ぐんま観光特使の新・群馬紀行
第4回 稲含山

 皆様、こんにちは。
今年も残り1ヶ月を切りました。

 さて、新・群馬紀行第4回は、甘楽郡甘楽町と同下仁田町にまたがり、養蚕と五穀の守神として古くから地域の人々に親しまれてきた「稲含山」(いなふくみやま)をご紹介します。

 

 稲含山の中腹の「茂垣(もがき)峠」には、甘楽町と下仁田町から林道が通じており、短時間で登頂することができます。東京郊外から約120q、上信越自動車道の富岡IC経由で甘楽町側から林道に入り峠手前の「神の池公園」の駐車場まで約2時間50分ほどです。写真は、林道入り口から見た堂々とした山容の稲含山です。

 


 神の池公園の登山口から10分ほど登った所に「一の鳥居」があり、ここから登山道は二つに分かれます。二つの登山道は頂上の手前で合流しているので、復路は別の道を下って周回することが出来ます。

 

 


 一の鳥居から右手の登山道を進み、茂垣峠や「赤い鳥居」を経て次第に高度を上げると、すでに積雪がありました。山頂付近は岩場の急登となり、危険ではありませんが、何箇所か鎖場があります。

 

 

 


 山頂付近には、甘楽町側と下仁田町側にそれぞれ稲含神社があり、毎年5月3日には稲含神社春季例大祭・山開きが行われ、多くの人で賑わうそうです。写真は、山頂直下にある下仁田町側の稲含神社です。

 

 

 

 稲含神社から更に岩場を一登りしたところが標高1370mの頂上です。それほど広くはありませんが、方位盤があって360度の展望が開けています。写真中央は、群馬紀行第34回でご紹介した御荷鉾(みかぼ)山で、東から南にかけて西上州の山々が間近に連なっています。


 西は下仁田町や南牧村方向で、その先は長野県です。北西の方向には真っ白に冠雪した浅間山があり、その右に妙義山や前回ご紹介した浅間隠山、左に航空母艦のような形をした荒船山が見えています。

 

 


 北から東にかけて、眼下には群馬県の平野部が広がり、その後方には榛名山、赤城山や北毛の山々が遠望できます。写真は、高崎市内(手前)と前橋市内(奥)で、高層庁舎が確認できます。その後方は、赤城山(左)と同第24回でご紹介した関東以北の最高峰・日光白根山(中央)です。

 

 

 

 頂上から数分下ると道が分かれ、往路とは別の道を更に10分ほど下ると甘楽町側の稲含神社があります。稲含神社は530年頃の創建で、祭神の「豊稲田(とよいなだ)姫」は、印度(いんど)から日本に渡って養蚕や稲作を広めたと言われています。この際、豊稲田姫が印度から稲の種子を見つからないように持ってくるのに苦労し、口に含んで持って来たことから「稲含」の名が付いたと伝わっています。

 


 甘楽町側の稲含神社から15分ほど下ると「二の鳥居」があり、更に15分ほど下ると前述の一の鳥居で往路に合流します。写真は、二の鳥居の近くにあって豊稲田姫が手を清めたと伝わる「神の水」という水場です。

 

 

 

 麓の甘楽町秋畑那須(あきはたなす)地区は、南向きの急斜面に「ちぃじがき」と呼ばれる小さな自然石を組み合わせた石垣に囲まれた段々畑による小さな農業が営まれており、人の営みが育んだ健やかで美しい里を選んだ「にほんの里100選」(朝日新聞社と森林文化協会の共催)に選ばれています。

 

 (参考図書等:「群馬県の山」(山と渓谷社)、「群馬の山歩き130選」(上毛新聞社)、「ぐんま百名山」(上毛新聞社)、観光パンフレット、現地の説明板等)