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船の上はどこの国?
 旗国主義について紹介します。
 船の上で適用される法律はどこの国の法律か知っていますか?国際的に共通した国際法(条約)でしょうか?それとも、船長の国籍の国の法律でしょうか?実は、船の戸籍に相当する「船籍」の国の法律が適用されます。船は、船籍である国の国旗を掲げる権利を有しており、一般的にその国旗を船尾に掲げることができます。そして、船上で適用される法律は、全てその船籍のある国の法律となります。したがって、船が掲揚する旗が示す国の法律が適用されることから、これを「旗国主義」と呼んでいます。
 例えば、外国の船が入港している場合であっても、船上は船籍のある国の領域であり、その国の法律が適用されます。ただし、入港を含めて他国の領域(領海)に船が位置している場合、その沿岸国の法律を尊重し、これに従い、沿岸国の法律に違反した場合には、捜査や容疑者の引き渡しなどの求めに応ずることが国際法上求められており、この条約に加盟していない国の船の寄港は認めていないのが一般的です。唯一、軍艦と公船(海上保安庁のような政府の船)は免除の特権が国際法上認められており、軍艦については絶対的な免除、公船については一部免除されています。
 このため、軍艦や公船が他国に寄港する場合、事前にその国の許可を得ておく必要があります。
 海上自衛隊の自衛艦は、国内法では「軍艦」としての地位を与えていませんが、外国領域を航海する場合には、「軍艦」としての扱いを受けることが定められており、外国政府からもそのように特権を認められています。2009年春に幹部候補生学校を卒業した初任幹部を乗せた遠洋練習航海部隊が香港への寄港を計画していたところ、急遽中国政府からその受け入れが「技術的」に難しいと断られ、その寄港を取り止めたこともありました。
船の上では、船長が絶対的な権限を有しています。これは、旗国主義の下、外国への寄港する機会が多い中、外交問題などを起こさないことや狭い船上で船員に法律や規律を遵守させることを船長に求めており、そのために必要な多くの権限を認めていることになります。
 義務と権限が正に具現化された事例だと考えています。
 また、船では、船籍を示す旗印すなわち国旗がとても重要です。「日の丸」が日本の国旗として定められたのは明治以降ですが、外国との通商上、国を示すための「旗印」が必要となり、薩摩藩が使用していた「船印」の「日の丸」を後々国旗とした経緯からもその重要性がわかると思います。船尾の旗竿に掲げられる国旗は、船籍の国のものに限られており、別の国の国旗を掲げた場合、船籍を偽っている疑いが生じ、軍艦をはじめ沿岸国の官憲(海上保安庁など)の質問、確認の対象となります。
 さて、一つ私が抱えている疑問があります。帆船時代の大航海時代から、今の海事関連の規律、慣習が作られてきました。船長の権限は絶大で、船上では正に船長が法律でした。よく映画などで見るのですが、規律に違反した船員に対する裁きを「マスト」と呼びます。これは、規律を乱した船員の裁きを帆柱:「マスト(mast)」の前で行い、裁きの結果、鞭打ちなどの仕置きをする場合、その船員をマストに縛りつけて行うことからこのように呼ばれていると聞きます。この「マスト」、たまたま語感が似ているだけなのかもしれませんが、「~しなければならない」を意味する英語の「must」と関係あるのではないかと前々から思って、いろいろ調べているのですが、その解答を見い出せないでいます。
 もし、どなたかご存知の方がいましたら、教えてください。

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