米陸軍士官候補生来校

        ウエストポイント流スナップ写真撮影   (いろんな方向を向き、考え事をするしぐさをしてカメラに収まった。     中央の白い制服を着用しているのが米陸軍士官候補生)         6月10日(月)〜17日(月)までの1週間、本校に米国陸軍 士官学校(ウエストポイント)から2人の士官候補生が来校した。   以下、士官候補生をエスコートした2人の防大生の所見を紹介する。


      3学年 杉本光伸 学生 私がエスコートすることになったのは、ドン・ダイジロウ・カナセ という名前の学生です。最初は、どんな人なんだろう?仲良くなれる だろうか?などの一抹の不安もありましたが、終わってみれば本当に あっという間の1週間でした。私とドンは、日が経つに連れて仲良く なり、いろいろな話しをすることが出来ました。ここで、ドンから聞 いた、ウエストポイントについて述べてみたいと思います。 防大には、学生綱領というものがあります。これは、ウエストポイ ントの学生綱領の影響を受けています、防大生必読資料集でも、初代 槇校長が何度も取り上げられています。ウエストポイントでは、具体 的にどのように学生綱領が実践されているかというと、規律を犯して いる学生を他の学生が発見した場合、すぐにメール等で、ウエストポ イント全ての学生に、そのことを知らせるそうです。私情などをはさ むこと無く、高い理想のもと、たとえ仲間であっても厳正に処分する のです。また、ウエストポイントでは、規律を破った者に対する罰は すべてパレード訓練で、その程度により、5時間から、80〜100 時間もやるのです。 防大では、就寝時間中以外のベッドでの横臥は許されていませんが、 ウエストポイントでは、何もすることが無いときは、ベッドで寝てい てもいいそうです。 また、延灯は無制限で、徹夜も可能です。 ウエストポイントでも、防衛学のビデオで見た方もいると思いますが、 1学年は毎日の食事のメニューや、新聞の話題などを、いつ聞かれても 答えられるようにしておかなければなりません。実は、あの指導をし ているのは、ほとんど対番で、対番関係は防大のように仲のいいもの ではなく、厳格な関係なのです。  また、一斉喫食(ウエストポイントでは、朝、昼、木曜の夜)のときは、 食事は3回噛んだら飲み込まねばならず、また、常に歌を歌ったり、芸 をしたりして、上級生を楽しませなければなりません。  以上、ウエストポイントについて述べてまいりましたが、どちらの 学校にもそれぞれ良いところがあり、また、他方に見習うべきところ があります。ドンは、一生続くという防大の対番制度をとてもすばら しいものだと言っていました。私達も、高い理想を持ち、お互いに向 上し合うことを怠ってはなりません。私達のライバルは、海外の士官 候補生なのです。今回のエスコートで、私はこのことを強く認識しま した。そして同時に、かけがえのない友人を得ることが出来ました。 私は、ドンと別れる直前、今度はアメリカで会おうと約束を交わし ました。私がエスコートをすることになったきっかけは、ささいなも のでしたが、そこから私は、とても大きなものを得ることができまし た。皆さんも、自分から積極的に行動を起こしてみてください。きっ とそこから、思いもよらないものが得られるはずです。
       3学年 近藤 俊輔 学生           私は、ヒトシ クマガイ士官候補生のエスコートをしました。彼は 非常に真面目で、日本のこともよく知っていました。また、両親は日 本人であるため日本語も堪能で、私が英語を話す必要がないほど上手 でした。彼は非常に好奇心旺盛で、防大についてもかなり関心があっ たようです。特に訓練の内容や課業、規律の問題については、多くの ことを学んだようです。  それでは彼が話してくれたウエストポイントについて話してみたい と思います。防大の学生は非常に真面目で、一人一人が強い責任感を 持って生活しています。また、課業時間にも部隊行動を厳正に行って おり、ウエストポイントもこれを見習うべきである。また、授業中に 寝ていて数回に及ぶ注意を受けたら、週末に個人で5時間程度のパレ ード行進をしなければならないそうです。  ウエストポイントにも校友会のようなクラブ活動はあるそうですが、 完全に個人の自由で、運動をしない学生は全くしないそうです。また、 体力検定も年に1・2回あるそうですが、その基準は防大ほど高くない ようです。体力がなくて訓練等についていけるのかと聞いたところ、 基本的にはなんとかなるそうです。  最後に、たった1週間だけど最高の想い出になりました。支援・教 授等してくださった関係者の皆さんに御礼申し上げたいと思います、 ありがとうございました。