防衛省・東北防衛局がおくる日本の防衛Q&A
(8月放送内容)



 

テ−マ:自衛隊の災害派遣・防災訓練

 
 


パーソナリティー:
 本日は東北防衛局の熊谷昌司局長からお話を伺います。熊谷局長、よろしくお願いします。

局長:
 はい。本日も、よろしくお願いします。 来月9月1日が「防災の日」ということもあり、今回は、「自衛隊の災害派遣と防災訓練」について紹介したいと思います。
 近年、毎年のように大規模な自然災害が発生し、各地で甚大な被害が生じています。 私たち防衛省・自衛隊は、国内における地震、風水害、火山噴火、雪害などの自然災害の際、救助などの災害派遣活動や離島などの救急患者の緊急輸送などを通じて、国民の生命や財産の保護に寄与しています。
 東北地方においては、未だ記憶に鮮明な平成23年の東日本大震災のほかにも、最近では昨年の台風19号による豪雨など甚大な被害をもたらした災害が発生しています。こうした災害から得られた教訓を活かし、平素から災害時における被害軽減につながる備えを充実強化するとともに、災害時に迅速かつ、適切な救援活動等を行うべく、防衛省・自衛隊では、自ら各種の防災訓練を実施しているほか、国や地方公共団体などが行う防災訓練にも積極的に参加し、各省庁や地方公共団体などの関係機関との連携強化を図っています。

パーソナリティー:
 九州を襲った水害を見てみましても、これから先の台風の時期になると、また、昨年の台風19号のような豪雨災害が発生するのではないかと心配になりますね。台風などによる災害が発生した場合には、自衛隊はどのような活動を行うのでしょうか。

局長:
 はい。大規模災害などの発生に際しては、所要の部隊を迅速に輸送・展開し、初動対応に万全を期すとともに、必要に応じ、対処態勢を長期間にわたり持続します。また、被災した住民の方々や地方公共団体のニーズに対し丁寧に対応するとともに、関係機関と適切に連携・協力し、人命救助、応急復旧、生活支援などを行います。
 全国の陸海空自衛隊は、災害派遣を迅速に行うための初動対処態勢を平素から常時整えており、このような部隊を「ファスト・フォース」と呼んでいます。
 昨年10月台風19号による豪雨災害が発生した際は、大雨に伴い河川の氾濫や土砂災害が東北地方から関東甲信越地方まで広範囲にわたって発生したことから、延べ約8万4千人の隊員が、人命救助、給水・給食・入浴などの生活支援を行った他、道路の啓開や災害廃棄物の処理に従事しました。

パーソナリティー:
 災害派遣での自衛隊の活動は、人命救助を最優先に行うとともに、住民の生活についても幅広く支援しているのですね。

局長:
 そうなんです。また、災害派遣と言っても様々な活動があり、報道で皆さんご覧になったと思いますが、本年3月28日から新型コロナウイルス感染症に対する水際対策強化として、成田空港や羽田空港において、自衛隊看護師等によるPCR検査の支援や、宿泊施設への輸送支援、宿泊施設に滞在する帰国者・入国者に対する生活支援などを実施しました。
 東北管内においても、宮城県知事からの災害派遣要請を受け、自衛隊仙台病院の看護師等によるPCR検査の支援や、検体採取を行う施設の確保のため、テントの設置・維持管理を実施しました。 また、岩手県知事や福島県知事の災害派遣要請を受け、県職員及び医療関係者に対して感染防止等についての教育支援も実施しました。

パーソナリティー:
 一言で災害派遣といっても、様々な活動をされているのですね。
 もし、災害が発生した場合、自衛隊に対する派遣要請は誰が行うのですか。

局長:
 自衛隊は、自衛隊法により、天災地変その他災害に対して人命または財産の保護のため必要があると認められる場合は、基本的には都道府県知事の要請を受け、部隊等を派遣することになっています。
 都道府県知事は、消防や警察といった地方自治体の能力も考慮したうえで派遣要請を行っています。

パーソナリティー:
 自衛隊・防衛省では、日頃から災害派遣活動を行うための準備をされていると思いますが、どのような防災訓練を行っているのですか。

局長:
 全国において様々な防災訓練が年間を通じて実施されています。
 東北管内における代表的な訓練として、陸上自衛隊の東北方面隊を中心に実施する「みちのくアラート」という大規模実動防災訓練があります。これは自衛隊の災害対処能力の維持・向上を図るとともに、災害発生時における地方公共団体、関係機関及び自衛隊の連携強化を図る目的で実施しています。一昨年の訓練においては、自衛隊員約1万3千人のほか、東北6県、139市町村及び72の関係機関の職員が参加しました。
 東北防衛局におきましても、年2回程度、独自の防災訓練を実施しているほか、地方公共団体や自衛隊が実施する防災訓練に対してもその都度積極的に参加しています。その中で、連絡員を派遣し、被害情報などの各種情報の収集や、自衛隊をはじめとする関係機関との連携強化などの練成強化を行っています。  
 また、自衛隊施設が被災した場合に備え、建築・土木・設備の技術系職員が年1回、「建物等の応急危険度判定訓練」を行っています。訓練においては、災害発生に伴う部隊からの支援要請を受け、派遣職員の召集や装備等の確保、被災した施設までの移動、建物等の被災調査に至る一連の行動を部隊と連携し、手順を確認しながら実施しています。
 このように東北防衛局では、日頃から職員の危機管理意識の向上を図り、「いざ」という時に迅速に対応できるよう努めています。

パーソナリティー:
 防衛省・自衛隊では日頃から様々な訓練を実施して、災害に備えているのですね。
 本日は、東北防衛局の熊谷局長から「自衛隊の災害派遣と防災訓練」についてお話を伺いました。局長、ありがとうございました。

局長:
 こちらこそ、どうもありがとうございました。

パーソナリティー:
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