ぐんま観光特使の新・群馬紀行
第12回 小沢岳

 皆様、こんにちは。
梅雨空が続いていますが、首都圏の水がめと言われる群馬県内の利根川水系8ダムの貯水率が過去最低となっているという報道が気になります。

 

 さて、新・群馬紀行第12回は、甘楽郡下仁田町と南牧村にまたがる「小沢岳」をご紹介します。

 

 標高1089mの小沢岳は、その独特のピークの形状から西上州のマッターホルンとか槍ヶ岳などと呼ばれていますが、登山道に危険な箇所はなく歩行距離も短いため、手軽に登れる展望の山として人気があります。上信越自動車道の下仁田ICで降りて下仁田町の中心部を通過し、青倉川沿いの県道を進むと正面に見えてきます。

 


 青倉川に架かる「七久保橋」を渡って林道に入り、急坂を登って小沢岳登山口の標識がある標高650mの地点の路肩スペースに駐車しました。林道はこの先も続いており、車両の通行も可能ですが、かなりの悪路となります。ここまで、東京郊外から約120q、約2時間でした。

 

 


  林道を20分ほど歩くと標高845mの「椚(くぬぎ)峠」に至り、車両はここで通行止めになりますが、このまま峠を越えて西に下ると南牧村の磐戸(いわど)集落に至ります。写真左は、椚峠の路傍に佇む2体の馬頭観音ですが、かつては峠を越えて下仁田町と南牧村との往来があったようです。

 

 


  山頂への登山道は、山頂の南に位置する椚峠から北に折り返し、杉や檜が伐採され苗木が植林された明るい尾根を進みます。写真は、尾根道から北東方向を見たところですが、右の山は新・群馬紀行第4回でご紹介した稲含山です。

 

 

 

 細い尾根道を過ぎると広い杉林の急斜面となり、やがて標高1052mの前衛峰(図根点峰)に至ります。椚峠からここまで約40分、ここから一旦下って登り返して10分足らずで山頂です。写真は、山頂手前の急斜面に咲いていた山ツツジです。

 

 


 峠から図根点峰まではずっと下仁田町と南牧村の境を歩いてきましたが、小沢岳の山頂は境より西の南牧村側にあります。写真は、山頂の石祠と1809年に建てられた「大日如来」の石像です。

 

 

 


 山頂は狭く、南牧村側(西側)が足元から切れ落ちた崖になっているので注意する必要がありますが、南西から北西にかけての視界は良好です。写真は西側方向で、信州姫街道・南牧道(群馬紀行第36回参照)に沿った南牧村の集落が見えていますが、その先の山を越えると長野県です。

 

 

 

 

 「ジオパーク」(大地の公園。同第37回参照)の一つとして有名な下仁田町には、ジオパークを特色づける「ジオサイト」(見学場所)がたくさんあります。写真は、小高い丘にある下仁田町歴史民俗資料館から小沢岳(中央)を写したものですが、手前の山(左・御嶽・576m、右・大崩山・461m)は、青岩の基盤の上に地殻変動で別の場所から移動してきた地層が浸食されてできた「根なし山」(クリッペ)です。

 


 ジオサイトの一つである「はねこし峡」は、下仁田町の中央を流れる鏑(かぶら)川の名勝で、川を跳んで渡れるくらいの峡谷ということから名付けられました。川が数千万年前の硬い岩盤を流れているため、横に広がらずに下へ下へ削られた結果、このような峡谷が創り出されました。

 

 

 (参考図書等:観光パンフレット、現地の説明板等)