防大かわら版VOL.65

2015年12月22日

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平成27年度第63回開校記念祭

平成27年11月14日(土)~15日(日)平成27年度第63回開校記念祭を開催し、たくさんの皆様にご来校いただきました。

 

14日(土) 訓練展示

15日(日) 記念式典・観閲式

棒倒し競技会

優勝した第1大隊

平成27年度棒倒し競技会の結果

予選第1回戦 第2大隊-第3大隊 (第2大隊の勝利)

予選第2回戦 第1大隊-第4大隊 (第1大隊の勝利)

決 勝 戦  第1大隊-第2大隊  ☆☆☆ 今年は第1大隊が優勝しました。

~演劇祭を終えて~

開校記念祭の2日前、平成27年11月12日(木)に防衛大学校では学生たちによる演劇祭が実施されました。開校記念祭では入賞した2コ大隊による発表をご覧になられた方もいらっしゃるかと思いますが、今回のかわら版では、演劇祭に取り組んだ学生達の記事を掲載します。

今年の演劇祭優勝大隊は第3大隊です。

【アラジンに成り損なった男】

4学年 柏倉 澄男 神奈川県立鎌倉高等学校 (神奈川県出身)

私は、2学年時から3年間演劇祭に携わってきました。2、3学年時は役者として、最後となる今年は、1大隊の役者指導者として参加しました。
 昨年度優勝を掴んだ1大隊は、今年度も連覇を目指しましたが、結果は3大隊に敗れ2位でした。しかし、役者はもちろん、役者が最高の演技ができるように照明係、音響係、大道具係等すべてのスタッフがそれぞれの立場において一生懸命頑張ったことで、多くの方々から高い評価を得ることができました。
 この演劇祭に携わって私が最も感じたのは「伝える難しさ」です。1大隊は3月から準備を始め、スタッフ全員何度もミーティングを重ねて台本や演出を考えました。そして5月から役者の練習を始めましたが、自分で演じるのとは違い、経験の少ない下級生たちを指導する際、感情の乗せ方、緩急及び抑揚を使った話し方、動き方及び魅せ方等全てを細かく伝えなくてはならないため、演技を指導することの難しさに戸惑いを覚えました。しかし、相手の立場に立って分かり易い言葉を使うとともに繰り返し指導することにより、役者たちも私が指導する内容を理解できるようになり、日々の長い練習に最後まで付いてきてくれて、最終的には十分な演劇を作り上げることができました。
 結果的に優勝はできませんでしたが、今年度の演劇祭を踏まえて来年度1大隊がより素晴らしい演劇を作ってくれることを期待しています。

3列目左から5番目が本人

4学年 田中 優大 神奈川県立川和高等学校 (神奈川県出身)

夏季休暇が終わり、11月の開校記念祭や棒倒しに向かって少しずつ熱気が高まっていく防大で、夜な夜な秘密の特訓を行う一部の学生たちがいます。特訓と言っても棒倒しの練習ではなく、「演劇祭」と呼ばれる行事で上演する演劇の練習をしているのです。
 学生や職員の前で上演するのは、開校祭の二日前です。その日、各大隊に与えられる30分のために参加者たちは毎夜、脚本を練り、演技を鍛え、大道具・小道具を作り、音響・照明を構成していきます。4コ大隊の中から、見事入賞した2コ大隊は、開校祭当日に来場者の方々の前で上演することができます。
 全大隊の脚本は、その年の開校祭統一テーマをモチーフに作られます。今年のテーマは「創造への一歩」でしたが、各大隊とても個性的な舞台に仕上がりました。親子や自分の人生、宗教、多様性・・・登場人物のセリフを介して、学生の等身大の悩みや主張が聞こえてくるかのようでした。
 なぜ、将来の幹部自衛官たる武人を養成する防大で、このような伝統行事が続いてきたのでしょうか。答えは人の数だけあるでしょう。私としては、我々が人間らしくあるために演劇祭が求められているからだと思います。組織への献身が求められ、常に競争を強いられるこの学校において、演劇祭は、私たちの心を舞台に解放し、人間らしさを取り戻すための「祭」として機能しているのではないでしょうか。
 私が責任者を務めた2大隊の演劇は、惜しくも入賞は出来ませんでしたが、約2000名の観客の前で自分たちの作った劇を上演でき、多くの反応をもらえたことで、これから先味わえないかもしれないような喜びを得ることができました。来年度以降も、演劇祭が更に熱く濃厚な「祭」となることを祈っています。

2大隊の劇団員(最前列中央が本人)

4学年 佐藤 諒育 山形県立山形東高等学校 (山形県出身)

「次こそ、面白いのをやろう」
この一言から、今年度の第3大隊の演劇祭はスタートしました。
 演劇祭とは、防大内における競技会の一つで、各大隊が30分の劇を上演し、その優劣を競うコンテストです。毎年、個性的な作品が上演され、開校記念祭の始まりのイベントとして大変盛り上がります。
 私は1学年の時から毎年役者として演劇祭に参加してきました。しかし4学年となり初めて舞台に立たず、演出担当として演劇祭に携わりました。「今年こそコメディが見たい」、「ギャグ満載の作品を」といった期待とプレッシャーを受けながら、よりわかりやすく、より面白くしていくにはどうすればいいのかと苦悩し、参加学生と様々なアイディアを出し合いながら今年度の作品を形作っていきました。
 今年度は芝居上手な役者が多く、また音響・照明ともにセンスの良い学生が参加してくれたため、難しい演技やシビアなタイミングの演出ができ、例年に比べ質の高い作品に仕上がりました。その結果として、演劇祭優勝を勝ち取ることができましたが、それよりもこのメンバーと演劇を作ることができたこと、そして多くの学生から「今年の3大隊は本当に面白かった」と言ってもらえたことが私にとって何よりも嬉しいことでした。

写真中央で顕彰板を持っているのが本人

1学年 田中 李歩 久留米信愛女学院高等学校 (福岡県出身)
 
 今回の演劇祭を通して私は“舞台を作り上げることの難しさと達成感”を学びました。経験もなく軽い気持ちで参加した演劇祭でした。しかし、このために前々から脚本を書き、構成を考えてくださった監督や上級生の方々が本気で演劇に向き合っている姿を見て、次第に恥ずかしさも消え本気で練習するようになりました。始めは全く声が出ず、セリフを覚えるのに苦労し、体を使って表現することもできませんでした。しかし、毎日遅くまで台本と向き合い他の役者の方々とかけあいながら練習するうちに“私の奏”を演じることが出来るようになりました。
 約一か月の練習は楽しいことばかりではありませんでした。何度やってもうまくいかない場面、気持ちをうまく表現できない場面もあり、悔しい思いもしました。しかし、演劇祭のメンバー全員が真剣に練習し、自分たちで舞台を作り上げたという自信があったからこそ演劇祭の本番に自信をもって臨むことが出来たのだと思います。「今までやってきたことを信じて、大丈夫だよ。」と舞台に送り出してくださった監督をはじめ演劇祭のスタッフの方々には感謝の気持ちでいっぱいです。結果は思うようにはいきませんでしたが、演劇祭を通して多くのことを学びました。一か月間あっという間に過ぎてしまうほど楽しく充実した日々でした。
 開校祭などで他大隊の演劇も観劇し、演劇の素晴らしさを改めて感じました。演劇祭に参加して良かったと心から思っています。

練習風景(右下が本人)

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