防大かわら版VOL.94

2018年05月29日

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◯掲示内容一覧
・カッター競技会参加の所感(優勝クルー)
・サンドハースト参加所感
上地 克明 横須賀市長を表敬訪問しての所感

カッター競技会参加の所感

2学年 古城 大河 私立宮崎第一高校(宮崎県出身)

4月26日に行われた、カッター競技会において私達12中隊の艇(以下、中隊の艇を「クルー」という。)は優勝を勝ち 取ることができた。
 カッター訓練は、3月29日、名前もよく分からない、どんな人と関わるかもわからない不安な状態からスタートした。(進級に伴い、中隊・大隊の所属が変更となったため。)
 新入生着校後に本格的な訓練が始まり、指導にあたる4学年のクルー長をはじめとするカッタースタッフに“形だけの団結ではダメだ。厳しい訓練だからこそ真の団結が必要だ”と言われたが、なかなかまとまることができず、クルーの雰囲気はあまり良いものではなかった。そんな中迎えた第1回大隊内レースでは何とか1位をとることができたが、漕ぎの技術は低く、なぜ勝てたか分からない状態だった。
 1週間後の第2回大隊内レースでは1位と40秒も差をつけられ、2位となった。なかなか技量が向上せず、またクルーがまとまりきれない時期で非常に苦しかったのを覚えている。そんな苦しい日々を過ごし、やっと全員の息が合い始め、クルーの雰囲気も良くなってきたのは本番3日前だった。
 本番に間に合うか分からないが、必死に練習を積み重ね、荒天に伴い1日延期で迎えた本番は皆やる気に満ち溢れ、クルー内の雰囲気も最高の状態だった。全員の気持ちが1つになり、がむしゃらに漕ぎ続け結果は練習時のベストタイム14分30秒を大きく更新する12分17秒という自分たちも信じがたいタイムで予選1位通過し、決勝に進むことができた。
 決勝には2回目の大隊内レースで敗れた13クルーも勝ち進み、皆“あの時の雪辱を果たしてやる”と、闘争心は更に高まっていた。「前へ!」の声で全員が最大限の力で漕ぎはじめ、13クルーと最後まで抜きつ抜かれつの熾烈な戦いを繰り広げた。
 2000mを漕ぎ終えどちらが勝ったか分からず、クルー全員が静かに乗艇幹部のトランシーバーに耳を傾けた。「1位…12クルー」の声を聞いた瞬間、涙が溢れ出た。わずか1秒の差で勝負を制することができ、全員の団結と諦めず戦い抜いたからこそ掴み取れた優勝だったと思う。
 このカッター競技会を通じて、勝つ喜び、団結の力、周りの人への感謝などいろいろなことを学ばせてもらうことができた。クルー長をはじめ、カッタースタッフには本当に感謝しかありません。12クルーの皆、本当にありがとう。

学生舎入口にて(右が本人)

カッター訓練の様子

サンドハースト参加所感

4学年 山下 諒太 横浜サイエンスフロンティア高校(神奈川県出身)

今年4月に開催されたサンドハースト競技会において分隊長を務めた山下学生です。
 サンドハースト競技会は毎年米陸軍士官学校で行われ、11人1チームで戦闘技術や知力、体力、状況判断能力、チームワーク等、士官に必要な能力を2日間の実戦を模した連続状況下で競い合います。米国はもちろん、イギリスやカナダといった世界15カ国の士官候補生が参加している国際的な戦技競技会です。競技会は非常に厳しいもので、様々な分野の能力を求められる上に、精神的、肉体的にこれまで経験したことの無いほど極限まで追い込まれます。チームのメンバーが個々の考えで行動していては競技会を終えることすら不可能でしょう。真のチームワークが必要となります。
 よく耳にする「理想のチーム」とは、異なる考え方を持ちながらも、互いに理解し、尊敬し、信頼する。各自がチーム内での役割を考え、率先して動ける。本当に何でも本音で話せる。などと言われますが、今までいろんなスポーツや行事に打ち込んできた中で、「理想のチーム」を最も実感できたのは、このサンドハースト競技会でした。もちろん、メンバーが選ばれてから本番までの3ヵ月間の訓練は厳しいものでしたし、休日を返上し、気力、体力、時間、全員が自身の持つ全てを捧げました。しかし、そうした厳しさを共通の目標を持って乗り越えたからこそ、学年、要員、校友会、動機、生い立ち、考え方や能力の異なるメンバーが、ひとつとなり、全員の人生に影響を与えるほどの「チームで何かを成し遂げることの面白さや感動」を知ることができたのだと思います。私たちは、サンドハースト競技会参加を通じて、理想のチームの持つ力を知ることができました。また、より多くの人たちにもこのような体験をしてもらいたいと考えています。サンドハーストはとても良い機会だと思いますので、来年も多くの志願者が出ることを期待しています。
 最後にこのような得難い機会を与えて頂いた防衛大学校、教官、先輩や同期・後輩、また、丈夫な身体に育ててくれた家族に感謝します。

出国を前にして防大の桜をバックにチームで記念撮影(中央手前が本人)

上地 克明 横須賀市長を表敬訪問しての所感

4学年 笠原 豪 東京都立駒場高等学校(東京都出身)

5月10日に、上地横須賀市長の下に表敬訪問した。
 横須賀市長への表敬には、二つの目的がある。一つは、前年度後期学生隊学生長であった石橋学生の想いを引き継ぎ、今後、防衛大学校が横須賀市との関係をさらに深めたいという我々の意思を示すことである。
 もう一つは、私自身が前期学生隊学生長の任に就いたことの報告のために実施させて頂いた。防衛大学校学生は横須賀市民でもあり、66年もの間、横須賀市にお世話になっている。我々、防衛大学校学生の生活は、日々多忙を極めているが、多少なりとも横須賀市の発展への寄与と今までのご支援に感謝を込めて何かできればと考える。今回の表敬においても、横須賀市長にはその想いを伝えさせていただいた。また、学校周辺地域の「ゴミ拾いボランティア」を継続することもお伝えした。こうした活動を通じて地域住民の方々との交流が活性化できればと考える。そして今回、市長との懇談を通じて、市長御自身も柔道の経験があることに親近感を感じた。私自身も中学生の時から柔道を続けてきた。その経験から、お互いに柔道の苦しさや楽しさを共有し会話が弾む場面もあった。
 柔道の教えには「自他共栄」という言葉がある。これに倣い、横須賀市長と防衛大学校学生隊学生長のつながりによって、横須賀市の更なる発展と、我々学生の成長につなげられればと考える。

市長室にて懇談の様子

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