2013年07月25日
防衛大学校は、平成25年6月12日(水)、独立行政法人国際協力機構(JICA)前理事長 緒方 貞子 先生を講師として招へいし、「人間の安全保障-現状と課題-」と題して、本科、研究科学生などを対象とする課外講演が記念講堂において行われました。
学校長と親交の深い緒方先生は、日本人女性として初の国連公使となり、特命全権公使、国連人権委員会日本政府代表等に就任、平成2年に国連難民高等弁務官(UNHCR)に選出され、10年間その大任を果たされました。その後、国連の「人間の安全保障委員会」共同議長として人間の安全保障概念の形成に貢献され、平成15年からはJICA理事長としてご活躍されました。
講演では、はじめにUNHCRの仕事について紹介され、難民条約が規定する「難民」となって初めて法律上UNHCRの保護の対象となること、冷戦の終結という国際情勢の激変に伴う様々な混乱の中で、「難民」が多地点において同時に大量に発生する事態への対処を迫られたこと、また国境を越えられないために「難民」に該当せず、法律上保護の対象にならない「国内避難民」にどう対処するか、などの難題に直面したことについて話されました。続いて、イラク、旧ユーゴスラビア連邦諸国、アフリカの大湖地域における難民保護の事例について、各国軍隊の司令官・軍人との交渉や連携にもふれつつ紹介されました。その中で、国際平和協力法に基づく人道的な国際救援活動としてわが国初のケースとなった自衛隊のルワンダ派遣については、派遣決定に際して当時の村山首相に直談判した経緯にも言及したうえで、「日本出身の難民高等弁務官として非常に嬉しかった」と先生の想いを熱く語られました。
最後に、UNHCRでの経験を通じて人間の安全保障という概念に関心を持つに至ったこと、日本政府の多大な貢献もあって、昨年、人間の安全保障に関する総会決議が採択され、概念が確立したこと、これからはその実践が重要であり、日本には財政的貢献のみならず人的貢献も期待されることを述べ、講演を締めくくられました。
質疑応答の時間では、自衛隊が担う「防衛」とは結局人間の関わり合いであるから、防大生はもっと社会学や歴史を学び、「人間」や先例を知るべきであるというご教示のほか、世界には課題が山積しており、自衛隊には至るところで活躍してほしいとの励ましのメッセージもいただき、拍手の鳴り止まぬ講演会でした。
防衛大学校は、平成25年7月1日(月)から5日(金)までの間、第18回国際防衛学セミナーを開催いたしました。
本セミナーは、「防衛大学校における防衛学について、各国の士官学校等の代表者との発表・討議を通じて、防衛学の充実・発展を図るとともに、各国と我が国との安全保障に係わる相互理解を促進し、相互啓発に寄与する」ことを目的として、1996年から毎年実施しています。
今回は、『拡大・多様化する軍の任務・役割に適合するために強化すべき軍の能力・機能と士官学校教育』をテーマとし、17カ国17名の参加を得て開催いたしました。
まず、米陸軍退役中将 ジェームズ・デュービック氏の基調講演「明日のリーダー育成 (Developing Tomorrow’s Leaders Today) 」を行い、じ後、3コセッションに区分して、発表・討議を実施いたしました。
①『軍特有の(他の組織・機関にない)能力・機能』、②『拡大・多様化する任務を遂行するための必要性が高い軍事技術』、③『士官候補生の教育・訓練』について、各テーマ毎に現情勢を踏まえ、参加国の国情に応じた発表が実施されるととともに、活発な意見交換がなされ、今後の防衛学の充実・発展に寄与することができました。
また、校内外研修を通じ、「茶会」をはじめとする日本の伝統的な文化の一端を紹介するとともに、体験を通じて、国外参加者に日本文化への親しみと深い印象を与え、相互理解の促進及び信頼醸成の深化を図ることができました。
平成25年5月28日(火)、横須賀市産業交流プラザ(横須賀市本町)において、防衛大学校システム工学群機械システム工学科 吉田 秀久 准教授により、「快適性と安全・安心の向上に向けた車両と人の関係」と題して産学交流セミナー(主催 横須賀市産業振興財団)が開催されました。
車両の乗り心地という観点から、振動抑止について専門的な説明を交えて分かりやすく説明するとともに、車両にとって何よりも重要な安全について、最新のシステムを紹介し、聴講者の関心を引きつけました。
なお、次回の産学交流セミナーは、7月26日(金)に「ゼロから学ぶ生命理論」という演題で電気情報学群情報工学科 白川 智弘 助教が実施する予定になっています。
防衛大学校電気情報学群電気電子工学科 山田 吉英 教授、道下 尚文 講師、理工学研究科前期課程第49期 北原 裕久 学生は、平成25年5月14日(火)、電子情報通信学会通信ソサイエティ優秀論文賞を受賞いたしました。
この賞は、表彰時期の前々年10月から前年9月までに通信ソサイエティ和文論文誌に掲載され、情報通信に関する学術又は関連事業に関し、有効性、体裁、貢献度、信頼性の観点から特に優秀な論文に対して贈られるものです。
(写真は左から道下 講師、田中 通信ソサイエティ会長、北原 学生)
フランス国防省人事局人事計画分析・国際交流課長 クリストフ・デ・カローイン・トレヴィル氏らは、平成25年6月11日(火)、防衛大学校を訪問し、國分 良成 学校長を表敬いたしました。
トレヴィル課長らは、フランス軍において士官学校改革を検討中ということもあり、将来の幹部自衛官に対し三軍種統合型の教育訓練を実施している防衛大学校の現状を把握するために来校され、防衛大学校の概況について説明を受けられた後、学生食堂において産土祭に参加され、教官、本科学生らと懇談されました。
その後、資料館、学生舎、防衛学の授業を見学され、防衛大学校の教育、訓練、学生舎生活等について理解を深められました。
タイ陸軍教育訓練本部長 ナリン・ラッカナー陸軍中将らは、平成25年6月20日(木)、防衛大学校を訪問し、田邉 揮司良 幹事を表敬いたしました。
ナリン陸軍中将らは、防衛省・自衛隊を研修するために訪日された機会に来校され、防衛大学校の概況について説明を受けられた後、防衛大学校におけるリーダーシップの育成、学生の管理等について、熱心に質問されました。
その後、タイ王国から派遣されている留学生と懇談されるとともに、防衛大学校における教育訓練に一層努力するよう激励いたしました。