ぐんま観光特使の新・群馬紀行
第5回 鳴神山

 皆様、こんにちは。
平成28年が始まりました。

 さて、新・群馬紀行第5回は、古くから信仰の山として親しまれてきた桐生市の「鳴神山」(なるかみやま)をご紹介します。

 

 鳴神山(980m)は、桐生市北部に連なる鳴神山脈の主峰で、山頂は双耳峰になっており、東峰の桐生岳は桐生川筋の村(旧梅田村)が、西峰の仁田山岳は山田川筋の村(旧仁田山村)がそれぞれ雷神(なるかみ)の住む山として信仰してきました。写真は、太田市と桐生市を分ける八王子丘陵の最高点「茶臼山」(294m)から北方向を見たところですが、桐生市中心部を隔てて右方向に連なるのが鳴神山脈、左奥は赤城山です。

 


 登山口は、桐生市梅田町の大滝登山口と同川内町の駒形登山口があり、いずれも東京郊外から約120q、関越自動車道、北関東自動車道の太田藪塚IC経由で約2時間ほどです。今回は駒形登山口から登り、山田川源流の沢沿い登山道を進みます。

 

 


 岩場の急登を経て約1時間で山頂直下の「肩の広場」に着きますが、ここは十字路になっていて、大滝登山口からの道や鳴神山脈の縦走路と合流します。写真は、肩の広場に鎮座する「雷神岳神社」で、ここから山頂まで5分程度です。

 

 

 


 東峰の桐生岳山頂には4つの祠や山座同定の指導標が建ち、360度の大展望が得られます。写真は西方向で、直ぐ先の樹木に覆われた部分が西峰の仁田山岳で、その後方に赤城山が見えています。

 

 

 写真は北方向で、手前の鳴神山脈を隔てて中央に袈裟丸山(群馬紀行第61回参照)、右端に男体山、その左に日光白根山(同第24回参照)と皇海山(すかいさん)が顔を出し、左には武尊山が見えています。

 

 


 写真は南方向で、最初の写真とは逆に、桐生市中心部を隔てて八王子丘陵が横たわり、その先の埼玉県の山々の後方に微かに富士山が見えています。右奥方向に鳴神山脈が連なり、鳴神山から三峰山、大杉岳を経て吾妻山(同第1回参照)に至る約8qの縦走コースが伸びています。

 


 鳴神山は、秩父古生層のチャート(海底の堆積物)を中心とした硬い岩石からなっており、標高1000m以下であるにもかかわらず高山帯に見られる植物や、カッコウソウ、ナルカミスミレなど世界的にも希少な植物が生育しています。西峰の仁田山岳山頂は樹木に囲まれて展望はありませんが、5月にはアカヤシオ(山の岩場に生えるツツジ)が満開になるそうです。

 

 

 仁田山岳から北に下った所に東方向が開けた展望台が2ヶ所あります。写真は、山頂直下の第1展望台からのものですが、中央右に赤城山が大きく迫り、中央左に榛名山とその後方に浅間山を見渡すことができます。

 

 


 復路はそのまま北に下り、椚田(くぬぎだ)峠の十字路を西に下って、途中から広い林道を経由して駒形登山口に戻りました。今回は12月初旬の登山でしたが、麓近くになると紅葉が綺麗でした。

 

 

 

 桐生市川内町の「白瀧神社」には、宮中に仕えていた白瀧姫がこの地に嫁いで機織りの技術を伝えたという伝説(同第45回参照)があります。白瀧姫がこの地の山を見て「京で見た山に似た山」と言ったことからこの地は「仁田山」と呼ばれ、後年「仁田山紬(つむぎ)」の産地となって、桐生織物発祥の地となりました。写真の左奥が鳴神山(桐生岳、仁田山岳)です。

 

 (参考図書等:「群馬県の山」(山と渓谷社)、「群馬の山歩き130選」(上毛新聞社)、「ぐんま百名山」(上毛新聞社)、観光パンフレット、現地の説明板等)