ぐんま観光特使の新・群馬紀行
第3回 浅間隠山

 皆様、こんにちは。
秋も大分深まり、気温が下がってきました。

 

 さて、新・群馬紀行第3回は、高崎市、吾妻郡東吾妻町、同長野原町にまたがる「浅間隠山」(あさまかくしやま)をご紹介します。

 

  浅間隠山は、長野県境に鎮座する浅間山の東に連なる山列の最高峰(1757m)で、その名のとおり東吾妻町方向から見ると浅間山を隠してしまうことから名付けられた山です。写真は、群馬紀行第19回でご紹介した東吾妻町の岩櫃山(いわびつやま)から写したものですが、中央に浅間山、その左手前の見かけ上最も高い山が浅間隠山、更に左手前方向に同町中心部があるので、その名の所以が分かります。

 


 他方、浅間隠山は、富士山に似た姿から麓の地名を冠して「川浦富士」とか、弓矢の根元に弦を掛けるために小さな凹みを切った部分(矢筈。やはず)に似た小双児峰であることから「矢筈山」とも呼ばれています。写真は、今年1月に前橋市内から写したものですが、中央の雪山が浅間山、右端の秀麗な山が浅間隠山です。

 


  主な登山道は、東吾妻町の温川(ぬるかわ)上流の「浅間隠温泉郷」から登る北側ルートと高崎市・長野原町の境にある「二度上(にどあげ)峠」から登る南側ルートがあり、今回は短時間で往復できる南側ルートを選びました。二度上峠付近には駐車場がいくつかあり、東京郊外から約140q、関越自動車道の高崎玉村スマートIC経由で約2時間30分ほどです。

 

 


  南側ルートの登山口から頂上まで約2.1q、1時間15分程度ですが、北側ルートに比べて標高差が半分程度(約490m)なので、家族連れでも安心して登ることが出来ます。尾根に出ると木立の間から山頂部分が見えてきますが、南面なので、陽射しが差し込む明るい登山道となっています。

 

 

 立派な標識と石の祠がある小広い山頂には、大きな木立など視界を遮るものが何もないため、360度の大展望が得られます。また、周辺の山より標高があるため、非常に高度感があります。山頂の西側は長野県方向で、同第23回でご紹介した活火山の浅間山(2568m)が眼前に迫ります。

 

 


 山頂の東側は群馬県の中心方向で、正面に上毛三山の榛名山と赤城山を俯瞰し、その左後方に日光連山、右後方に前橋市内や高崎市内を遠望することが出来ます。また、榛名山麓には、高崎市方面から今日通って来た国道406号(信州街道。同第63回参照)が見えています。

 

 


 山頂の南側は埼玉県方向で、正面に妙義山など西上州の山々を俯瞰し、左後方に関東平野、右後方に南アルプスを遠望することが出来ます。写真は、秩父連山の上に顔を出している冠雪の富士山です。

 

 

 

 

 標高1390mの「二度上峠」は、高崎市倉淵町権田と長野原町北軽井沢を結ぶ県道45号線上にあります。かつて草津温泉駅と新軽井沢駅を結んでいた草軽電気鉄道の駅がこの峠付近にあり、急勾配のため二度のスイッチバックが必要だったことから「二度上駅」と名付けられたそうです。写真は、二度上峠から見た浅間隠山で、登山口は峠から高崎市方向に1qほど下った所にあります。

 


 写真は、県道45号線を更に下った高崎市倉淵町川浦の「倉渕川浦温泉・はまゆう山荘」です。同第18回でご紹介したとおり、幕末の偉才・小栗上野介の縁で昭和56年に横須賀市と旧倉淵村は友好都市の提携を結び、横須賀市は同62年にこの山荘を建設ました。その後、山荘は倉淵村に委譲され、高崎市に合併された現在は、財団法人くらぶちふるさと公社が管理運営しています。

 

 (参考図書等:「群馬県の山」(山と渓谷社)、「群馬の山歩き130選」(上毛新聞社)、「ぐんま百名山」(上毛新聞社)、「野山を歩く100コース」(上毛新聞社)、観光パンフレット、現地の説明板等)