防大かわら版VOL.101

2018年11月29日

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○掲示内容一覧
・秋季定期訓練参加所感

秋季定期訓練参加所感

1学年 髙橋 辰弥 宮城県古川高等学校(宮城県出身)

私たち1学年は、防衛大学校及び相馬原演習場にて、10月26日からの5日間、陸上要員としての内容の訓練を実施した。
 相馬原演習場においては、地図判読、16kmの徒歩行進訓練、天幕(テント)による宿営訓練を行った。まず、地図判読では、地図とコンパスを用いて演習場内のポイント(旗)を廻った。見慣れない地形や初めての地図判読のため多少の緊張はあったが、班員とふれあい、協力し合いながら、迅速にポイントを廻ることができた。
 16km徒歩行進訓練では、厳正とした態度で行進を行えたが、決められた時間に決められた地点へ行けず、一定の行進速度を保てなかった。しかし、当日は気象状況が良好であったことや、事前に校内で12km徒歩行進訓練を行っていたため、私の訓練班は体調不良者を出すことなく、全員が徒歩行進訓練を無事に終えることができた。
 天幕による宿営訓練では、天幕の設営、飯ごう炊飯の2つを主に行った。天幕の設営は、校内で訓練したこともあり、速やかに行うことができたが、天幕の周りに雨水を流すための溝を掘る作業に大変時間がかかってしまった。シャベルの使い方を助教の方に教えていただき、これ以降の改善につなげたいと考える。反省すべき事項もあったが、天幕を完全に設営し終えた時には大きな達成感を得ることができた。飯ごう炊飯は、正しい時間で行った結果、美味しいお米を炊くことができた。
 また、校内では地図の見方、戦闘訓練を行った。地図の見方では目視できる目標物の距離、方向を地図から導き出すこと、既知の施設から自身の地点を求めることを行った。多少のズレがあったが、班員と役割分担をし、効率よく迅速に作図を行えた。
 戦闘訓練では、まず匍匐前進の演練を行った。銃の保持が難しく、自分の思っているよりも前進速度が遅かった。その後、3個分隊に分かれ、分隊対抗匍匐リレーを行った。惜しくも3位となってしまったが、非常に楽しく訓練を終えることができた。戦闘訓練総合では、大きな声を出して取り組み、銃口を味方に向けないことや、実際には射撃を行っていないが構え方を意識して訓練を行った。
 全体を通して、非常に楽しく、体力的に厳しく感じることもあったが達成感の方が大きかった。1学年の陸上要員の訓練はこれが最後であったが、訓練の内容をしっかり自分の中で咀嚼し、半年後、希望通り陸上要員となったならば、この充実した5日間の経験を活かし、新たな訓練に臨んで行きたい。

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      本 人

1学年 足利 多香子 私立桐光学園高等学校(神奈川県出身)

私たち1学年は、相馬原演習場(群馬県)及び校内において、1週間の秋季定期訓練を実施した。
 演習場では宿営、地図判読、16km徒歩行進訓練を行い、校内では戦闘訓練を実施した。私がこの訓練の中で印象に残ったのは徒歩行進訓練である。
 16km徒歩行進訓練とは、荷物と武器を携行した状態で、市街地及び演習場内を歩く訓練である。今回、私は分隊長を経験した。初めて訪れる土地で自分たちの現在位置を把握するために、歩測員(出発地からの距離を歩幅で計算する者)と、目的地に正しい時間に到着できるよう歩調員(時速を測る者)に指示したり、警戒員を割り当てたりと、疲れていると弱音を吐けないほど忙しい役職であった。
 教官が石を草むらに投げて物音を立てたり、助教が草陰に隠れ敵性勢力としての攻撃を想定したりと、臨場感のある訓練であった。また、上空にも他部隊の演習中のヘリコプターを敵の航空機であると仮定して警戒するなど四方八方に意識を巡らせる事は、実戦らしさがあり緊張した。しかし、常に疲労困憊の中、臨機応変に対応することは、幹部自衛官になるために必要な資質であり、非常に効果的な訓練であった。
 今回の定期訓練では幹部自衛官として必要な高い資質・識能ともに向上できたと思うが、未熟な点も多く、更なる研鑽に努めなければならないと実感した。将来、国家防衛という崇高な任務に就くにあたり、基礎となる陸上自衛隊の訓練を体験し、改めて幹部自衛官として任務遂行に努めたいと決意を固めることができた。

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徒歩行進訓練中の様子
(右から3番目)

1学年 中村 文哉 私立海城高等学校(東京都出身)

秋季定期訓練、秋も深まる10月暮れに防大1学年のみで行われるこの訓練は、私の胸を強く震わせるものとなった。私が所属した第3区隊は、訓練期間の前段を防衛大学校敷地内で、後段を相馬原演習場で費やし、普段ではできない訓練を実施した。
 陸上要員を希望する私は、今回の訓練の目標として、2学年に進級して希望通り陸上要員になれた際、大きく戸惑うことなく陸上要員の訓練に参加できるようになることを掲げていたが、結論として、それが如何に難しいことなのかを思い知らされ、実地・実践の厳しさをこの身に痛感した。夜の寒さが防寒着越しに体を貫く演習場や戦闘訓練における草花が高く茂った訓練場所は、有事に際して敵は我々に有利となる場所、地形を選んではくれないという現実を私に教えた。
 幹部自衛官となるべき者を教育・訓練する防衛大学校は、ときに“修練の場”と称される。学生舎における厳しい生活は訓練につながり、訓練は私たちが部下を率いる幹部自衛官となる未来につながっている。今回の訓練で学んだように、私たちが将来勤める現場は厳しいものとなるだろう。今の私にできることは、一日一日を無駄にせず、日々精進することである。将来に向け、精一杯頑張っていきたい。

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徒歩行進訓練の様子

1学年 伊藤 斗志人 北海道岩見沢東高等学校(北海道出身)

秋季定期訓練は主に陸上自衛隊式の訓練であり、国防の基礎である陸上部隊の訓練を行うことは、防衛大学校第1学年として必要不可欠である。私にとって今回の訓練は大変充実したものになった。
 校内訓練では戦闘訓練と地図の見方を行った。夏季定期訓練で遠泳訓練が主体であったので、戦闘訓練や地図を用いた訓練は新鮮で、非常に楽しく、十分な士気を持って取り組むことができた。
 相馬原演習場に到着して、私たちを待ち受けていたのは天幕設営と壕の構築であった。天幕設営は校内で事前に訓練していたこともあり、思いのほか順調に終えることができた。真に私を疲弊させたのは歩哨壕の構築でした。そんな私たちを飯盒で炊いたご飯が少しの間、癒してくれた。寒い中、飯盒を熱する火に当たりながら、夕飯を待っている時間は今も鮮明に思い出せるほど楽しい時間だった。
 秋季定期訓練一番の目玉は何といっても16km行進です。私は分隊長としてこの行進に臨みましたが、隊形指導や分隊員の体調管理などをしながらの行進は、着意事項が多く、自分の能力不足を痛感することになった。
 訓練を通して、班員と協力し様々な課題に取り組むことができた。何より、集中して訓練に取り組むことのできる貴重な時間であり、有意義に過ごすことができた。

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 宿舎泊の様子(左が本人)

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