「定例演奏会(東京都墨田区)」

 暑い夏も過ぎ、ようやく頬にふれる風が心地よい季節となってきました。そんな爽やかな秋空のもと、10月6日(木)すみだトリフォニーホールにおいて定例演奏会が開催されました。今回演奏会をサポートしていただいたのは自衛隊東京地方協力本部。そしてインターンシップとして洗足学園音楽大学から2名の学生が参加しました。
さて、今回の定例演奏会は「日本の心・復興への祈り」をテーマに、第1部では日本の文化や風土の中から生まれた日本人作曲家ならではの作品を、第2部では戦後の焼け野原から、数々の災害に見舞われながらもたくましく復興を遂げた昭和・平成の名曲で、プログラムが構成されました。
 まずは開演前のロビーにて東京音楽隊フルートアンサンブル「ナチュラル」による演奏でご挨拶。和やかな雰囲気の中、2等海曹 竹中晶子、3等海曹 喜田哲也、海士長 大川 好、海士長 藤井陽子の4名の隊員が聞き覚えのある様々なメロディをフルートの透明感のある音色でお届けいたしました。

 さて、演奏会は、高く澄み切った青空が思い浮かぶ上岡洋一作曲の行進曲「秋空に」からスタート。軽快で親しみやすいメロディーは今の季節にぴったりで、演奏していてもワクワクしてくるような作品です。続いては1986年の全日本吹奏楽コンクール課題曲として発表された、間宮芳生作曲「吹奏楽のための序曲」を演奏。日本の伝統的な音楽である雅楽などを素材とした大変趣きのある曲で、当時の中高生も、さぞやりがいがあったのでは?と思わせます。次にお贈りしました北爪道夫作曲、吹奏楽のための「風の国」はヤマハ吹奏楽団浜松の委嘱作品で、風が強いことで有名な浜松に由来して作られたそうです。偉大なる自然界の「風」をテーマに、かすかにざわめく風から荘厳と荒ぶる風まで様々な風を、いろんな音符のパターンで表したり、楽器に息を吹き込んで本当の風の音を音符として使うなど、面白い楽器の使い方で表現されています。このような情景描写曲を演奏する機会はあまり多くないため、隊員も試行錯誤を重ね、東京音楽隊の「風」を吹かせることに努めました。第1部最後は、東京音楽隊長 河邊一彦2等海佐作曲による「夢燃ゆる、紅(あか)き空に」。この曲は、安土桃山時代の武将、真田幸村の「夢」をテーマにしており、名だたる武将が恐れおののいたと言われている彼の生涯を描いた作品です。




 休憩を挿み、第2部は戦後の焼け野原から奇跡の復興を遂げた日本が、再び国際社会に復帰する象徴的な行事「東京オリンピックファンファーレとマーチ」から始まりました。この曲を作曲した古関裕而の作品は、夏の全国高校野球行進曲「栄冠は君に輝く」、読売巨人軍応援歌「闘魂こめて」、阪神タイガース応援歌「六甲おろし」など、現在でも広く親しまれています。次に1974年にテレビアニメで放映され、日本人の使命感、ロマンを歌った「宇宙戦艦ヤマト」を、1等海曹 川上良司が熱唱。アニメソング界の巨匠、ささきいさお氏を心の師と仰ぐ川上1曹の歌声は、聴衆の心を躍らせ、さらには隊員の士気をも鼓舞させるパワーを持っており、会場全体が熱気に溢れました。続いては、雰囲気をがらりと変え、海士長 三宅由佳莉が美空ひばりさんのヒット曲の中から「愛燦燦」を披露。心に染みわたるしっとりとした歌声に心は穏やかに。そしていよいよ第2部最後の曲へ。東京音楽隊長 河邊2佐作曲「嵯峨野〜ソプラノと吹奏楽のために〜」は、京都市右京区にある嵯峨野を舞台に、心に傷を負った1人の青年が京都へ降り立ち、嵐山、嵯峨野と旅をし、成長していく姿を描いています。「嵯峨野へ」「風の道」「川のほとり」「旅立ち」の4つの部分から構成され、「川のほとり」では三宅士長のソプラノを交え演奏。




 たくさんの拍手にお応えしたアンコールは「祈り〜a Prayer〜」。この曲は東京音楽隊長 河邊2佐が本日の演奏会のテーマ「日本の心・復興への祈り」に想いをよせて書き下ろした復興への応援歌であり、2等海曹 赤羽誠のコントラバス、2等海曹 太田紗和子のピアノ演奏とともに、三宅士長が切々と歌い上げました。美しいメロディと歌詞に、心の中の様々な想いが溢れ出したのか、お客様だけでなく演奏者からも感極まって涙が・・・。
 最後に「ふるさと」をお届けして全プログラムを終了いたしました。



海上自衛隊東京音楽隊 広報掛

close