後、さらに、事態が進展し放射性物質が放出され、発電所周辺地域に影響を及ぼすとの青森県による想定の下で行われ、11月12日に東通村において実動訓練、12月16日に東通村及び仙台駐屯地において図上訓練がそれぞれ行われました。
 実動訓練では、地方公共団体の職員及び自衛隊員のほか、原発30q圏内に所在する5市町村の住民、計約1200人が参加し、陸上自衛隊のヘリコプターによる避難訓練や、段ボール製のベッドなどの準備、必要な物資の受け渡しといった、住民避難の手順毎に具体的な確認を行いました。
 また、図上訓練においては、原子力災害の初動対応時における地方公共団体及び関係機関との連携要領の確立に努め、ヘリコプターによる撮影映像の関係部署への配信等に係る訓練を行いました。

パーソナリティー:
 ヘリコプターを使用した避難など本格的な訓練がなされたのですね。
 過去の「みちのくALERT」でも同様の訓練が行われたのでしょうか。

局長:
 はい、昨年度に予定されていた「みちのくALERT2019」は、東北地方を直撃した令和元年東日本台風の影響により中止となりましたが、平成30年度に福島県南相馬市で実施された「みちのくALERT2018」では、大規模地震と津波によって瓦礫が散乱し、陸上や上空から接近できない孤立地域が発生したとの想定の下、水陸両用車やエアクッション艇を活用した人命救助と物資輸送などの訓練が行われました。
 また、平成26年度に宮城県で実施された「みちのくALERT2014」では在日米軍及び豪軍も訓練に参加し、宮城県内において在日米軍のオスプレイを使用した救援物資輸送や患者輸送の訓練が行われました。

パーソナリティー:
 「みちのくALERT」は県や陸上自衛隊東北方面隊が中心になって実施している訓練とのことですが、東北防衛局としても訓練には参加されているのですか。

局長:
 はい、当局では図上訓練の際に、仙台駐屯地に連絡員を派遣し、情報共有や関係機関との連携に係る訓練を実施しました。
 また、今回の「みちのくALERT2020」における訓練想定を踏まえ、局独自の訓練を実施しました。具体的には、当局の所在する仙台市から距離のある青森県等に対して、遠隔地から如何に対応できるかといった点に焦点を置き、連絡員の派遣に伴う手順の確認、災害廃棄物の一時的集積のための防衛施設周辺の財産の速やかな使用許可手続の確認、自衛隊施設が被災した場合を想定した技術系職員の派遣の手順の確認などを演練し、事態対処態勢の維持向上を図りました。

パーソナリティー:
 防衛省・自衛隊では日頃から様々な訓練を実施して、災害が発生した場合の態勢の維持に努めているのですね。

局長:
 はい、東北地方に所在する各自衛隊は、各種様々な訓練を実施しています。
 中でも、「みちのくALERT」は、東北方面隊が主催する最大規模の防災訓練であり、東北地方の地方公共団体、関係機関及び自衛隊が一体となった大規模実動訓練の実施を通じて、災害に備えた練度維持を図ることはもとより、連携をスムーズに行うための地方公共団体、関係機関、自衛隊との顔の見える関係を構築することに大きく寄与しているものと思います。
 防衛省・自衛隊としましては、訓練を継続し、地域の安心・安全に寄与して参りたいと思います。

パーソナリティー:
 実際に災害が発生した際は、防衛省・自衛隊、地方公共団体や関係機関が日々訓練をされているおかげで、私たち住民は、安心して避難をすることができますね。  
 本日は、東北防衛局の熊谷局長から「みちのくALERT2020」についてお話を伺いました。局長、ありがとうございました。

局長:
 ありがとうございました。

パーソナリティー:
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