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横帆(マスト)
 「横帆、縦帆」について紹介します。
 横帆(おうはん)は、マスト(帆柱)に交差する方向に帆を張るもので、西洋の帆船ではその形状から角帆とも呼ばれます。追い風の力を船の動力にすることを目的としたいわゆる帆掛船に始まったものと考えられ、その後、追い風だけでなく、帆の向きを風の向きに交差する方向に変えることである程度対応できることが経験則から分かってきたようです。風の方向が一定している遠洋での帆走では、横帆が有利で、大洋航海を目的とした大型帆船の主帆として用いられることが多いです。
 他方、縦帆(じゅうはん)は、マストに沿った方向に帆を張るもので、横帆の欠点である、進行方向前方からの風を受けた時に風上側の帆の縁がはためいてしまう現象を防ぐ工夫がなされ、風上に向かって推進力を得ることができます。横帆に比べて風力を推進力に変換する効率の面では劣りますが、帆の向きを変えることで船に旋回力を与えることが容易であるなど、一般に小型船のヨットでは縦帆のみで構成されています。
 このように、「横帆」は追い風を捉える効率が高く、季節風を利用して長距離を移動するのに向いていて、「縦帆」は追い風の利用効率は劣りますが、より風に向かって間切る、つまりより前方から吹く風を利用することができ、操船がしやすいという利点があります。ちなみに、「縦帆」から得られる推力の理論は、航空機の翼と同じで、セイルの形状を変化させることで推力(飛行機では揚力)を変化させることができます。航空機を操縦するパイロットは、是非ヨットに乗って体感することをお勧めします。
 船の運航に大きく影響を与えるのは、海流や潮の満ち引きなどの潮の流れで、大航海時代では、季節風と海流を上手に利用し、遠洋への航海を行いました。特に、西欧においては、16世紀初頭までは、東方との交易は、イスラム商人によって高い関税がかけられていたため、直接、中国やインドなどから香料、香辛料、絹、陶磁器などを入手するルートを開拓する必要がありました。西欧諸国の国王は、航路の開拓を奨励し、大型帆船に様々な改良が加えられ、喜望峰の発見などにより、大きく西欧の海運が発達することになりました。
 また、海運の発達は、アラブ人の影響が大きいと言われています。イスラムの共同体や信用制度を活用し、インド洋を中心に東アフリカから果ては中国にまで及ぶ帆船による海上貿易ネットワークを構築し、インド洋は「イスラムの海」の様相を呈していたと言われます。それは、インド洋におけるダウ船などによる沿岸海運が現代でも盛んであり、また、ソマリア沖における海賊などの能力の高さは、それを示しているものと思います。アラブ人は独特な海図と航海術を発展させ、夜間の航海も可能にし、『アラビアンナイト(千夜一夜物語)』の「船乗りシンドバッド」は、10 世紀ごろのアラブ人船乗りの世界を描いている、と言われています。

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